アパレルの分野で海外に挑む企業が秋田・湯沢市にある。長年培ってきた高い技術力を生かして、数々の製品を生み出しているプリント加工会社。国の内外で人気のコンテンツを世界中に届けるべく、挑戦を続けている。

創業50年 新たなブランドを立ち上げ

光沢のある絵柄に、立体的なデザインが施されたTシャツのプリント。

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手掛けたのは、秋田・湯沢市のプリント加工会社「ぬまくら」だ。2023年で創業50年。大手メーカーの下請けとして、長年Tシャツなどアパレル製品のプリントを手掛けてきた。

3代目の沼倉佑亮さん(30)。東京の大学を卒業後、大手繊維メーカーでの勤務を経て、8年前に湯沢市に帰郷。それと同時に事業の拡大を目指して、商品の企画からデザイン、製造までを一貫して行う「ICHINOSAI(いちのさい)」というブランドを立ち上げた。

ぬまくら・沼倉佑亮専務取締役:
家業に戻った時にそのまま事業を継続すると、なかなか未来が難しいと思うことが多くて、これまでの事業を土台にして違う事業・第二創業したいという思いがあったので、名前も変えてICHINOSAIの事業をスタートした

職人による“手作業”で生まれる作品

ICHINOSAIの強みは、先代から培ってきた技術力。「シルクスクリーン」と呼ばれる技法を得意としている。印刷したい柄に合わせて細かい穴を開けた原版にインクを乗せ、スキージーという道具で生地に染み込ませていく。

プリントはすべて職人の手作業。絶妙な力と角度で、機械では表現できない繊細な作品を作り上げる。

ぬまくら・沼倉佑亮専務取締役:
この原版を作るのも社内でやっていて、柄によって穴の大きさを見極めて、インクの出る量を調整したりとか。インクも社内で作っているので、出したい色を自分たちで研究するという作業をしている

ICHINOSAIの立ち上げ当初は、企業の問い合わせフォームに片っ端からメッセージを送ったり、飛び込みで営業したりと、地道に売り込みを重ねた沼倉さん。

確かな技術と企画力が評判を呼び、今では有名アーティストやSNSの発信が人気を集めるインフルエンサーなどのオリジナル商品を手掛けている。

大手出版社からも注文が舞い込み、人気漫画のグッズも担当した。今後は、海外からも人気を集めるコンテンツを「日本の文化」として「輸出」することを目指している。

ぬまくら・沼倉佑亮専務取締役:
受注生産という工場を持っている強みを生かした販売方法を採っているので、注文を世界中からインターネットを通じて受けて、自分たちの配送網を使って世界中の客へ届けていくことをやっている

日本が誇る文化と、ICHINOSAIの技術を世界へ。沼倉さんは、好奇心と気持ちの赴くままに挑戦を続ける。

ぬまくら・沼倉佑亮専務取締役:
(ICHINOSAIの)第1章もそろそろ終わりに近づいていて、第2章としては先代から引き継いだものだけではなくて、例えば宿泊業をやってみるとか、インテリアもしくはアートの領域に入っていくとか、新しい分野を開拓していくのが第2章になる。そこをこれから一生懸命作り上げていくことを想像すると、わくわくする

(秋田テレビ)

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