足の踏み場がないほどゴミで埋め尽くされた、いわゆるゴミ屋敷。

賞味期限切れのインスタント食品に大量の空のペットボトル…。出てきたのはゴミだけではなかった。

依頼者が「涙が出るほどうれしい」と話す、ゴミ山から発掘されたものとは?ゴミ屋敷清掃の現場を取材した。

ベッドで寝たいが…開かずの部屋

この日、清掃業者が向かったのはアパートの一室。依頼主は30代の女性。さっそく家に上がらせてもらった。

ゴミ屋敷バスター七福神 田中義彦さん:
お片付けする場所はこちらと、こちらのお部屋ですかね。

依頼主(30代女性):
はい、大丈夫です。

掃除を依頼した部屋は、扉に何かがつっかえていた
掃除を依頼した部屋は、扉に何かがつっかえていた
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廊下の左側が問題の部屋だ。中はどうなっているのか?

入ろうとするが、扉に何かがつっかえて開かない。そのため清掃員は体を横向きにして…。

体を横向きにして、なんとか部屋の中へ
体を横向きにして、なんとか部屋の中へ

ゴミ屋敷バスター七福神 田中義彦さん:
先に入るので(道具を)バラバラでもらっていいですか?

つっかえていたのはゴミだった
つっかえていたのはゴミだった

取材班もあとに続くと、そこにはゴミの山。つっかえていた扉の裏には、ペットボトルなど大量のゴミがあった。これでは扉が開くはずがない。

依頼主(30代女性):
部屋に入るのも大変になってしまって、ベッドで寝たいというのはあるんですけど…。

ベッドの上までゴミが散らかっている 今はリビングのソファで寝ているという
ベッドの上までゴミが散らかっている 今はリビングのソファで寝ているという

この部屋はもともと寝室。ベッドが置かれているが、その上にはゴミが散らかり、テーブルまで置かれている。

ベッドがこのような状態のため、今はリビングにあるソファで寝ているという。しかし、なぜこんなことになってしまったのか?

「億劫になってしまって」
「億劫になってしまって」

依頼主(30代女性):
夜勤のある仕事をしていて、それ(ゴミ出し)が難しくなって。億劫になってしまって…。あとで行こうみたいなのが続いてしまって。

夜勤のためゴミ出しの時間に間に合わず、どんどんたまっていったという。この日の依頼は、とにかくこの部屋のゴミを捨てること。次々にゴミが仕分けされていく。すると…。

ゴミの中から発見
ゴミの中から発見

ゴミ屋敷バスター七福神 田中義彦さん:
電気コードに(ゴミが)くっついているので、火事になりやすいんですよね。

埋もれていた配線機器は、差し込み口にゴミが入ると出火する危険があるという。

不要な服を整理「アレルギー体質なのに」

そして、作業開始から1時間。

作業開始から1時間「2、3年ぶりくらいに見ました」
作業開始から1時間「2、3年ぶりくらいに見ました」

依頼主(30代女性):
あ!床が見えてきた!

取材班:
いつ以来?

依頼主(30代女性):
2、3年ぶりくらいに見ました。

約3年ぶりに床とご対面。しかし、まだまだ作業は終わらない。続いて始まったのは…。

依頼主(30代女性):
ずっと捨てられないままの気がしたので、今捨てちゃおうみたいな。

もったいなくて捨てられなかったという、不要な服の整理だ。

もったいなくて捨てられなかったという 「大体いらない…」と依頼女性
もったいなくて捨てられなかったという 「大体いらない…」と依頼女性

依頼主(30代女性):
大体いらない…。

作業を続けること30分、女性がほこりでくしゃみを連発。

作業を続けること30分…
作業を続けること30分…

清掃スタッフ:
マスクいりますか?

依頼主(30代女性):
大丈夫です。アレルギーがあるんです。アレルギーがあるのに、こんな部屋に住んでいるんです…。

そして、作業開始から約4時間。ゴミはすっかりなくなり、部屋は見違えるほどピカピカに。ベッドの上もこの通り。

約4時間で部屋は見違えるほど片付いた
約4時間で部屋は見違えるほど片付いた

依頼主(30代女性):
やっぱり保ちたいなというのはあるので、今後は大丈夫かなと思うんですけど、(ゴミを)ため込まないように…。

「やっぱり保ちたいなというのはあるので」 今回の清掃料金は約10万円だった
「やっぱり保ちたいなというのはあるので」 今回の清掃料金は約10万円だった

料金は約10万円(※ゴミの量などにより変動)。女性は今後、部屋をきれいにしてゴミ屋敷にしないと話していた。

大量のペットボトルと吸い殻、期限切れ食品も

続いての依頼主は、アパートに1人で住む50代の男性。

ゴミ屋敷バスター七福神 新家喜夫社長:
なかなかのボリュームですね。

依頼主(50代男性):
申し訳ないです。お恥ずかしい話です。

玄関には高さ20cm程のゴミの壁があり、このゴミをまたがないと部屋に入ることができない。部屋の中は見渡す限りゴミだらけ。床が全く見えない。

すると、部屋の奥に行こうとした依頼主が…。

ゴミであふれた部屋 「この中で必要なものはありますか」と聞かれて
ゴミであふれた部屋 「この中で必要なものはありますか」と聞かれて

ゴミ屋敷バスター七福神 新家喜夫社長:
この中で必要なもの、置いておかないといけないものはございますか?

依頼主(50代男性):
一応ですね、自分なりに…。

部屋の床はゴミでかさ増しされていた
部屋の床はゴミでかさ増しされていた

ゴミでかさ増しされているため、ドアの枠に頭をぶつけてしまった。

とにかくゴミの量が多いので、家の奥からと玄関側からの二手に分かれて掃除スタート。

取材班:
これは何ですか?

清掃スタッフ:
パソコンです。

なぜか、玄関からパソコン機器が出てきた。さらに4年前に賞味期限が切れたインスタント食品も。

清掃スタッフ:
賞味期限が…19年9月9日。

2019年9月9日と書かれていた
2019年9月9日と書かれていた

そして、部屋には大量のペットボトルとタバコの吸い殻が散乱していた。

依頼主(50代男性):
タバコの吸い殻とか、何万本あるか分からないです。

「火事にならなくてよかったです」と清掃スタッフ
「火事にならなくてよかったです」と清掃スタッフ

清掃スタッフ:
火事にならなくてよかったです。

一体、なぜ大量のゴミを溜め込んでしまったのか?

依頼主(50代男性):
食べたら(家の中に)ポイですね。ここ何年かは食べたらポイです。

取材班:
それでどんどんたまった?

依頼主(50代男性):
そんな感じです。

食べた後にゴミをその場に捨てる生活が続き、5年ほど前から徐々にゴミがたまっていったという。

寝る時はどうしていた? 捜し物を発見

そのため、こちらの男性は家の中でも…。

家の中でも「脱げない」
家の中でも「脱げない」

依頼主(50代男性):
もう靴で入りますね。

取材班:
脱げない感じ?

依頼主(50代男性):
脱げないですね。

靴を脱がずに自宅で過ごしているという。寝る時はどうしていたのか?

「両脇はゴミの山ですけども、その空間だけはそこそこ快適に」
「両脇はゴミの山ですけども、その空間だけはそこそこ快適に」

依頼主(50代男性):
ある程度、ゴミがないところで寝袋で寝ていましたね。両脇はゴミの山ですけども、その空間だけはそこそこ快適に。

作業開始から40分。作業スタッフがあるものを発見し、男性に手渡した。

作業開始から40分、作業スタッフがあるものを発見 「涙が出そう。ちょっと待ってくださいよ」
作業開始から40分、作業スタッフがあるものを発見 「涙が出そう。ちょっと待ってくださいよ」

依頼主(50代男性):
あー!これは!もしかしたら…もしかしたら…素晴らしい発見かもしれません!涙が出そう。ちょっと待ってくださいよ。

取材班:
それは何ですか?

依頼主(50代男性):
バイクの後ろのボックスの鍵なんですけど、開かなくなっているんですよね。これでもしかして開いたら、涙が出ますね。

出てきたのは、1年ほど前から捜していたバイクのボックスの鍵だった。さっそく開けてみることに。

依頼主(50代男性):
あー!もう最高ですよ!大事なモノがいっぱい入っておりました。

「もう最高ですよ!大事なモノがいっぱい入っておりました」鍵は無事開いた
「もう最高ですよ!大事なモノがいっぱい入っておりました」鍵は無事開いた

無事に鍵が開き、男性も大満足。

約3時間かかって、ようやく作業が終了。あれだけゴミがたまっていた部屋がキレイになった。

約3時間で作業終了
約3時間で作業終了
ゴミがたまっていた部屋がキレイに
ゴミがたまっていた部屋がキレイに

依頼主(50代男性):
今後はちゃんと(ゴミ出しを)やっていきたいと思います。もう二度とご迷惑おかけしないように。

「もう二度とご迷惑おかけしないように」
「もう二度とご迷惑おかけしないように」

料金は約20万円だった(※ゴミの量などにより変動)。

少しぐらいはと思ってため込んでいると、取り返しのつかないことになるゴミの放置。手遅れになる前に捨てよう。

(「イット!」2月21日放送)