辺りを赤く染め、激しく燃え上がる炎。爆発音が響く。

約14時間燃え続けた食品工場(2月6日 石川・七尾市)
約14時間燃え続けた食品工場(2月6日 石川・七尾市)
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火事が起きたのは2月6日、石川県七尾市の食品工場で約14時間にわたって燃え続けた。

当時、工場内には誰もいなかったため、幸いにもケガ人はいなかった。しかし、なぜ人気のない場所から火はあがったのか?

出火原因の可能性として浮上したのが、延長コードなどのトラブルだ。

延長コードがショートするなど、電気系統のトラブルがあった可能性
延長コードがショートするなど、電気系統のトラブルがあった可能性

警察によると、出火元には洗濯機や乾燥機など多くの機械が。そのため、延長コードがショートするなど、電気系統のトラブルがあった可能性があるという。

発火事故は6年間で250件…死傷者も

こうした配線器具が原因とされる発火事故は、近年、減少傾向から一転して再び増えている。

減少傾向から一転、再び増加
減少傾向から一転、再び増加

2016~2021年までの6年間で250件発生し、2019年からは2年連続で増加。テレワークの普及で、配線器具の使用が増えたことによる可能性があるという。

テレワークの普及で、配線器具の使用が増えたためか
テレワークの普及で、配線器具の使用が増えたためか

1月22日、兵庫県神戸市の集合住宅で8人が死傷した火事でも、延長コードが出火原因とみられている。

延長コードが出火原因とみられる(1月22日 兵庫・神戸市)
延長コードが出火原因とみられる(1月22日 兵庫・神戸市)

警察の調べによると、延長コードが劣化し一部が断線していたため、そこから出火したとみられている。

では、延長コードの劣化はどれぐらい使い続けていると始まるのか?街の人に知っているか聞いてみた。

5年過ぎたら交換 「トラッキング現象」とは

20代女性:
実家が電気屋だけどわからない。電気工事屋さんなんですけど。溶けていたり、明らかに見た目に損傷がなければ、多分ずっと使っちゃうと思います。

60代女性:
あまり(長く)使うのはよくないんですよね。寿命があるのは知らない。

と、多くの人がわからないと答えた。

日本配線システム工業会によると…
日本配線システム工業会によると…

日本配線システム工業会によると、延長コードの交換の目安は5年。コード部分に「製品の交換目安は3年~5年」と明記しているメーカーもある。

コード部分に明記しているメーカーも
コード部分に明記しているメーカーも

5年を過ぎると、焦げたり断線したり、出火につながる可能性があるという。

5年を過ぎると
5年を過ぎると

では皆さん、今の延長コードはどのくらい使っているのか?

70代夫:
結構(買ってから)経っていますね。新しくは最近買っていない。

「怖いものだなと思いました。見直そうと思います」
「怖いものだなと思いました。見直そうと思います」

70代妻:
私たちはもう10年は使っている。怖いものだなと思いました。見直そうと思います。

50代女性:
取り換えたり壊れたりしなければ、そのまま使っている。掃除はマメにしています。

「コンセントと電源プラグの間」に注意
「コンセントと電源プラグの間」に注意

そして、劣化以外でも気をつけなければならないのが、コンセントと電源プラグの間に水分を吸ったホコリがたまったり、水がかかってしまうことで起きる「トラッキング現象」だ。

洗剤をかけたテーブルタップにプラグを差すと黒煙が…(トラッキング現象を再現した実験映像)
洗剤をかけたテーブルタップにプラグを差すと黒煙が…(トラッキング現象を再現した実験映像)
発火音と共に、一瞬で大きな火が上がった
発火音と共に、一瞬で大きな火が上がった

トラッキング現象を再現した実験映像がある。洗剤をかけたテーブルタップにプラグを差すと黒煙が上がり、発火音と共に一瞬で大きな火が上がった。

もし、周りの家具などに火が燃え移ってしまえば、火災の原因になる。

製品事故に詳しい専門家によると、自宅で配線器具を使用する際、他にも気を付けなければいけないことがあるという。

非常に危険 束ねたまま使うと高温に

まず1つ目が「束ねた延長コード」。

家具と壁の隙間など、限られたスペースに収納する場合にやりがち
家具と壁の隙間など、限られたスペースに収納する場合にやりがち

家具と壁の隙間など、限られたスペースに収納する場合にやりがちだが、このまま使い続けると発火する危険性がある。

これはその実験映像。サーモグラフィーに映っているのは、束ねたコードだ。

サーモグラフィーに映る束ねたコード 通電を約10分続けると(実験映像)
サーモグラフィーに映る束ねたコード 通電を約10分続けると(実験映像)

約10分、通電を続けた結果、みるみるうちにコードを束ねた部分が赤くなり、熱がたまっていった。

コードの表面温度は約190℃に 発火音と共にコードから火が上がった
コードの表面温度は約190℃に 発火音と共にコードから火が上がった

この時のコードの表面温度は約190℃。そして、大きな発火音と共にコードから火が上がった。

コードを束ねたまま使用すると、放熱が妨げられてコードの温度が高くなり、非常に危険。

「束ねた部分に熱がたまってしまって、被覆を傷めてしまうことがある」
「束ねた部分に熱がたまってしまって、被覆を傷めてしまうことがある」

NITE 製品安全広報課 宮川七重課長:
束ねた部分に熱がたまってしまって、被覆を傷めてしまうことがあるので、留めてるところを外して使うほうがいい。

「たこ足配線」と「変形プラグ」はどうすべき?

続いて、2つ目の注意ポイントは、ついついやりがちな「たこ足配線」。

「たこ足配線」で複数のプラグがコンセントにつながっているが…
「たこ足配線」で複数のプラグがコンセントにつながっているが…

NITE 製品安全広報課 宮川七重課長:
たこ足でいろいろ、コンセントにプラグがつながっているんですが、こちらのテーブルタップは1500Wまで。流していい電気の容量が決まっている。

テーブルタップなどの配線器具には、最大容量が表示されているものが多い
テーブルタップなどの配線器具には、最大容量が表示されているものが多い

一般的にテーブルタップなどの配線器具には、最大容量が表示されているものが多いという。では、容量を超えて使うとどうなってしまうのか?

1500Wのテーブルタップに様々な家電をつなぎ、合計2529Wを同時に使用して実験
1500Wのテーブルタップに様々な家電をつなぎ、合計2529Wを同時に使用して実験

1500Wのテーブルタップに、電気ストーブ・こたつ・テレビ・ポット、合わせて1500Wを超える家電をつないで、同時に使用した実験映像を見てみると…。

電源タップから煙が上がり始め、火花が散っている
電源タップから煙が上がり始め、火花が散っている

電源タップから煙が上がり始め、火花が散っている。異常発熱による発煙・ショートなど、危険な状態に陥ってしまう可能性があるのだ。

配線器具の最大消費電力を超えないよう、注意しながら使用することが重要だという。

そして、3つ目の注意ポイントは「変形したプラグは使わない」こと。

NITE 製品安全広報課 宮川七重課長:
こういうところに置いていると、ついつい足をひっかけてしまう。足を引っかけてしまうと、プラグが曲がってしまうことがあります。

無理に差して使用すると、内部で接触不良を起こし、異常発熱する危険性がある
無理に差して使用すると、内部で接触不良を起こし、異常発熱する危険性がある

変形してしまったプラグを無理に差してそのまま使用すると、内部で接触不良を起こし、異常発熱する危険性があるので絶対にやめよう。

まだ使えるからと使い続けてしまうと、火災を引き起こす危険性がある配線器具。自宅で使用している配線器具を時々、確認することが大切だ。

(「イット!」2月15日放送)