石川県小松市出身の書家、石野華鳳さん。石野さんは、はじめしゃちょーなどと並び日本を代表するユーチューブクリエーターの1人に選ばれている。そんな石野さんが2022年にスマホを使ったあるサービスを始めた。その名も「私の書道学校」。一体、どんなサービスなのか取材した。
書家としての新たな道
小松市出身の書家、石野華鳳さん(31)。
この記事の画像(51枚)書家 石野華鳳さん:
自分が書家としてどうなりたいかは全くないですし、自分が書道で成し遂げたいことは一個もないんですよ。書道は自分が心の中にある思いをみんなに伝えるツール。
こう話す石野さん、何がスゴイかと言うと…
配信する石野さん:
初心者に限った話ではなくて、ある程度経験を積んだ上級者の方でもずっと何十年も同じ持ち方をしてきた方であっても親指一本の位置を変えるだけで劇的に良くなります。
おしゃれで楽しく書道を学べる動画として、3万人の登録者がいる人気ユーチューバーなのだ。
石野さん:
書道って堅いから、お堅いイメージでそういうの取っ払いたい。あえてバズるとか、エモいとかというのを使うようにしたりしています。
2020年、石野さんは、グーグル社から「はじめしゃちょー」や「東海オンエア」と並び「日本を代表するユーチューブクリエーターに選ばれた。
それだけではない。2021年に日展に初出展で初入選を果たすなど、書家としての実力は折り紙付きだ。
実家に戻り始めた活動はアプリ
そんな石野さんは2022年、北海道から実家がある小松市に戻ってきた。
石野さん:
ここがキッチンなんですけれど、ほとんど書道のものばかりです。
生活の中心にあるのは「書道」。ふるさとに戻り、ある取り組みを始めた。
石野さん:
「私の書道学校」というアプリをたちあげました。
アプリの名前は「私の書道学校」。月額5940円の会員になると、見本となる競書がスマホでみられるほか、解説動画が見られる。
さらに…
石野さん:
十分表情を出せていますし、優しさなども詰まっていて良い書だなと思いました。
自分が書いた書を写真で送ると石野さんが添削をしてくれるサービスもある。
サービスを始めてまだ3カ月ほど。会員数は国内だけでなく海外もあわせ350人にのぼる。
石野さん:
皆さんの近所に書道教室や習字教室があると思うが、そういった今ある教育機関で行き届かないサービスができたらというのが始まりです。
実際にサービスを利用している駒井京子さん。
アプリを利用する駒井京子さん:
習っていた先生が急に亡くなられたんです。一歩踏み出して再び他の教室で書道をやり始めたんですけれども。
親の介護が必要となり、自由な時間が取りにくくなったため教室に通うのを諦めた時、このサービスに出合ったと言う。
駒井さん:
やらなくても大丈夫。参加するのもオッケー。そういう自由自在に自分なりの使い方ができるのがアプリの魅力。
指導する石野さん:
この「火」2つとっても、同じ左はらいではなくてこっちは左に向かう力が強い、こっちは斜め下に向かう力が強いかなと感じてみたり。
教室に通っているように、好きな時間、好きなタイミングで書道に親しめるのが最大の魅力だ。
映える書道用品を求めて…
この日、石野さんが訪れたのは…
石野さん:
こんにちは。
九谷焼の置物を製造・販売する窯元。
石野さん:
やばい、すごい、良いです!これ最高。今までに無かったです、この持ちやすさは。
新しい書道用品の開発だ。
石野さん:
本当に心の底から使いたいと思えるものが今までなかったので。
いま考えているのは九谷焼の墨池。
キーワードは「映え」だ。
石野さん:
ここが小筆のすずりになるんですね。素晴らしい。最高です。
石野さん:
例えば若い人たちやおしゃれに敏感な女性に「書道いいですよ」っていうのではなく、「書道の道具かわいいですよ」って攻めることで書道やりたくなる人増えるんじゃないかな。
書道人口が年々減っていく中、石野さんはその魅力をこう話す。
石野さん:
書道の魅力って人格を磨けること。
石野さん:
自分の人生を豊かにするのは、自分の人格を磨いて徳を積んで、人に喜んでもらったり感謝されて、それによって結局自分に返ってくる。
石野さん:
やっぱり、「人のために動くことが本当の心じゃないか」ってよく耳にする。それが自分でも腑に落ちるので自分もそういう行いを意識している。
国内注目のクリエーターは今の時代に合ったやり方で、書道の裾野を広げているようだ。
ちなみに、石野さんが書道を始めたきっかけ。それは書道教室の先生を務める祖父の福田樹峰さんの影響だったという。
樹峰さんは、石野さんのアプリについて「一度に多くの人を教えられて書道人口を増やす一番良いやり方」と太鼓判を押している。
今回紹介したサービスは、「私の書道学校」を検索して石野さんのホームページから詳細が確認できる。また石野さんのユーチューブは「華鳳先生の書道学校」で見ることができる。
石野さんのこれからの活動に注目したい。
(石川テレビ)