サッカー日本代表・森保監督の「広島凱旋インタビュー」。後編では”森保イズム”の原点に迫る。世界に衝撃を与えた手腕は、広島の地でどのように誕生したのか?また森保監督が「チーム広島」と誇るコーチ陣とは?

広島で得た経験と最強のコーチ陣

FIFAワールドカップカタール大会の戦いを終えたサッカー日本代表の森保一監督(54)が大会後、初めて第2の故郷・広島に凱旋。1月8日、テレビ新広島の衣笠梨代アナウンサーが森保監督に単独インタビューした。日本代表監督になってからも、指揮官として「サンフレッチェ広島時代とやるべきことはまったく変わらない」という。

森保 一 監督:
世界の舞台で戦うとなっても、広島で培った経験が自分を落ち着かせて、いろんなことに向き合わせてもらったと思います

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FIFAワールドカップカタール大会で優勝候補だったドイツとスペインを次々と撃破し、その手腕はサッカーの本場・ヨーロッパなどから高い評価を受けた。世界に衝撃を与えた日本代表チームは森保監督以外になんと5人のサンフレッチェ広島OBがスタッフとして脇を固めていた。2023年からJ2ジュビロ磐田で指揮を執る横内昭展コーチをはじめ、松本良一フィジカルコーチ、下田崇GKコーチ、上野優作コーチ、中下征樹テクニカルスタッフだ。

森保 一 監督:
コーチ陣は「チーム広島」だと思っています。広島で世界を見据えてやっていたことが、日本代表の舞台、アジアの戦い、そしてW杯の戦いでも間違っていなかったということが証明できて本当に良かったなと

「チーム広島」を率いる森保監督が進めたチーム作りとは…。それ象徴する場面がある。グループリーグ初戦で、ドイツとの戦いに向けて試合会場へ出発する直前。森保監督が選手たちに送った言葉は”チームの誇り”と”やり続ける”ことの大切さだった。

森保 一 監督(カタールにて):
俺が決断して最高の26人を選べたと思うし、これが今のベストだ。0対1になったりビハインドを負ったり、そういう状況の中でもわれわれがやり続けるということ。崩れることなくやり続けるということ

その言葉通り、試合は先制された日本が後半に同点に追いつき、さらにサンフレッチェ広島OBの浅野拓磨選手のゴールでドイツに逆転勝利を収めるという劇的な展開になった。

「おまえのやるべきことは何なの?」

選手のモチベーションを上げる森保監督の”言葉の力”には何か秘決があるのだろうか。

衣笠アナ:
伝え方など気にかけていらっしゃることはありますか?

森保 一 監督:
基本的にネガティブな言葉はあまり使わないですね。普段、努力していることに自信を持っていこうと。ボキャブラリーは衣笠さんみたいにいっぱいないので、自分が大切にしているベースを伝え続けていくことを意識しています。飾ったような言葉や辞書で調べてとか、他人の言葉を引用して選手にモチベーションを持たせるということはやっていないと思います

”飾らない監督”の原点は、サンフレッチェ広島の現役時代までさかのぼる。チーム内の競争で不安に押しつぶされそうになっていた時、「ハッ」とさせられた知人の言葉があったという。

森保 一 監督:
先発メンバーから外されたらどうしようとかというネガティブな気持ちが支配していたり、ライバル争いをしている選手が何をしているかってことに目がいって、自分自身がどうあるべきだっていうのをまったく持てない時がありました。でも、自分ではそれに気づいてないんですよ。そこに「おまえ、何見てやってんの?おまえの良さは何なの?」って言ってくれた人がいて。「おまえのやるべきことは何なの?」ってズバッと言われて、そこから本当に視界が開けましたね。それはもう、広島での経験です

左の画像は森保監督の現役時代
左の画像は森保監督の現役時代

衣笠アナ:
それはどういう方に言われたのですか?

森保 一 監督:
全然サッカー関係者じゃなくて。すでに亡くなられたんですけど、焼肉屋さんをやっていた方がズバッと言ってくださって

周囲に流されず、勝利に向かって一心不乱に上を目指す姿勢こそ「森保イズム」の真髄だ。

森保 一 監督:
私はメンタル弱いですよ。別に強い人間ではないと思います。でも、批判を自然に受け入れることや受け流すことであったり、”鈍感力”があるかもしれないですね

世界の舞台でも気持ちは同じ

2026年のW杯に向け、続投が決まった森保監督。サンフレッチェ広島の新しい本拠地となる建設中のスタジアムへも期待が膨らんでいる。

2024年開場に向けて広島市内で建設が進むスタジアムパーク
2024年開場に向けて広島市内で建設が進むスタジアムパーク

衣笠アナ:
新しいサッカースタジアムがいよいよ2024年2月に開場しますが、監督はどうご覧になっていますか?

森保 一 監督:
夢があると思います。スタジアムが完成するのをすごく楽しみにしてます。広島の知人が工事の進捗情報を動画と画像で送ってくるので、いつもワクワクしながら見ています

衣笠アナ:
そんな情報が入っているんですね

森保 一 監督:
広島で日本代表の試合ができることを楽しみに待ちたいですね。もし試合が実現したら、被爆地・広島の新スタジアムから世界平和への願いを発信する機会にもなる。何か私にできることをしたいと思っています

衣笠アナ:
次のW杯に向けての戦いも始まっていくと思うのですが

森保 一 監督:
戦う舞台は変わっても広島時代と同じ気持ちで、皆さんに喜んでいただけるように戦いに挑みたいと思います。応援、そして共闘していただければありがたいです。これからまた”批判の嵐”の中に突入していきますが、それも含めてすべて幸せなんで…頑張ります

サッカー日本代表が新しい歴史のページを開く歓喜の瞬間のため…森保監督は再び船を漕ぎだそうとしている。

(テレビ新広島)

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