まもなく開業するファイターズの新球場。センターバックスクリーンには、世界初の球場内ビール醸造所兼レストランの「そらとしば」がオープンする予定だ。なぜ新球場にクラフトビールが必要なのか?取材を進めると運営会社が目指すボールパークの新たな形が見えてきた。

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3月に開業するエスコンフィールド北海道。2023年1月5日、天然芝のグラウンドで新球場の竣工式が行なわれた。

新球場の注目施設の一つがセンターバックスクリーンに開業する「そらとしば」。球場を一望できる場所にビール醸造所とレストランが作られるのは世界初だ。

そらとしばを運営するのは長野県に本社を置く「ヤッホーブルーイング」。「よなよなエール」で有名なクラフトビール会社だ。

ヤッホーブルーイング 井手 直行 社長:
テイクアウト、店内利用も可能。見学ツアー、我々の得意なビールイベント、ただビールを飲むだけじゃなくて楽しいことをやってきたい。空が一望できる屋上を開放してそこでビールを飲む。フィールドとの一体感を演出するようなブルワリー(醸造所)になっています

2022年7月、オリジナルビール製造に向け、ファイターズの球団事務所で試飲会が開かれた。

ヤッホーブルーイング 井手 直行 社長:
出来としては一発目の試作でここまでできたらすごいなと思いましたよ

Fスポーツ&エンターテイメント 企画統括部 小川 太郎 部長:
これまでヤッホーブルーイングで飲んだものと違う。これに似てるというのはなかったので楽しみです

国内でビールの売上が年々減少しているなか、19年連続で売上を伸ばしているヤッホーブルーイング。その強みは「ファン」の存在だと、醸造責任者の岡さんは言う。

ヤッホーブルーイング 岡 秀憲さん:
私たちは、このクラフトビールという楽しい文化を、日本に広めるために、ビールを通した経験や人の輪を繋げて、周りの人が少しでも平和になるような社会を作りたいと思っています

これまで、ヤッホーブルーイングではビールを通じた「ファンとの繋がり」を大切にしてきた。

グラスによる味や香りの違いを学ぶワークショップや、音楽との融合など、ビールを通じた体験を共有するイベントを地道に開き、ファンを増やしてきた。

またコロナ禍で、外食がままならない時期にもオンライン飲み会を開催、体験を共有してきた。

ファイターズの小川さんは、この「ファンのために」という視点がボールパーク構想に合致したとみている。

Fスポーツ&エンターテイメント 企画統括部 小川 太郎 部長:
ファンに対する向き合い方がお互い共通する。ただのビールメーカーではなくて、ビールを通じてエンターテイメントを届けるというのが企業全体に理念というか考えとして染みついている。そういう意味で我々とすごく共通している。ファンをたくさん増やし、コミュニティをつくっていくという共通項がある。

2022年10月にはビールタンク8基が続々と運び込まれた。1月からは球場の中でのビール醸造とレストラン運営の準備がいよいよ始まる。

そこで気になるのがビールの味。特別に試飲させてもらった。

八木 隆太郎 キャスター:
しっかりと味はあるんだけれど、爽やか。ずっと飲んでいられるような、飲み飽きしないビールで、最高なのでは。

醸造責任者の岡さんも、この場所で作るビールに夢が広がると言う。

ヤッホーブルーイング 岡 秀憲さん:
この場でビールを飲める、青い空であったり、この芝を感じていただけるのは、お客さんにとっても最高の経験が提供できるんじゃないかなと思っています。最初は複数種類を作りながら、少しずつ種類を増やすことができれば。季節に応じたビールであったり、北海道産の作物をうまく使ったビールなどを作れれば

ファイターズも「そらとしば」がボールパークの象徴的な場所になると期待している。

Fスポーツ&エンターテイメント 企画統括部 小川 太郎 部長:
エスコンフィールド北海道は多様な観戦環境の実現というのをすごく大事にしている。野球に直接関係なくてもクラフトビールの文化を起点に色んな人が集まったり楽しんだりと。多様な人に喜んでもらえるようにしていきたい

ビールがつなぐ多様な観戦スタイル。3月の開業時に私たちはどんな景色・味に酔いしれることができるのだろうか。

北海道文化放送
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