1月4日からシリーズでお伝えする新春企画「JUMP2023」。様々な分野で活躍する人に今年1年にかける思いを伺う。初回は今秋にキャンパスの移転を控える金沢美術工芸大学、山崎剛(やまざきつよし)学長だ。
偉大な先輩を輩出する美大
あまたの才能を生み出してきた金沢美術工芸大学。今年10月、新しいキャンパスに移転する。
この記事の画像(42枚)山崎剛学長:
本当まさにこれが美大という雰囲気があってみんなの記憶がしみ込んでいるので、次のキャンパスでも新しい伝統が生まれて新しい美大の雰囲気が更新されていくといいなと思います。
創立から77年、伝統ある美大を率いるのが山崎剛(やまざきつよし)学長だ。
山崎学長:
責任を痛感しています。この節目の年、しかも新しいキャンパスで新しい教育ができるということで金沢市民の皆さんが誇れるような大学にしていきたいという思いでいっぱいです。
金沢美大は戦後間もない1946年、現在の金沢市出羽町(でわまち)に金沢美術工芸専門学校として設立。
その後、短大を経て4年制の大学となり1972年、金沢市小立野(こだつの)に現在のキャンパスを構えた。
スーパーマリオブラザーズなどを手がけたゲームクリエイターで、任天堂代表取締役フェロー・宮本茂(みやもとしげる)さん。
「サマーウォーズ」や「竜とそばかすの姫」など、世界で活躍するアニメーション監督の細田守(ほそだまもる)さんなど、多くの卒業生がこのキャンパスで学んできた。
山崎学長:
やっぱり新しくなるということの嬉しさもありますけれども、今のキャンパスを歩いているとここでこういう学生と出会ったとか会話したとかですね。こういう学生が巣立っていったとかいうことを思い出すわけですから寂しくないわけがないです。
美大に赴任して20年。特に思い出に残っている場所があるそうだ。
山崎学長:
この部屋が最初に本当に初めて美大に来て授業した教室です。学長になるまで15年間、毎週ここで教えていました。
山崎学長:
うちで一番大きな部屋で1年生全員に対して日本の美術の歴史を語るという授業です。驚いたのはこのスクリーンの横長なんですよね2つのプロジェクターを比較して映すんですね。絵画なら絵画、工芸なら工芸と比較して解説することができる今だとPCでできますけどね。当時はそんな感じで驚きました。
移転先のキャンパスに込めた思い
美大が大きな決断を下したのは7年前の2016年。
建物の老朽化やキャンパスが手狭になったことを理由に金沢大学工学部の跡地へ移転を決めた。
前田昌彦前学長:
やはり市民の方に足を運んでいただける開かれたキャンパスにしたいというのが第一の目標です。
移転計画が進められるなか、2018年に山崎氏が学長に就任。就任会見で新キャンパスについて問われると…
山崎学長:
付属美術館というものを持っていませんけども、そういったものを設置して内と外をつないでいきたいです。
現在、建設中の新キャンパス。
山崎学長の言葉通り入り口近くには美大所蔵作品を展示する美術館が設けられた。
延べ床面積は現在の1.3倍、講義室も格段に広くなっている。
キャンパスには誰でも自由に出入りができ学生の制作風景や作品を見ることができると言う。
山崎学長:
向こうに行くと、辰巳用水が横に流れていて桜並木があって遊歩道も整備されます。向かいには県立図書館があって人も集うということで、より多くの方に親しんでいただけると思っています。
新キャンパスへの移転に合わせて大学院には映像コースが新設され、シアターや撮影・録音のスタジオが完備された。
さらに客員教授に細田守監督が就任することも発表。
細田守監督:
今、映像があふれているような現代ですが、その上さらに非常に価値のある映像の作り手を生み出す教育するための機関として微力ながら僕も応援したいです。
期待の声と学長の抱負
学生たち:
こんにちは
山崎学長が訪ねたのは油画専攻で映像表現について学んでいる学生たち。新設される映像コースへの進学を検討しているそうだ。
油画専攻3年 金丸遥香さん:
漫画とか小説とか映画を見てて演出とかこうしたら画面の効果が出るっていうのを考えるのが好きで、新キャンパスで新しく制作をできる場として迎えられるのは嬉しいなと思います。
油画専攻3年 瀬ノ口紗恵さん:
これまで先生が自費で買いました…みたいなもので何とかしてるみたいなところがあったので、そういう設備とかが新しくなるというのが魅力的だなって思います。
山崎学長:
新しい教育が目の前に開けているというのが本当に楽しみで、それを活用してくれる学生がいてすごい世界に羽ばたいていってもらえると嬉しいので本当に期待しています。
学生たち:
頑張ります。
山崎学長:
想像していた以上に美しい建築で設計者の方には感謝しています。
最後に山崎学長に2023年にかける思いを書いてもらった。
山崎学長:
「温故知新」故きを温ねて新しきを知るです。
山崎学長:
古い歩みを改めて見つ直し感謝することで、新しい未来を進んでいきたいという思いでこれを書きました。
山崎学長:
金沢美術工芸大学が新たな歴史の扉を開くことになります。これまで育ててくださった市民の皆さんに感謝しながら、より一層世界に誇れる大学に発展させてまいりたいと思いますので応援よろしくお願いします。
世界に羽ばたく人材を輩出してきた、金沢美術工芸大学。新キャンパスでのさらなる飛躍に期待したい。
(石川テレビ)