財布にも優しくフードロスを削減する。コンビニ大手のローソンはクックパッドと協力し、そんな試みを始めた。
この記事の画像(6枚)12月13日から東京・港区にあるナチュラルローソン芝浦海岸通店では、同社で決めた「販売期限」を過ぎた商品を、値引き価格で販売する実証実験を始めた。
対象になるのは10種のデザートで、これまでは「消費期限日」当日の0時を「販売期限」に定め、時間を過ぎると店頭から撤去していた。
今回の実験では、こうして撤去したデザートの情報をスマホアプリに登録。当日11時までにアプリ上で購入した人は、12時から23時まで店内に設置してある生鮮宅配ボックスで商品を受け取れるという仕組みだ。
つまり消費期限が切れる最後の日のうちに、商品を安く購入できるようになるわけだ。この実験は来年2023年1月31日まで行われる。
デザートの種類と価格は固定されており、いずれも40%以上の値下げがされる。
実はローソンは、創業当初からフードロス対策のため各店舗の判断で値引き販売を行い、現在では約9割の店舗で実施しているのだ。さらに今回、初めてとなる「販売期限切れ」商品の値引き販売を実証実験として行なっているのだ。
実際にニーズがあるのかなどを検証
オトクに敏感な人にとってはとても気になる実験だと思うが、なぜデザートだけなのか?またアプリで買って受け取り時間を過ぎてしまったらどうなるのか?
いろいろ気になるので、まずは株式会社ローソンの担当者に聞いてみた。
――今回の実証実験では何を検証するの?
今回の取り組みは、ローソンで決めている「販売期限」が切れた商品の実証実験で、こういった取り組みにお客様から、どういったお声が挙がるのか、実際にニーズがあるのか、販売実績について検証していきたいと考えています。また通常とは違ったオペレーションになるので、そこからどんなことが見えてくるのかについても検証します。
――ローソンではどれくらいの食品ロスが発生しているの?
2021年度は、1店舗、1日あたりの売れ残り食品の量は大体5.2kgです。これはおにぎりやサンドイッチなどいろんな食べ物を全部含めた量です。
――今回の実験で売るのは、なぜこの10種類にした?
1月まで行う店舗での実験に関してはこの10品でやっていきます。これはローソンの中では多くの店舗が品揃えをして並んでいる確率が高い商品です。商品を色々広げると、初めてのことなのでお店が混乱してもいけないですし、お客様にご迷惑かけすることにもなりかねませんので、まずはこの10品でやってみようとなりました。
――デザートにした理由は?
実証実験では、「日付管理」をしていて、なおかつ「冷蔵管理」している商品を選びました。おにぎりやサンドイッチは、消費期限は何時でその何時間前に撤去するという、「時間管理」をしているので該当しません。今回は、クックパードマートさんと連携する取り組みで、冷蔵機能のあるロッカーを使用することもあり、デザートがいいだろうとなりました。
23時を過ぎたら「開かなくなります」
クックパードマートとは、クックパッド株式会社が展開する生鮮食品ECだ。今回の実証実験で扱うデザートは、同名のスマホアプリを通じて注文を受け付け、同社が展開する生鮮宅配ボックス「マートステーション」で受け取ることになる。
では受け取り時間を過ぎたらどうなるのか? お金はいつ払ったことになるのか? クックパッド株式会社の担当者にも聞いてみた。
――商品代金の決済はアプリで購入した時になる?
ご認識の通りです
――受け取れる23時を過ぎたらどうなるの?
受け取り期限が過ぎた場合は、生鮮宅配ボックス「マートステーション」の解錠に必要なQRコードが無効になりますので、開かなくなります。なお、受け取り期限についてはアプリで通知を行っており、弊社では返金対応はできかねます。
オトクに商品が買えてフードロス削減にもつながる試みだが、今回の実証実験を受けて今後どうなるかは未定。実験の規模拡大やシステムの本格導入について、ローソン担当者によると「まだなんとも言えない」段階とのことだ。