今年起きた様々な出来事をシリーズで振り返る「ブラボー!石川この1年」シリーズの1回目は事件や事故、災害などの社会編。記者の取材ノートから2022年を辿ってみた。

この記事の画像(70枚)

事件記者にとって今年は決して「ブラボー!」と言える年ではなかった。

元旦に石川県七尾市中島町で火災が発生、住宅6棟を全焼し焼け跡からは3人の遺体が見つかった。原因は…いまだ不明だ。

1月末には小松基地を飛び立ったF-15戦闘機が墜落。

2人のパイロットが亡くなった。

提供:航空自衛隊小松基地
提供:航空自衛隊小松基地

その翌日には金沢市東長江町で大規模な土砂崩れが発生。

そして2月24日…ロシアがウクライナに侵略を開始、戦禍を逃れようと17人が県内に避難した。

年明け2カ月だけで重大ニュースが次々と…。そんな石川のこの1年を振り返る。

地震・猛暑・水害…クマの出没も

秋末械人アナウンサー:
こちらの木製の塀が道路に対して下から崩れ落ちてしまっています。
珠洲市民:
こんな感じです。これ全部ひっくり返ったんです。

6月19日。群発地震が収まらない珠洲市でついに震度6弱の地震が発生。

珠洲市のシンボル、見附島が…

土煙をあげて崩れ落ちた。この地震で7人がケガをした。珠洲市では、その後も地震が続き、いまだ収まっていない…。

観光客:
ヤバイじゃん、地球温暖化とか。死にそうなくらいですね。

金沢で38.5度、七尾で38度と観測史上最高を観測するなど異常気象となった今年の夏。

店主:
バテてしまって…汗見てください。水浸しです。

森下冬桜記者:
山の方を見ると上から岩や土砂がまだ流れてきています。

8月、加賀地方を襲った集中豪雨。

小松市などで24時間降水量が観測史上最大を記録。各地で1時間に100ミリを超える猛烈な雨を観測した。

この雨で梯川が氾濫。約1500棟が水につかるなど甚大な被害が発生した。

カメラマン:
川が地面を削り取り建物が崩れかけています。

小松市民:
もう一気にこれだけ…橋の欄干を超えてあふれてきたので。もうとても住める状態じゃない、
想像を絶しますよね。

10月には…

山下理恵記者:
金沢市大野町のからくり記念館です。強風の影響で屋根ガラスが割れ、入口から20メートルほど離れたこちらまで破片が飛んできています。

金沢市内で竜巻が発生。

幸いケガ人はいなかったものの自然の驚異をまざまざと見せつけられた。

カメラアシスタント:
木の上!木の上!

カメラがとらえたのは津幡町の小学校の木に登るクマ。

今年はブナの実が大凶作と予想されたため石川県はいち早く警報を発令。秋の大量出没に備えるよう呼びかけた。

山川遼記者:
クマ出没を受けてこちらの小学校では様々な対策が施されています。

津幡町立太白台小学校 櫻井正浩校長:
これが小さいんですけどAIを使ったクマを感知できるカメラです。感知すると町の担当者、それから教育部長のところに連絡が入るということなんです。

小学校ではクマが実を食べに来ないよう桜の枝を伐採。クマのおかげで来年春の桜の時期は寂しくなりそうだ。結局、ブナ以外の木の実が豊作で秋にクマが街中に現れることはほとんどなかった。

レーダーからの消失・親子で用水に…悲惨な事故

今年は悲惨な事故も相次いだ。

航空自衛隊小松基地の担当者:
レーダーから航跡が消失しました、今のところわかっているのはこれだけなんです。

小松基地を離陸したF-15戦闘機が、突如レーダーから消えた。

塩野利明記者:
ヘリコプターがライトで海を照らしています。パイロット2人を捜索しているものとみられます。

濱口真子記者:
午前6時半です。13時間たった今も捜索が続いています。

向山侑希アナウンサー:
事故から3日後、きょうからは機影が消えたとされる場所よりも北側に範囲を広げて捜索を続けています。

墜落した戦闘機は精鋭中の精鋭が乗り込むアグレッサー部隊。

乗り込んでいたのはブルーインパルス隊長経験もある田中公司一等空佐と植田竜生一等空尉だった。

田中一佐の元同僚:
田中一佐の知り合いなんです、元自衛官。田中さんはものすごく愉快な方で。後輩、先輩みんなから好かれて、当時から腕もすごく良くて。

2人は2週間後、遺体で発見された。

事故の原因はベテランでも陥るという空間識失調だったと結論づけられた。

6月、白山市の用水に親子2人が流され死亡。用水に落ちた小学生の息子を助けようとした母親も流されるという悲惨な事故だった。

向山アナ:
女の子は歩道のあるこちら側に渡ろうとしたところ走ってきた車にこの辺りではねられたということです。

今年は小中学生が車にはねられ、重体となる事故が相次いで発生した。

出口日菜穂記者:
目撃者によると赤信号を無視させた男は事故後、被害者を助けることなくこちらに停めてあった車の中で足を上げて寝ていたということです。

6月、金沢市内で、自転車で横断歩道を渡っていた60代の男性が車にはねられ死亡した事故。

車の助手席に乗っていた寺崎太尊容疑者が赤信号を無視するよう運転手に指示した事がわかり、運転手の女と共に逮捕。

危険運転致死の共犯として起訴された。

危険運転と言えば、2020年12月、金沢市の繁華街で発生したひき逃げ死亡事件。

出口記者:
元少年を乗せているとみられる車が裁判所に入っていきました。

運転していた当時19歳の元少年の初公判が開かれた。元少年は酒の影響はなかったなどと起訴内容をほぼ否認。

裁判員は、反省しているとは思えないと述べ、金沢地裁は検察の求刑通り懲役14年の判決を言い渡した。

これに対し遺族は…

遺族からのコメント(一部抜粋):
被告人から発せられる言葉は言い訳ばかりでしたが、いつか被告人が自分の犯した罪と真摯に向き合い母に心からの謝罪をする日が来ることを望んでいます。

官製談合で市役所を捜索、自殺教唆事件も…

犬塚敦也記者:
県警の捜査員たちが能美市役所へと入っていきます。

2月、能美市の職員が官製談合の疑いで逮捕。

市役所が家宅捜索を受ける事態となった。

濱口記者:
午前9時半の金石海岸です。およそ40人の警察官が砂浜を掘り起こして遺体の捜索にあたっています。

警察が捜索していたのは逮捕された男の父親と祖父の遺体。自宅に放置した遺体が発見されるのを恐れての犯行だった。

男は懲役1年4カ月執行猶予3年の判決を受けた。

3月、白熱した県知事選挙の裏でこんな事件も…

出口記者:
午前9時、警察官に連れられ自宅から出てきたのは知事選に立候補していた岡野氏です。

新聞社に自分の政治的な主義主張を載せるよう強要したとして逮捕された。その後、岡野氏は10万円の略式命令となった。

4月、金沢市内のアパートで赤ちゃんと寝ていた女性が見知らぬ女に包丁で刺された事件。

現行犯で逮捕された佐藤果純容疑者は被害者の夫の知人だった。

逮捕された男:
土下座しろ、はよ死ねや!

8月、実の母親を自殺に追い込んだとして逮捕された男。

実の母親に自殺を迫った理由は、大好きだった「母のカレー」を近所の人におすそ分けしたことだった。男には保護観察付きの執行猶予判決が言い渡された。

航汰さんの父 忠雄さん:
5年経って航汰が生きていれば20歳の成人式を迎える年に何故いないんだろうって…

5年前、川に落ちたボールを拾おうとして死亡した金沢西高校の野球部員、松平航汰さん。

12月9日、裁判所は学校側の責任を認める判決を言い渡したが、父親の無念の思いは消えない。

戦争が始まり多くの災害や事故が相次いだ2022年。来年こそ、皆が「ブラボー」と言える年になることを願いたいものだ。

(石川テレビ)

石川テレビ
石川テレビ

石川の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。