高円宮妃久子さまは、12月3日、カタール訪問を終え帰国されました。

今回のご訪問は、日本サッカー協会の名誉総裁として、FIFAワールドカップ・カタール大会の日本代表戦2試合を観戦しキャンプ地を訪問するなど、選手や監督らを激励するものでした。

久子さまにとってカタールでのワールドカップは7大会目で、前回のロシア大会では102年ぶりに皇族としてロシアの地に降り立ち、2試合をご観戦。ご覧になった試合は1勝1分けで、最終的にノックアウトステージへと進出した日本代表の活躍を喜ばれています。
カタール大会も久子さまの応援もあり、日本代表はグループリーグを首位で通過。2大会連続で16強に進出しました。

コスタリカ戦をご観戦
久子さまがこの大会で最初に観戦されたのは、11月27日のコスタリカとの一戦でした。
ドイツに勝利した日本にとって、ノックアウトステージ進出を決めたいこの試合。
久子さまは、襟とズボンは青で、白いジャケットをお召しになり、ネイルも青で日本代表のエンブレムが描かれた指も見えました。

装飾品はサッカーをモチーフにしものだったようで、ひょっとすると、高円宮さまのカフスとおそろいのサッカーボール型のイヤリングだったかもしれません。
久子さまは、装いについて「それはもう毎回他のサポーターと同じように、名誉総裁であっても、一緒に戦っているつもりなので、一緒に走れない分、少なくともブルーで行こうかしらと思って。ネイルもですし、他のアクセサリーとかも、それぞれサポーターである作家が作ってくれたものなども付けて、娘が作ってくれたものも時々つけていますし、みんなで応援しているという気持ちでおります」と述べられています。
さらにご自分のカメラを出し、客席からピッチに向けシャッターを切られていたようです。
試合は、ご存じのように0-1で敗戦。
久子さまは、試合の翌日、英国のケンブリッジ留学時代にイングランドのサッカー一部リーグに熱中したことがあるということもあり、試合を冷静に分析されています。
「やはり最初の試合がいろいろと難しいと言われる中で、頑張って勝てたので、かなりそこに気力を使ったのであろうなと。私達がその外から見ているよりも1人1人の選手の気持ちにおいて負担はあったのだろうなと思いました。実に勝ってほしい試合だったので、あとちょっとって言うところだったので、とてももったいないと思ったのですが、逆にコスタリカの方々が、その夢を繋いでくれてありがとうっておっしゃっていただくと、こちらもちょっと複雑な気持ちで。本当にきっと、7 -0で負けたスペインとの試合の後で、本当にがっかりしておられて、その1人1人の選手がすごく頑張ってきているわけですし、コスタリカの国の方々は、皆さんすごく応援してらっしゃるわけですから、そういった意味では、ありがとうって言われると返す言葉もございません、という感じではあったのですけど」
久子さまは、勝ったコスタリカに敬意を示しながらも、悔しさをにじませていらっしゃいました。

スペイン戦をご観戦
12月1日には、スペイン戦をご覧になりました。
この時は全身青を基調とした洋服をお召しになっています。
この試合でも、ネイルをするとおっしゃられていたので、映像では確認できませんでしたが、されていたと思われます。
試合前、久子さまはスペイン戦にむけて「お互いを信じてお互いのコミュニケーション、お互いとのコミュニケーションの取り方、ちょっと昨日(コスタリカ)の試合は1人1人がちょっと、内向きになっていたような感じがして、疲れているためか、工夫が感じられないとか、積極性が感じられないとかという部分も見えていたような気がするので、疲れを思いっきりとって、それでもう悔いのないような試合展開をしてもらえれば嬉しいと思います」と述べられていました。
試合は、こちらもご存じの通り、2-1の逆転勝ち。

久子さまが望まれたように、コミュニケーションをとり集中した選手たちが、悔いのない戦いを見せてくれたのでした。
妃殿下は、試合について次のような感想を寄せられています。
「ドイツ・コスタリカの試合展開が1―2になった段階で、スペインは勝たないと決勝トーナメントに出られなくなることがわかりました。スマホでチェックしている人もいましたが、会場のスクリーンでもグループEの2位にコスタリカが入り、スペインが後退。スペインの関係者の顔色がだんだん変わっていきましたし、スペインの監督も、より大きな声で指示を出し、水を多く飲んでいたのが印象的で、スペインが真剣勝負で日本と闘っていることがよくわかりました。当初から森保監督と日本代表選手はドイツやスペインという強豪と戦うことを楽しみにしておりました。そのことを改めて思い起こし、このたび、真剣勝負で粘り強く、日本らしく勝てたということの素晴らしさを噛みしめています。ワールドカップでは、わたしは駆け付けたサポーターと一緒に(固まった状態ではありますが)応援しているのですが、彼らと共有する時間、会場内の一体感は格別なもので、今回も貴重な思い出となりました」

3日に到着した久子さまは、笑顔を見せられていました。
現地の文化や歴史にも触れる旅に
七つの大会を現地でご覧になった久子さまですが、久子さまは、どの大会でもサッカーの試合だけをご覧になったわけではありません。
その国の文化や歴史に触れるご訪問でもあったのです。
今回は、カタール国立博物館や精神障害や自閉症をもつ子どもの福祉施設、アル=シャファラー・センター、イスラム美術館などを訪問されています。

そのために、日本でもカタールについていろいろ勉強をされていたのです。
「カタールには今回初めての訪問になりますので、ずっと、楽しみにしていて、歴代の駐日カタール大使にも大使公邸に呼んで頂いていろいろお話を伺っていた中で、例えば真珠を採るという、そういう真珠の産業の歴史とかを教えていただいておりました」

実際に、国立博物館でカタールの歴史に触れられると「古い時代というのは人類世界中共通に、同じように石器を作って生活している。それもお互いに情報を共有しないでいながら、それぞれの場所で同じように石器を作っていた時代があるというのは、今私達が一つ考えなくてはならない原点なのかしらと」「カタールには過酷な歴史もありますし、非常に難しい環境の中でこれだけの自分たちの文化を守りながらこれだけの新しい街を作っていったという、ある種の奇跡的なことですね」と述べ、さらに、バードウォッチングに行き、環境を大切にされていることも感じられたそうです。
そして、ワールドカップ観戦に訪れているサポーターにも、この国を知る機会を持ってほしいとも述べられています。
「サッカー場だけでなくて、この博物館にも、他のいろいろな美術館博物館もありますので、ぜひカタールの文化に触れて歴史を学んで帰ってほしいと思いますね。せっかくのチャンスですので」

「ドーハの歓喜」を現地でご覧になった久子さま。
サッカーには、戦いに一喜一憂するだけのものではなく、色々な国との交流を生み出す力があることを示されているのです。
【執筆:フジテレビ皇室担当解説委員 橋本寿史】