ライチョウが大きくなったり小さくなる…。そんな不思議な動画がTwitterに投稿され話題になっている。

「ふくらんだり、しぼんだり。皆さんが見ているライチョウも、実は空気でかさ増しされているかも...?!?!」とのコメントと共に投稿されたのは、18秒の動画。白に茶色の羽が交じったライチョウが映っている。

提供:市立大町山岳博物館
提供:市立大町山岳博物館
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動画を見ると、まるで風船のようにふわふわの羽がどんどん膨らみ、体が大きくなっていくのだ。

提供:市立大町山岳博物館
提供:市立大町山岳博物館

そして、体をぶるぶると震わせると、すぐにしぼんでしまった。

提供:市立大町山岳博物館
提供:市立大町山岳博物館

投稿したのは長野県大町市にある市立大町山岳博物館の付属園(@389fuzokuen)の公式アカウントで、映っているのは5歳メスのニホンライチョウだ。

提供:市立大町山岳博物館
提供:市立大町山岳博物館

羽がふわふわしていることもあり、どの大きさが本当の姿なのか気になってしまう。

この投稿にTwitterユーザーからは、「もっふもふからのプシュ~」「抱っこしたいです」「もわっと、ぽわっと、大きくなったーかわわ~」というコメントが寄せられ、動画は25万回以上再生され、2万8000いいねが付いている(12月1日時点)。

“ふくらむ・ブルブル・しぼむ”がワンセット

もふもふに膨らんで、そしてしぼんでいく姿が不思議だが、なぜこのような動きをしたのだろうか? そして、どちらが本当の姿なのだろうか?

気になる点を市立大町山岳博物館の担当者に聞いてみると、興味深いライチョウの生態がわかった。

ーーこの姿は普段からよく見られるの?

回数はそこまで多くありませんが、普段から見られる行動です。今回は、歩いていたライチョウが突然立ち止まり、ふくらんでブルブルしたところを偶然撮影していました。

飼育員側が、故意にふくらませる、しぼませることはありません。掃除や体重測定の際、別の部屋においこもうとすると、緊張でほっそりしぼむことはあります。

提供:市立大町山岳博物館
提供:市立大町山岳博物館

ーーどうして膨らんだりするの?

今回投稿した動画は、「1:ふくらむ」→「2:ブルブルする」→「3:しぼむ」がワンセットの行動になります。この行動は、体についたフケやホコリを払ったり、羽を整えたりする意味で行っていると思われます。普段、特に羽繕い後や砂浴び後にこの行動をします。

上記のように、特に何もしていなくても行うので、鳥特有の生理現象ともいえると思われます。ふくらんでブルブルせずそのまましぼむこともあります。その時の気分でしょうか。


ーー膨らむとどのくらい大きくなるの?

ひとまわりは大きくなっている印象を受けます。冬場、寒い時はさらに大きくなっているように見えます。

膨らんでいるオス(提供:市立大町山岳博物館)
膨らんでいるオス(提供:市立大町山岳博物館)

ーーこの姿を見た時、どう思った?

ふくらんでいる姿は、いつも可愛らしいのですが、さらに大きくもふもふになっていたので、可愛さに拍車がかかっていました。

膨らんでいるのは“リラックス”

ーーニホンライチョウについて教えて

北半球北部に広く分布している種。ライチョウの中で最も南に隔離分布している亜種です。キジ目の鳥です。主に本州中部の標高2200~2400メートル以上の高山帯で生活していますが、冬期には亜高山帯にも降りて生活します。

成鳥で全長37センチの種。体重は、400グラム前半~600グラム後半ほどです。年に3回換羽(羽が生え換わる)する珍しい鳥です。(夏羽、秋羽、冬羽)
季節に応じて体色を変化させ、周囲の風景にとけこむ事で、捕食者から見つかりにくくなります。このような、周りの風景に溶け込む体色のことを「保護色」といいます。

スマートな夏羽(メス)(提供:市立大町山岳博物館)
スマートな夏羽(メス)(提供:市立大町山岳博物館)

野生では主に、高山植物の芽や種子などの植物質のものを食べています。まれに昆虫類なども食べることがあります。

息で鼻の穴が凍らないように、鼻のまわりも羽毛で覆われている。脚から熱が逃げないように、脚さらに脚の脂にまで羽毛が生えているなど、寒さに強い体のつくりをしています。

もふもふな脚(提供:市立大町山岳博物館)
もふもふな脚(提供:市立大町山岳博物館)

ーーどちらが本当の姿なの?

通常はどちらともいえません。その日の体調、気分、気温で変わります。ブルブルが関係せず、ふくらんでいる、しぼんでスマートになっている姿は、意味があります。

ふくらんでいる:
リラックスしている、寒い、体調が悪いなど
寒い時にふくらむのは、羽毛の間に空気をためこみ、そのためこんだ空気を体温であたため、温かい空気の層をつくることで保温効果を高めています。人が寒い時、重ね着したり、布団を重ねて使うのと同じようなものです。なので、冬の方がふくらんで丸っこいライチョウを見ることができます。

しぼんでいる:
興奮している、緊張している、寒くないなど
普段歩いている時もだいたいスマートでほっそりしています。春~秋にかけてもスマートな時が多い感じがします。

冬羽(オス)(提供:市立大町山岳博物館)
冬羽(オス)(提供:市立大町山岳博物館)

ーー話題になったけど、どう思う?

たくさんの方にライチョウの愛くるしさが伝わったようで嬉しいです。ニホンライチョウは、主に本州中部の高山帯で生活しており、身近な鳥でないからか、知名度が低めなのが残念と思うことがあります。そして、気候変動や高山の環境変化に伴い、絶滅の危機にも瀕している鳥です。

これを機にたくさんの方にライチョウについて興味、関心を持っていただけるといいなと思います。


ーー現在、膨らんだりする姿を見ることはできるの?

当園では、現在ニホンライチョウのオス2羽、メス1羽を公開展示しております。投稿動画のような「ふくらむ→ブルブルする→しぼむ」行動は、ねばり強く観察しないと見ることは難しいと思います。
(行う回数が少なく、決まった時間に行うわけでもないため)

ですが、冬で寒いということもあり、みんな常時ふっくら丸っこい状態なので、愛らしいふくらんだ姿はよく観察できると思います。

膨らんでいるメス・冬羽(提供:市立大町山岳博物館)
膨らんでいるメス・冬羽(提供:市立大町山岳博物館)

ーー最後に、ニホンライチョウの魅力を教えて

たくさんの魅力がある鳥ですが、年に3回羽が生え換わり、季節ごとに色々な姿を見せてくれるところがいいなと思います。特に冬は、真っ白な冬羽になり、ふくらんだ姿はまるで大福もちのようでとてもかわいらしいです。ウサギのようなモフモフの脚もかわいさをひきたたせているポイントかなと思います。

本当の姿がどちらなのかはその日次第。そして今回話題になった行動を見るためには、粘り強く観察することが必要だった。膨らんだり縮んだりする姿に気を取られていたが、よくみると脚もふわふわとした毛で覆われているなど興味深い鳥だ。

記事 4715 プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。