日々寒さが増している今だからこそ、野山で熱々の「キャンプめし」を楽しんでいる人もいるだろう。

しかし今、Twitterでは缶詰の調理法について、こんな呼びかけが注目を集めている。

キャンプブームで缶詰の直火(オーブン含む)調理を紹介している記事や動画がよくあります。
缶は金属腐食を防ぐ為、樹脂でコーティングされており、BPA(ビスフェノールA)が多く使われます。
BPAは一般的用途での溶出はほとんどありませんが、120度を超える加熱では溶け出します。

BPAは内分泌かく乱作用があり、発がん性や様々な健康被害が報告される物質です。(日本政府でもEU、アメリカでも常温での溶出基準については厳格に管理されています。)
缶詰の加熱は湯煎でお願いします。
火を止めてからお湯に入れても充分温まります

缶詰を直火にかけると、有害な物質が溶け出る可能性があるというのだ。

投稿したのは缶詰の輸入などを行う三幸貿易の公式アカウント(@SANKO_TRADING)で、缶詰を温める際の方法としては、直火ではなく湯煎するようにも呼びかけた。すると、今まで知らずに直火にかけていた経験者を初め、様々な人から反応があり話題となった。

(画像はイメージ)
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また60年以上の歴史がある日本製缶協会も、今年8月に「缶詰の直火かけ自粛のお願い」というリリースをサイト上に公開し、「缶詰の直火かけは絶対に避けて頂きますようお願い致します」と呼びかけている。

理由は、缶詰内側の膜が加熱殺菌(一般的に110~120度で30~90分)では安全だが、直火のような高温での加熱では保証できないという。

また未開封の状態で加熱した場合の危険性も紹介。「缶の内圧が異常に上昇して、缶が破裂して大けがをしたり、缶を開けた際に高温の食品が吹き出してやけどをしたりする危険性があります」とし、温める場合はふたを開けた状態で湯煎するようにお願いしている。

キャンプブームで問い合わせ

直火がダメな理由はだいたい理解できた。その一方Twitterでは、水分の多い缶詰であれば直火でも大丈夫だったりしないの?などの声もあるが、一体どうなのだろう。また過去に、直火で被害にあった人はいるのだろうか?

日本製缶協会の担当者に聞いてみた。


――今年8月に「缶詰の直火自粛」のリリースを出した理由は?キャンプブームの影響があるの?

昨今のキャンプブームによる出版会社からの問い合わせがありました。ウェブサイトの料理レシピ運営会社からも問い合わせもありました。数年前には缶詰を直火で加熱して提供している飲食チェーンに対して危険性があることを連絡しました。今後も問い合わせがあると考え弊会のHPに記載しました。


――缶詰の直火で健康被害があった実例はある?

弊会に健康被害があった事案の連絡を受けたことはございません。

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――缶詰の膜というのは、内側が黄色などに見える部分のこと?

その通りです。内容物を保護するための塗膜(塗料を200℃前後で焼付乾燥させたもの)です。 透明な塗膜やPETフィルムをラミネートした缶もあります。


――「水煮缶など水分が多い缶詰は加熱しても高温にならないのでは?」と考える人もいるようだが?

弊会では直火禁止を推奨していますので、実際にどのようになるのか知見がございません。

缶詰を温める時は湯煎しよう(画像はイメージ)
缶詰を温める時は湯煎しよう(画像はイメージ)

――湯煎はどんなに長時間しても安全?

長時間がどれほどの時間にもよりますが、内面からの溶出を問われておられるのであれば、湯煎は100℃が上限となりますので、殺菌時間の上限目安90分程度なら問題ないでしょう。

但し、一般的に湯煎する時間が長くなれば、湯煎するお湯が蒸発によって減り、最後には空焚き状態になります。その過程で熱がどのように缶詰に伝わってどのような温度状態になるかは弊会には知見がございませんので、その場合の安全性はわかりかねます。いずれにしても缶詰は金属製で熱伝導性が高いため、やけどには注意が必要です。

「キャンプめし」といえば缶詰を火で炙るイメージを思い浮かべる人もいるだろうが、直火調理は避けたほうがよさそうだ。さらに湯煎するときは必ず蓋を開けて頂きたい。安全に注意して楽しく美味しいキャンプを楽しんでほしい。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。