生まれ故郷の神戸市から島根県安来市にIターンした男性。長年働いてきたアパレル業界から、畑違いのイチゴ農家に転身した。新天地での第2の人生へ、男性を後押ししたのは家族の存在だった。

夜はカフェオーナーも 6品種3000株を栽培

安来市郊外の荒島町、午後8時。町は静まり返っているが、とある農業用ハウスからは何やらにぎやかな声が聞こえてくる。

中をのぞいてみると、趣あるアンティークな空間が現れた。テントが置かれ、アウトドア用チェアにランプも。ここは一体?

農業用ハウスの中にアウトドア用テントが
農業用ハウスの中にアウトドア用テントが
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オーナー:
「眠り姫ミルク」といいます

その正体は、2022年7月にオープンしたカフェ「いちごの木△」。アウトドアな雰囲気に子どもたちも大興奮。次々と家族連れがやって来る。

家族連れでにぎわうカフェ
家族連れでにぎわうカフェ

来店客:
雰囲気がすごく良くて落ち着く

いちごミルクやコーヒーなどを楽しめるカフェのオーナー、南真之さん。

夜はカフェオーナーだが、昼間はイチゴ農家だ。

南真之さん:
ランナーといって、つるを取る作業をしている

3年半前に故郷の神戸から安来へIターンし、13年間勤めたアパレルショップの店員から農家に転身を遂げた。市の就農支援を受け、2年半の研修を終えて2021年9月に独立。現在は6品種・約3000株のイチゴを栽培している。

南真之さん:
イチゴ栽培は気を抜けないのが一番大変

本格的な出荷のシーズンは12月から。店舗で販売するほか、パン屋や洋菓子店にも卸している。しかし、なぜIターン、しかもアパレル業界から農家に転身したのか?南さんを動かしたのは家族の存在だった。

イチゴに魅了「どこまでも映えるし、かわいくなる」

南真之さん:
家族の時間がどうしても取れないライフサイクルになっていて、その生活に疑問を抱くようになった。妻の実家がある安来市の緑豊かな田園風景に心を奪われ、家族との時間を取るために移住を決断した

家族の時間を大切にするため移住を決断
家族の時間を大切にするため移住を決断

3人の子どもたちに囲まれ、自然豊かな安来の地で第2の人生を歩み始めた。

長女:
魚を捕まえたり、虫を捕まえたりしてる。こっち(安来)は山とかがたくさんあって、きれいで好き

7月にはマイホームが完成。都会の喧噪を離れて田舎で暮らすうち、時間にも気持ちにも余裕が生まれたという。そんな中、イチゴ農家になったのは…。

南真之さん:
イチゴはどこまでも映えるし、どこまでもかわいくなってくれる。それに魅了された。イチゴを育てることしか考えなかった

「イチゴに魅了された」と話す
「イチゴに魅了された」と話す

イチゴの“映え”を追求。アパレル業界で培ってきたセンスを生かして始めたのが、カフェだった。

南真之さん:
イチゴ自体ができるのは半年。他の期間は無収入になってしまうので、他の作物を作る方も多いが、僕は自分が得意なおしゃれな空間を作ることがしたいなと思った

さらに、夜カフェにはこんな思いも。

南真之さん:
外には魅力的なものがたくさんある。星もきれいだったり、月もきれいだったり、虫の声がきれいだったり。夜の魅力的なところを感じに外に出る、ひとつの良いきっかけになればすてきだなと

都会から移り住んだ南さんが感じた自然の魅力を地元の人たちにも再認識してほしい。アウトドアグッズが並ぶノスタルジックな空間演出には、そんな願いも込められていた。

南真之さん:
安来イチゴの広告塔になれるなら、イチゴの産地としての安来ももっと盛り上がってくるかなと思うので、しっかりと考えてやっていきたい

これまでのスキルを生かして、新天地でやりたいことを実現していく南さん。安来でスタートしたセカンドキャリアでは家族時間を大切に。イチゴの花言葉の通り「幸福な家庭」を築いていく。

(TSKさんいん中央テレビ)

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TSKさんいん中央テレビ
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