10月11日、福島・飯舘村で行われた稲刈り。収穫したコメは食用ではなく、日本発の新たな取り組みに活用する。

子ども用おもちゃにも!地球にやさしい素材に注目

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バイオマスレジン福島・今津健充 社長:
お米と石油由来のプラスチックを混ぜた、新しいバイオマスプラスチックの技術を使って、「ライスレジン」という新しいプラスチックを開発しています

「バイオプラスチック」とは、植物由来の原料を使用したプラスチック素材のこと。そのうちの1つ「ライスレジン」は、コメが配合されているのが特徴だ。

バイオマスレジン福島・今津健充 社長:
最大70%のお米を含有する事が可能です。CO2削減に向けた、課題の解決につながるんじゃないかなという風に思っております

コメを配合した分だけ、化石燃料の使用を抑えることができる。そのため、「脱炭素」を目指した地球にやさしい素材として、いま注目されているのだ。

バイオマスレジン福島・今津健充 社長:
トータルで、今800種類を超えてまして。今後さらに、いろんな種類を増やしていきたいと思っています

「ライスレジン」で作られた製品の数々。器や大きなスプーンなどの形をした、カラフルなおもちゃもある。

バイオマスレジン福島・今津健充 社長:
こちらは(コメの)含有率が50%を超えているので、プラスチック商品ではなくて、「お米製品」というような扱いになっております。なのでお子様も安心して遊んでいただけるような商品です

福島の耕作放棄地を活用 「帰還住民の雇用の受け皿に」

11月には、福島・浪江町に新設した工場で、「ライスレジン」の製造を始める。今津社長が、福島にこだわるのには理由がある。

バイオマスレジン福島・今津健充 社長:
(原発事故後)お米が作れなくなって、増えてしまった耕作放棄地を活用して、帰還住民の方々の雇用の受け皿として、新しい産業を創出して(地域に貢献したい)

浪江町の加倉地区。生産組合の阿部仁一組合長は、2021年から、プラスチックの原料にするコメを栽培している。

加倉生産組合・阿部仁一 組合長:
秋の黄金色の穂波に揺られるね、風景はなんとも言えない風景で、うれしい気持ちです。ここの面積は、2町歩(ヘクタール)ほどあるんですが、今年(2022年)初めて震災後、作付した田んぼです

浪江町の稲作面積は、現在194ヘクタールと、震災前の約16%にとどまっていて、農業の復興はなかなか進んでいない。
そうした中でも、この地区では、今後プラスチックの原料にするコメの栽培を拡大させていく計画だ。

加倉生産組合・阿部仁一 組合長:
ここは、農地は44町(ヘクタール)くらいあるんですが、将来的にはその80%位は、バイオマスさんと一緒にやっていく面積にしたいなというように考えています

地球温暖化などにつながる、化石燃料の使用を減らす役割を担う「地球にやさしいプラスチック」。いま「被災地の復興」を後押しする役割も担いつつある。

バイオマスレジン福島・今津健充 社長:
福島は元気なんだぞと、相双地域元気だぞと、いろんなことにチャレンジしてるよという所がメッセージとして、伝わっていけばいいなという風に思っております

(福島テレビ)

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