岸田文雄首相は10月17日、“統一教会”問題について、実態解明に向け調査を始めることを表明。これに対して現役信者がFNNの取材に応じた。

この記事の画像(15枚)

「お前は“統一教会”なんだよ!」容赦ないヤジも

午前9時、岸田首相と全ての閣僚が出席し、予算委員会の質疑が始まった。

答弁者席に並ぶ大臣の中で、せわしなく左右を見回し落ち着かないような様子を見せていたのが山際経済再生相。野党側は“統一教会”問題の接点が次々と判明した山際大臣の辞任を要求。標的になると思いきや、異例の展開となった。

山際経済再生相
山際経済再生相

最初に質問に立ったのは自民党の萩生田政調会長。「しっかりと議論をしてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします」と発言するも「お前は“統一教会”なんだよ!」という容赦ないヤジが飛んだ。

自民党 萩生田政調会長
自民党 萩生田政調会長

「私も含め自民党議員の関与が、結果として教団の信用を高めることに寄与してしまったのではないか。こうしたご指摘を私たちは真摯に受け止め、猛省をしなくてはならないと思っています」と述べた萩生田氏。質問の前に質問者が謝罪するという異例の事態が起きた。

「解散命令請求も視野」金銭トラブルなど相談は1700件超

こうした中、霊感商法の対策を議論してきた有識者会議が、17日に報告書を公表。旧統一教会について「解散命令請求も視野に入れ、質問権などを行使する必要がある」と提言した。

この提言を受け、岸田首相は教団の実態調査に踏み切る方針を表明。宗教法人法に規定されている「質問権」を行使し、調査をするよう永岡文科相に指示した。

調査結果次第では「解散命令」の請求が可能になる質問権だが、実際に行使された前例はない。

岸田首相は、政府の窓口に金銭トラブルなどの相談が、9月30日時点で1700件以上寄せられたとした上で、「報告徴収、質問権の行使に向けた手続きを進める必要があると考えており、文部科学大臣に速やかに着手させます」と答弁した。

「文部科学大臣に速やかに着手させます」とした
「文部科学大臣に速やかに着手させます」とした

政府はこれまで、憲法が保障する「信教の自由」などを理由に慎重な姿勢だったが、方針を転換した形だ。

現役信者「宗教迫害だよ!」 教団の受け止めは

一方、東京都内の旧統一教会本部では目立った大きな動きは見られなかった。

岸田首相が実態調査を行う意向を示したことを受け、教団関係者への取材を試みると、本部から出てきた男性信者に話を聞くことができた。

男性信者:
岸田総理は民主主義を分かっとらんね!宗教蹂躙(じゅうりん)だね。宗教迫害だよ!

Q. 違法行為の可能性があると

男性信者:

ウソだよ!それは全部。みんな頭にきてるよ!

17日の国会で永岡文科相は、質問権について「年内のできるだけ早いうちに行使できるよう進めたい」とし、「解散命令を請求するに足りる事実関係を把握した場合には、速やかに裁判所に対し解散命令を請求することを検討してまいります」と述べた。

しかし、野党はこの発言をきっかけに「教団への調査をいつまでに終えるつもりなのか」と岸田首相を厳しく追及。それに対し、岸田首相は「調査がいつまでに終わるかについては、今断定的に申し上げることはできません」と明言を避けた。

岸田首相が実態調査する方針を示したことについて、旧統一教会はFNNの取材に対し「今後、正式に調査の依頼があれば、これを真摯に受け止め、誠実に対応していきたいと思います」と答えた。一方、解散命令の請求も視野に入ることについては「回答を控えたい」とした。

新たな局面を迎えた“統一教会”問題。

文化庁は、質問権を行使する基準の策定に向けた専門家会議を立ち上げ、25日に初会合を開くとしている。

(「イット!」 10月17日放送)