中国人向けツアー会社社長の女と役員の夫が3日、雇用調整助成金約1億1000万円をだまし取った疑いで逮捕された。不正受給総額は6億円以上にのぼると見られる。女はSNSで派手な私生活を投稿していたが、その裏で会社は資金繰りが悪化し、従業員への給料未払いも発覚している。

SNSには“成功者アピール”の写真

空港で自撮りする女。経営している会社の忘年会では笑顔で踊り、自分のSNSには成功者をアピールするかのように数々の写真を投稿していた。

この記事の画像(11枚)

東京・久松署で3日、ピンクの髪を三つ編みにしているのが、警視庁に逮捕された中国人向けツアー会社の社長、坂川馨容疑者(56)だ。

夫で役員の孟偉容疑者(53)とともに雇用調整助成金、約1億1000万円を不正に受給した疑いが持たれている。

坂川馨容疑者(中国SNSより):
こんにちは、坂川馨と申します。1992年9月に来日しました。2003年に自分の旅行会社を初めて設立したので、今では21、22年になります。

取材班:
坂川容疑者が経営する会社ですが、入り口はシャッターが下りています。

警視庁によると2人は2022年に新型コロナの影響で、実際には存在しない社員にも休業手当を支払ったと嘘の申請をした。

このような手口で2人が不正に受給した金額は、合わせて6億円以上にのぼると見られている。

その生活ぶりは、リゾート地でのバカンスや銀座での高額ショッピング、さらには「スペシャルエイジングケア点滴。これでコロナに負けないよ」と、自撮り映像をあげていた。

「コロナに負けない」と語っていた本人が、コロナの助成金を不正に受け取っていたのだ。

女社長が経営する旅行会社の従業員が、FNNの取材に答えた。

旅行会社の従業員:
助成金制度を知り、申請してお金が入ってくるようになってからは、結構いい車を買ったりとかはありました。社長室のガラスケースの中に、ルイ・ヴィトンのかばんとかあったりします。

派手な生活も資金繰りは悪化

セレブな生活の一方、会社の資金繰りは悪化していた。

旅行会社の従業員:
支払いがまったくできていません。(取引)業者への支払いも滞っていて、連絡を入れました。

警察の家宅捜索が行われた2月10日以降、坂川容疑者と連絡がとれなくなり、5日に支払われるはずだった社員への給料も支払われていないという。

だまし取った金は高級車や都内のマンション、さらには山梨県にある750坪の土地の支払いなど、派手な投資に消えたとみられている。

山梨・山中湖村の富士山に近い場所にあるのは、坂川容疑者が経営していたとみられる宿泊施設だ。

SNSでは中国人観光客に向けて、富士山が見えるホテルとしてアピールしていたが、2月頃から客足が激減。10日も、ひっそりと静まりかえっていた。

近隣住民:
春節の頃には一日何組も通っていたのが、1組2組くらいになっていた。ここ直近はほとんどいなかった。(客足は)2月は完全に落ちてましたね。

坂川容疑者は旅行会社、宿泊施設などさまざまな事業を手がけていたという。

SNSを見ると飲食店でのイベントや薬局のオープン、土産物店の宣伝など幅広い事業に関わっていたことが確認できる。

全国で相次ぐ、雇用調整助成金の不正受給の数は累計1889件で、総額は613億円を超えている。今回の事件も氷山の一角といえそうだ。

警視庁の取り調べに対し、坂川容疑者は「当時は不正だと思っていなかった」と、容疑を否認している。

捜査は、さらなる余罪の追及に進んでいる。
(「イット!」3月10日放送より)