岸田さんは元気がないようだ

臨時国会が始まり、今週は岸田文雄首相の所信表明演説と、これに対する各党の代表質問が行われたのだが、内閣支持率がどんどん下がっているせいか、岸田さんはやや元気がないように見えた。

臨時国会で所信表明演説を行った岸田首相(3日)
臨時国会で所信表明演説を行った岸田首相(3日)
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所信表明ではこれまで岸田氏の「ウリ」だった「新しい資本主義」「分配」というワードがほとんど入らなかった。代わりに物価高への対応策に何度も言及し、良く言えば「現実的」、悪く言えば「その場しのぎ」な印象を受けた。

代表質問では野党から旧統一教会と国葬に関する追及が多かったが、旧統一教会については「被害者救済のための法改正」、国葬については「有識者から意見を聞いてルールを作る」という無難な答弁。しかしこの二つについてこれ以上議論することってあるのか。「山際辞めろ」「いや辻元だって」とか意味あるのか。

岸田イジメのフェーズ?

最新の内閣支持率は10/1-2の調査で読売が5Pダウンの45%、朝日が1Pダウンの40%で、まだ下げ止まってはおらず「続落」という状況だろう。また首相が長男を政務の首相秘書官に起用したことに対し立憲の西村代表代行が「公私混同との批判を招きかねない」と追及するなど批判が集まっている。

政務秘書官に起用された長男・翔太郎氏と岸田首相(4日)
政務秘書官に起用された長男・翔太郎氏と岸田首相(4日)

確かに特別職の国家公務員なのだが、自民党の福田達夫前総務会長が父の康夫元首相の政務秘書官をやっていた時は文句を言う人はいなかったし、旧民主党も似たようなことをやっていたから、「なぜ岸田さんだけが叱られるのか」と思ったが、まあ世間は「岸田イジメ」のフェーズに入ったのかもしれない。

ただ不思議なことに自民党内には危機感があまりない。たぶん政党支持率が悪くないからだろう。むしろ自民が上がって立憲が下がっている調査もある。しかも衆参の選挙は3年間ない。たとえ選挙があっても旧民主が分裂している以上、政権交代は考えにくいのだ。だから党内ではすぐに岸田をおろせという声も出ない。

今後3年間は黄金か鉛か

つまり解散するほどの力はないがあと3年はズルズル続くという史上初めての奇妙な安定政権になるかもしれない。これはもしかしたらよく言われてきた黄金の3年間で、やりたいことをやれる可能性がある。

首相は国葬を即断し、その後反対が増えてもブレなかった。旧統一教会の対応も淡々とこなしている。また原発再稼働やミサイルの反撃能力に前向きなところは前任の菅義偉氏よりむしろ安倍晋三氏に近いものがある。

東京・日本武道館で行われた安倍元首相の国葬(9月27日)
東京・日本武道館で行われた安倍元首相の国葬(9月27日)

広島での「核廃絶」サミットの後に解散して2期6年の長期政権などという夢を捨て、あと3年で安倍、菅政権がやり残したことをきちんとやり、安保とエネルギーをうまく軌道に乗せることができれば、岸田氏も大宰相と呼ばれるだろう。黄金でなく鉛の3年にならぬようにしてもらいたい。

【執筆:フジテレビ 上席解説委員 平井文夫】