マイバッグの持ち歩きは当然。使い回しのレジ袋は、乾いた物と水分がつく物で使い分けるのも当たり前。エコ意識の向上で、身の回りにあるプラスチックゴミ削減の取り組みが広がりを見せている。クリーニングで出る衣類用カバーを回収してポイントにする試みや、長崎・五島列島に打ち寄せる漂着プラゴミを、カラフルで美しい“宝物入れ“にする取り組みを取材した。

エコ意識が向上 “約8割”がマイバッグ

福岡市にあるスーパーマーケット。レジの前では、大小の袋を5円と3円で販売している。

永野小夜子リポーター:
レジ袋有料化から2年以上が経ち、今ではどのくらいの人がレジ袋を購入するのでしょうか?

レジ横に定点カメラを置かせてもらい、何人がレジ袋を購入するのか観察した。すると、17人連続でレジ袋をスルー。店員も「袋はご入り用ですか?」の声掛けをしていない。

レジ袋を購入する人の姿は少なかった
レジ袋を購入する人の姿は少なかった
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取材した2時間で、レジ袋を買った人は、143人中23人。8割以上の人が、購入した商品をマイバッグに詰めて持って帰っていた。

マイバッグを使っている人:
(レジ袋は)買いません。(マイバッグを)持ち歩くのが当たり前になっているから

マイバッグを使っている人:
できるだけ自分で(マイバッグを)持ってくるようにしています。それ以上、買い物し過ぎた時に(レジ袋は)買います

マイバッグについて意外と多かったのが、別の店で購入したレジ袋だ。

買い物が終わった人:
別のところで(買った)、結構丈夫なので、いつも持っています。冷蔵とか冷凍とか、水分が出るじゃないですか。別々に乾いたものと分けている

イオン九州では現在、約8割の人が何らかのマイバッグを使用しているという。

イオンショッパーズ福岡店 レジ担当・敷田恵美さん:
お客様もエコに対する意識がすごく強まりまして。当たり前の意識が変わってきた。皆さん、そのようになってきております

この買物袋持参運動を皮切りに、イオンでは、プラスチックごみ削減への取り組みを拡大。2025年までに使い捨てプラスチックの使用量を2018年と比べて48%減少させる目標を立て、ストローやカトラリーを木製や紙製に切り替えるなど、さまざまな取り組みを続けている。

木製や紙製ストローへの切り替えも進んでいる
木製や紙製ストローへの切り替えも進んでいる

イオングループでは、レジ袋の収益金を毎年、自治体などに寄付していて、2021年度は1億3,713万220円にのぼった。収益金は、地域での様々な環境保全活動に役立てられているそうだ。

クリーニング店では衣類用カバーをリサイクル

一方、福岡市博多区のクリーニング店。

クリーニング店店員:
クリーニング後のビニールを回収しておりますので、よかったらまたポイントをもらえますので、ぜひご協力お願いします

このクリーニング店では、7月から衣類用カバーを回収する実証実験を始めた。
ビニールカバーのリサイクルに協力すると、アプリでポイントを付与。5ポイント貯まると300円分の割引クーポンが利用できる。多い日で1日、50枚ほど回収している。

回収されたカバーはいったん、再生樹脂に加工され、それを原料にして再び衣類用のカバーが作られるという。
また、このクリーニング店では、以前から従来のものより3割プラスチックが削減できる軽量のバイオマスプラスチックのビニールカバーを使用している。

来店客:
いいじゃないですか。ポイントはうれしいかな

来店客:
こういう取り組みをやってる企業さんは多いと思うので、見習わないといかんかなと思います

2022年4月に施行されたプラスチック資源循環促進法で、衣類用カバーは排出の抑制が求められているが、福岡県内では、約3,300のクリーニング店が年間170トンの衣類用カバーを使用している。
そこで福岡県は、衣類用カバーをリサイクルしようと実証実験に乗り出し、現在、県内14の店舗が参加しているという。

アルサ 経営企画室・毛利明光室長:
徐々に(客に)浸透してきているところで、回収率は50%くらいを目指していって、(ビニール)カバーを半減していきたい。当店をご利用いただくことで、一緒に環境問題に取り組んでいっていただけたらという思いです。環境に貢献できるプラットホームになれればと思います

現在この企業では、紙製のハンガーを開発中で、ビニールカバーも紙にできないか研究中だという。

漂着ごみから作成 環境に優しい石けんケース

一方、福岡市内の雑貨店には、きれいな海を守るために生まれたある商品があった!

阿部まみリポーター:
カラフルでとてもかわいい石けんケース。海岸に漂着したごみから作られている、環境に優しい商品なんです

長崎・五島列島の北部にある小値賀島は、人口2,600人ほどの小さな島。海が透き通っていて、観光客にも人気の島だ。

ただ、浜辺には自然の美しさとは対照的に、多くのごみが打ち寄せている。そのほとんどが、ペットボトルや洗剤ボトルなど日常生活で利用するもの。漂着ごみが島の大きな悩みになっていたのだ。

島民を悩ます漂着ごみ
島民を悩ます漂着ごみ

九州産業大学・伊藤敬生教授:
回収したごみ自体をどうするのかっていうと、陸路がない状況ですから、回収するのにすごくお金がかかったり、島にどうしても穴を掘って埋めていったり、残念なかたちでごみ自体を処理していかなきゃいけないという背景が、長年あったわけですね

島民の有志が月2回、ごみを回収するが、海洋プラスチックゴミの漂着は後を絶たず、そのごみは島に埋められるため、深刻な問題になっていた。

こうした海洋ごみをなくしたいという島民の思いに、九州産業大学で海洋プラスチックごみ問題を研究していた伊藤教授らが協力して実現したのが、石けんケース「mu(ムー)」だ。名前には“ごみゼロ”へという思いが込められている。

ケースの中には、福岡の石けんメーカーの無添加の「シャボン玉石けん」が入っている。

店を訪れていた客:
へー! 良いですよね、リサイクルできて。きれいな宝物が入っているみたいな感じで

店を訪れていた客:
普通だったらごみとしてなくなっていくものが、また、みんなの手に取る新しい物になっているので良いなと思う

伊藤教授は、将来的にはごみがなくなり、このケースがなくなることが理想だと話す。

九州産業大学・伊藤敬生教授:
想像以上に早く、とても素敵な商品ができたなと思っていて、この商品を通じて、多くの人たちに環境問題を知ってもらいたいっていう気持ちがあります

私たちの身の回りにある、便利で使い勝手の良いプラスチック。環境を意識した取り組みが、様々なところで広がりを見せ始めている。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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