「コイワシ」と呼ばれ、広島の味として親しまれているカタクチイワシ。実は、規格外のものや旬でないものは売れ残り、廃棄されてしまう。そんな廃棄イワシの食品ロス対策など、海の豊かさを守るSDGsの取り組みを取材した。
規格外のコイワシなどは廃棄… 手軽なスナック菓子に!
この記事の画像(12枚)瀬戸内に初夏の訪れを告げる魚、コイワシ。毎年6月に漁が解禁される。「7回洗えばタイの味」とも言われ、昔から人々に親しまれてきた。
実に広島県内の漁獲量全体の約6割を、コイワシが占めている。
しかし、そんなコイワシにも問題が…。サイズが規格外のコイワシは商品にならない。人気のサイズは8~9センチで、それ以外のサイズや旬でない時期のコイワシは売れ残り、廃棄されてしまう。
そんな食品ロスの問題に一石を投じたのが、広島魚市場が手がけたピリ辛風味のスナック菓子「こいカル」だ。
「こい」はコイワシの「こい」、「カル」は豊富に含まれているカルシウムから名づけられた。
海の香り広がる「こいカル」入りお好み焼き 反応上々…広島名物なるか
さらに、この「こいカル」を、ある広島名物と結びつけるアイデアが浮上した。
広島魚市場・佐々木猛 社長:
広島由来の食材を加えることで、お好み焼きに、より付加価値が付くのではないか。広島らしさが出てくるんじゃないかなと期待しています
広島魚市場の思いに応えたのが、お好み焼き店を展開する「ちんちくりん」。
広島のお好み焼きの定番材料と言えば「イカ天」だが、代わりに「こいカル」を加えたものを「コイ天」と名づけ、新しいトッピングとして採用した。
お好み焼に使われるイカ天は、普通の天ぷらとは違い、干したイカを天ぷらにしたスナック。そのコイワシ版が「コイ天」というわけだ。
新たな採用には、お好み焼き業界を取り巻く経済的な理由もあった。
ケーツーエス・川上博章 代表取締役:
イカ天の価格が倍になっているので、渡りに船と言うか、ちょうどいい機会だと思いました
果たして、コイ天トッピングのお好み焼きの味は?
金田祐幸 アナウンサー:
イカ天よりも海の香りが強いですね。あとからほんの少し辛みがきて、おいしいです
ケーツーエス・川上博章 代表取締役:
広島のコイワシを使った天ぷらは”第二のイカ天”になりえると思いました。なじみのある食材なので「コイワシ、入れられるん?」みたいな感じで、反応は上々です
食品ロスをなくす!今まで捨てていた魚やアラも商品化
広島魚市場では「こいカル」以外にも、廃棄されてしまう魚やアラ、未利用魚などを活用した新しい商品の開発を続けている。
広島魚市場・佐々木猛 社長:
今までは捨てていた魚のアラなどを活用して、商品化できると分かりました。技術力のあるメーカーと組んでさまざまな商品開発をすることが、地域全体にとってプラスになります
そんな広島魚市場の皆さんにとってSDGsとは?
回答は、「海の幸の食品ロスへの挑戦」。廃棄されていた瀬戸内の恵みがどんな商品へ生まれ変わるのか、これからも期待したい。同時に、消費者である我々も今一度、「命」をいただいていることを意識していきたい。
(テレビ新広島)