最近はテレワークの機会も増えたが、オンライン会議の時などにあまり大きな声を出せない環境のこともあるだろう。そんな悩みを解決するかもしれないアイテムが登場した。
それが、防音のBluetoothマイク「mutalk」。ガジェット類を手掛ける企業「Shiftall」(東京)が開発したもので、周囲に声を聞こえにくくしつつ、周囲の騒音も入りにくくするという。形状は利用者の口回りをすっぽりと覆うような形になっている。
この記事の画像(8枚)利用方法は簡単で、電源ボタンを入れ、必要な時に口に当てて会話するだけ。機器の口元を上にして机に置くと、自動でマイクがミュートになり、機器を持ち上げるとミュートが解除される。
また、固定用のバンドも付属しているので、着用しながら両手をフリーにすることも可能だ。
カフェ程度なら隣の席でも聞き取れない
使用時の消音効果は平均で20デシベルで、叫び声などの高音域だと30デシベルまでを低減することができる。静かなカフェ程度の環境であれば、隣の席でも聞き取れないくらいになるという。
mutalkは横幅が123mm、高さが107.5mm、奥行が67mm。重量は約180g。電源はUSB Type-Cの充電方式で、1時間の充電で8時間連続利用できる。3.5mmのイヤホンジャックも搭載し、スマートフォンにも接続できるという。
口と接触するマウスパッドと、唾液の飛沫を受ける吸湿クッションは脱着可能で、どちらも水洗いできる。
価格は1万9900円(税込)で、購入方法は公式サイトからの予約販売となる。(9月9日時点)
自動車やバイクの「マフラー」と同じ仕組みで消音
装着したときの見た目はインパクトがあるが、消音の仕組みはどうなっているのだろう。それぞれ形が違う人間の口元にもフィットはするのだろうか。開発経緯や気になることを、Shiftallの担当者に聞いた。
――mutalkを開発したきっかけを教えて。
電話やオンラインでの会議、ゲームでのボイスチャット、メタバースのVRなど、コロナ禍では音声を使ったコミュニケーションが増えています。その一方で、家族や隣人を気にして声を出しづらいことに悩んでいる人もいる。これを何とかしたいと思ったのがきっかけです。アイデア自体は2020年11月ごろからあったのですが、開発が始まったのは2021年2月ごろからになります。
――開発でこだわったところ、苦労したところは?
人体に接触する部分ですね。皆様の体つき、顔つき、頭部はそれぞれ違います。口元につける部分の素材や形状によっては、声がもれたり、口元が痛くなることも考えられたので快適にフィットする構造に苦労しました。実際の製品では、口元につける部分はシリコン素材を使用し、マスクのようにその人に合って変形するようになっています。このほか、頭部につけるバンドにおいても、さまざまな方に対応できるような設計にしました。
――消音の仕組みはどうなっているの?
自動車やバイクについている「マフラー」は、音の通り道が狭まっていくことで、周囲に聞こえる音を低減する効果があります。仕組みはこれと同じで、mutalkの内部も音の通り道が狭まるようになっています。これにより、電気を使わなくても音を低減することができます。
少し鼻声のように聞こえることはあるが気にならないレベル
――消音効果だが、身近な例ではどれくらい?
周波数では伝わりにくいところがあると思います。例えば、カフェの隣の席(約1メートル先)で通常の声のボリュームで話しても、内容は伝わりません。男性が出せる限りの大声を出したとしても、2席先くらいの人には、話していることが分からないくらいになると思います。
――どんな場面や用途での使用を想定している?
まずはVR機器をつけていただく場面。メタバースの世界だと、普通の会話でも大声になることがありますが、家族や隣人に迷惑をかけません。また、ゲームをしていると夜遅くでも「よっしゃー」「やられたー」と大声を出してしまうことがありますが、それが聞こえるのも防げます。
――口元を覆うことで、声質は変わらない?
少し鼻声のように聞こえることはありますが、気にならないレベルです。mutalkは周囲の騒音が入り込むのも防ぐことができるので、相手にとっては聞き取りやすくなると思います。
既に数千台の予約…想定外の反響に驚き
――現時点での購入方法は?予約状況も教えて。
現時点では、購入方法は公式サイトからのみになります。既に数千台の予約をいただいていて、これからの注文だとお届けは、2023年の1月~2月ごろになると思います。販売の方法や場所は、将来的には広げていければとも考えております。
――mutalkに関連した、今後の目標は?
新しい商品でしたので受け入れていただくには、時間が必要かと思っていましたが、このペースでご予約をいただいたことに驚いています。まずは潤沢に供給できるようにしたいと思います。
コロナ禍の自宅中心の生活で、声を思うように出せないと感じている人もいるだろう。Shiftallの公式サイトでは、mutalkと通常環境での音声の比較動画も公開されている。気になる人はチェックしてみてもいいかもしれない。
(提供:Shiftall)