私がお伝えしたいのは、アメリカの薬物依存です。

国立衛生研究所は、18歳から30歳の大麻や幻覚剤などの使用が過去最高になったと発表しました。特に、大麻は毎日使用する人が10人に1人に。
アメリカでも違法となる大麻ですが、娯楽用に限り、合法としている州もあり、健康への影響も懸念されています。

ポイントはこちら!「薬物依存の背景にコロナが?

発表によると、過去1年間のマリファナ使用を報告した若年成人(18~30歳)の割合は、2011年の29%から大幅に増加して、21年は43%。毎日マリファナを使用すると答えた人も、2011年の6%から、21年には11%となり、実に10人に1人が毎日マリファナを使用しているという驚きの数字が出た。
また、マリファナを含んだVAPEと呼ばれる電子タバコの使用についても、コロナ禍で一時期低下したものの、こちらも倍増(2017年6%→21年12%)となっている。
さらに、幻覚剤(LSDやMDMAなど)の使用も、11年の3.4%から21年には8.1%と増加している。
もちろん、アメリカでは19の州とワシントンDC(コロンビア特別区)では、成人のための娯楽用大麻の使用が合法化されていることも影響している。

一方で、アルコールについては、依然として最も成人で消費されている物質ではあるが、1日の飲酒量は過去10年で減少傾向に。ただ、過去2週間に連続して10杯以上飲むという「高強度飲酒」というカテゴリーに分類される人の数は、05年の測定以来、過去最高水準にまで増加している。深刻なアルコール依存症の人物は、むしろ増えているとも言っていい形だ。

この背景には、新型コロナウイルスの感染拡大も影響しているようだ。CDC(米国疾病対策予防センター)によると、アメリカ人の13%が新型コロナの大流行に関して、ストレスや感情への対処法として物質の使用を開始または増加させたと報告している。

報道によれば、多くのマリファナを吸うことを支持する人は、年間数万人の死亡の原因とされているアルコールと同じか、それ以上に安全であるとも主張しているというが、健康への影響を懸念する声も上がっている。
研究者たちから、体が発達中の若者にとって、脳への影響などが特に懸念されるとしていて、早期のマリファナ使用が依存症につながる危険性にも警鐘を鳴らしている。

国際取材部
国際取材部



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中西孝介
中西孝介

FNNワシントン特派員
1984年静岡県生まれ。2010年から政治部で首相官邸、自民党、公明党などを担当。
清和政策研究会(安倍派)の担当を長く務め、FNN選挙本部事務局も担当。2016年~19年に与党担当キャップ。
政治取材は10年以上。東日本大震災の現地取材も行う。
2019年から「Live News days」「イット!」プログラムディレクター。「Live選挙サンデー2022」のプログラムディレクター。
2021年から現職。2024年米国大統領選挙、日米外交、米中対立、移民・治安問題を取材。安全保障問題として未確認飛行物体(UFO)に関連した取材も行っている。