きれいなサンゴ、実は愛媛・愛南町で撮影されたもの。豊かな海の象徴ともされる愛媛の美しいサンゴの世界をのぞいた。
愛南の海に魅了され…2人の“人生も変えた”絶景
高知県との県境の町、愛媛・愛南町。
豊後水道に突き出した西海半島にある入り江の町・外泊地区に、川原田洋平さんは2021年に広島から移住してきた。
川原田洋平さん：
驚きました。愛媛にサンゴがあるって全然思ってなかったんですよ
川原田さんが移住を決めた理由は、愛南の海に広がるサンゴ。その美しい風景を撮影して、SNSで発信している。
川原田さんのダイビングのサポートをしているのは、同じ外泊にあるダイビングショップ。代表で新居浜出身の田中翔さんも、同じく愛南の海に惚れ込み、この場所に店を4年前にオープンさせた。
ダイブ愛南・田中翔代表：
とにかく一番最初に（海に）入った時の衝撃っていうのが、「まだ日本にこんな海があったのか」っていう。水中の環境が残っている海っていうのが、愛南の海なので、そういったところを知っていただきたいなと思います
驚きと衝撃。見る人の人生をも変えてしまう海の中の絶景とは…？
川原田さんの撮影に同行させてもらった。
まさに「サンゴの森」…美しさに驚きと衝撃
川原田洋平さん：
岩が3つあるから「ミツハエ」っていうんですよ
この日、まず潜ったのは「ミツハエ」というダイビングスポットだ。
カメラ片手に海の中へ…。撮影するのは、水深10メートルほどの場所にある、壁が向かい合ったように切り立ったスポット。
不安定な水中で、態勢を整えながらシャッターを切っていく。
フラッシュの強い光を浴びると、ソフトコーラルの群生がカラフルにその姿を現す。
川原田洋平さん：
（初めて見た時は）水中で「わー」って叫んじゃうくらい。もともとペットショップで働いてて、アクアリウムの仕事してたんで、サンゴとかもすごく好きなんですよ。僕は魚よりそっちの方がテンション上がるんで
魚と一緒に泳ぎながら、海に生きるサンゴの一瞬のきらめきを写真に収めていく。
続いてやってきたのは「横島」という島の付近にあるポイントで、足摺宇和海国立公園の中でも特別に保護すべきとされる「海域公園地区」に指定されている。
そこに広がるのは、ハードコーラルという丸い円盤状の形をした硬いサンゴ。周りにはソフトコーラルも生息する、まさに「サンゴの森」だ。
川原田洋平さん：
びっくりしたんですよ、本当に。ソフトコーラルもすごいし、ハードコーラルもあるし、それが一緒になって群生してるというか、なかなかそういう場所ってないんですよ。高知でも僕が潜った限りではそこまでなくて、すごく感動しました
生態系の変化で“消滅”も…海と地球を守る
潜った人が口をそろえるのは、群生するサンゴの多様さ。全国的に見ても、別格の美しさを放つという、その理由は…
サンゴをはじめ、海洋環境を研究する黒潮生物研究所の古井戸樹さんによると、その地形も大きく影響しているという。
黒潮生物研究所研究員・古井戸樹さん：
宇和海は豊後水道の入り口の辺りに位置してまして、黒潮と呼ばれる世界最大級の温かい海流が南方から流れ込むような立地になっていまして、生き物の種類が非常に多い特徴に。その中で、ソフトコーラルも非常に多くの種類が生息しています
黒潮が流れ込むことで海の透明度や水温は高く、この流れにのってアジやタイなどの回遊魚もやってくる。豊かな海だからこその、サンゴの美しさでもある。
その一方で、近年問題となっていることも…
黒潮生物研究所研究員・喜多村鷹也さん：
これがオニヒトデです。背中にとげがいっぱい生えていて、一本一本毒があって、刺されると非常に危険なヒトデです。このヒトデがサンゴを食べるヒトデなんですけど、それによって今まであったようなきれいなサンゴの群生が食い荒らされてるという状況が愛南町では起きています
愛南町では、大発生したオニヒトデによって消滅したサンゴ群生も確認されていて、このことは生態系のバランスが崩れていることを私たちに知らせてくれる。
川原田洋平さん：
まだダイバーたちも知らない場所があるんですよ。それを新規開拓しながら、海に上がっているごみなんかを拾う活動もしたいなと思っているんですよ。愛南の海がこれだけきれいだなというのを、もっと発信したいですね
海の豊かさを守ることは、漁場、そして私たちの食卓を支え、地球を守る。
そんな一端に、美しいサンゴを通して触れてみては。
（テレビ愛媛）
