100年以上、岐阜で愛された老舗の書店が、またひとつ閉店した。

時代の流れか…かつてのアルバイトや常連客も別れを惜しむ

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岐阜市の中心部、名鉄岐阜駅のすぐ近くに店を構える「南陽堂」。

正確な記録はないが、100年以上岐阜で店を続けてきたという、昔ながらの「町の本屋さん」だ。

約50年にわたり、この南陽堂を守ってきた山田るり子さん(71)は…

山田るり子さん:
お客さん来ていただけないから、売上は当然下がりますわね。それとネット社会になったもんでね

ネット通販や電子書籍の普及に、コロナ禍も相まって、店にくる客は大きく減ったと話す。

山田るり子さん:
(昔は)活気がありましたよ。とにかく本屋ってすごいなと思ったくらい。今はもう閑散としていますけど

るり子さんの夫・好昭さんが体調を崩していたこともあり、8月いっぱいでの閉店を決めた。

山田好昭さん:
寂しいね。率直な話、寂しいしかないね。色々あったけどね

山田るり子さん:
良い時代のことばっかり思い出しますけどね。元には戻れないなという感じです

かつての常連客も、閉店を惜しんだ。

高校時代に来店していた男性:
お店が終わることを知ったので、最後にと思いまして、ぜひと思って購入させていただきました。偶然立ち寄ってふらっと来て、思わぬ掘り出し物を見つけた時の喜びじゃないですけど、そういうことが楽しいかなと思いまして

ノートに感謝の言葉を書き込んでいたのは、20年前にアルバイトをしていた女性だ。

20年前にアルバイトをしていた女性:
お店の人も、本屋さんに来る人も、みんな本好きの人が集まる場所なので、とても居心地よく働かせてもらっていました。エプロンとかも懐かしいし、奥さんもすごく変わってないし、本の並びとかも全然変わってなくて、すっごく懐かしいなと思いながら見ています

その一方、昔とは変わったところもある。

山田るり子さん:
ほとんど立ち読みの人がいっぱいで。これではいけないと思って帯をしたんです

漫画本の、立ち読み防止の帯。つけ始めたのは約20年前だ。子供たちへの配慮から、岐阜市内では一番遅かったという。

山田るり子さん:
当時、漫画読みたいって(客が)結構みえていたので、意地悪してはいけないなって

女性客:
漫画とかも自由に読めるようになっていたので、高校の時とかは自由に読ませてもらって。いつも来ると、おじさんとおばさんがいらっしゃいと笑顔で迎えてくれて、アットホームな感じで温かい本屋だなと思って

店主夫婦の優しい人柄とともに、多くの人に愛された「南陽堂」。

山田るり子さん:
今までありがとうございましたということを思って、最後の日を迎えたいと思います。寂しいですけど、お客さんが喜んでいただける、本当に感謝されていたので、ありがたいことだなと思いましたね

8月31日、100年以上の歴史に幕を下ろした。

(東海テレビ)

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