新型コロナの影響で3年ぶりに行われた夏の風物詩、郡上おどり。お盆の4日間は、深夜まで踊り続ける「徹夜おどり」も復活した。

入場制限など厳しい規制も「ずっと求めていた」

清流の街、郡上。3年ぶりに下駄の音が帰ってきた。お盆の4日間(8月13日~16日)、深夜も踊り続ける徹夜おどりが開催された。

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揖斐川町から来た人:
久しぶりだなという感じです。もともとなくなる前は毎年来ていたので

山県市から来た家族:
近所の友達です。楽しみです、みんなで踊るね

午後8時、いよいよ踊りがスタート。踊り屋形の周りには、全国から集まった「踊り助平」たちの輪が広がった。

郡上おどり保存会 藤田会長:
密にならないように、間隔を取って踊っていただきたいと思います

感染対策としてマスク着用で、かけ声は禁止。入場パスを配って人数は4500人ほどに制限した。

隣の人と1メートルほど間隔をあけて踊り、時間も短縮して午前1時には終了する。それでも…。

東京から来た人:
3年ぶりなので、2泊して今夜と明日の夜踊ろうと思って

東京から来た別の人:
久しぶりにこういうのをずっと求めていたので、とても楽しいです

郡上おどり保存会 藤田会長:
皆さん3年間の鬱憤をここで晴らしてもらいたい

戦時中も続いたおどり 100周年で歌詞を募集

おどりの伝統を守り普及活動を続けている「郡上おどり保存会」。2022年には100周年を迎えた。街の資料館を訪ねると…。

郡上市の担当者:
お寺で戦没者の慰霊祭をした後に踊っていました

寺で戦没者の慰霊祭をした後、踊っていたという
寺で戦没者の慰霊祭をした後、踊っていたという

郡上おどりは戦時中も続き、77年前の終戦の日も踊りの輪ができたという。

開戦当時、おどりの歌詞を募ったチラシには「翼賛する郡上おどり」と書かれている。集まった歌には、戦意を高揚させる言葉が並んでいた。

開戦当時、おどりの歌詞を募ったチラシ 「翼賛する郡上おどり」と書かれている
開戦当時、おどりの歌詞を募ったチラシ 「翼賛する郡上おどり」と書かれている

平成に入ると、保存会は郡上おどりの普及活動を進めた。郡上藩ゆかりの東京・青山でおどりを開催し、アメリカやカナダで海外公演を行った。元号が変わった年は、「令和」の夜明けを徹夜で踊った。

そして2022年、100周年を記念して再びおどりの歌詞を募集。「疫病流行」「百代つなぐ」など、今を象徴する歌が集まった。

記者:
午後11時を過ぎました。久しぶりにまだ囃子の音も聞こえていて、多くの人が踊り続けています

踊りは最高潮に。街の下駄屋さんには、これから踊りに行くというお客さんの姿もあった。

地元客:
3年ぶりやもんで、やっぱり新しいのが欲しいし。これからまだ1時までしっかりと踊りに行きたいと思って

杉本はきもの店の店主:
やっとという感じです。踊りが終わるころまで音がしますし、その音がすごくいい音に聞こえますね。もうそれはうれしいです

街に響く下駄の音…。3年ぶりの賑わいは深夜まで続いた。「おどり納め」は9月13日を予定している。

(東海テレビ)

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