7月8日、安倍元首相を銃撃し逮捕された山上徹也容疑者。

その山上容疑者の母親が「謝罪会見を開きたい」と周囲に話していることがわかりました。

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なぜ今、このタイミングなのか?

めざまし8は、旧統一教会の問題に長年取り組んでいる、全国霊感商法対策弁護士連絡会の紀藤正樹弁護士にお話を伺いました。

「会見はすべきではない」警鐘を鳴らす紀藤弁護士

――母親が会見を開くという事実を知った時どのようにお感じになりましたか?

紀藤正樹 弁護士:
会見は個人的にはすべきではないと思っています。それは、現在は旧統一教会の影響下にある人ということもありますし、基本的には末端信者の方ですので、会見をするということであれば、本人の意思がきちっと第三者から見て検証できる形でやるならともかく、末端信者を表に出すというのは、今までもそうなんですが旧統一教会との関係が、打開するとか影響下から外れたときのトラウマが非常に大きくなるんですよね。自分の意思が誰の意思なのかはっきりさせてもらわないと、会見というのは今の段階では難しいのではないかなと正直思います

教会の影響下にある状態では、会見すべきではないと言う紀藤弁護士。

――山上容疑者の母親は、未だに教会の信者であると言っていいのでしょうか?

紀藤正樹 弁護士:
そうですね、旧統一教会に申し訳ないという気持ちがあると言うことは、旧統一教会信者の一般的な心理状態ですね。田中会長も、その後の信者向けの映像の中で、韓国のお母様に謝っていましたよね、涙ながらに。そういう心理状態というのは旧統一教会信者によくある心理状態。(容疑者の母親が)本来謝るべきは我々に対して、あるいは息子に対してなわけですよね。それが旧統一教会に対してということ自体が、非常に奇異に映るんですよね。そういう心理状態では本当の真意というものが分かりませんので、末端信者の会見というのはやるべきではないと思います

――母親の「謝罪を述べたい」相手は誰なのでしょうか?

紀藤正樹 弁護士
現時点では(対象は)分かりませんけれども、旧統一教会との関係の影響下にある“意思”ということになると、それは旧統一教会の意思の広報的問題、つまり自分は旧統一教会との関係では被害者ではない。ご遺族とか社会とか我々とか、息子さん容疑者ですね、そういう方に謝るということなんだろうと思いますけれど

「全く知らない」会見との関係を否定する世界平和統一家庭連合

今回の会見の報を受け、めざまし8が世界平和統一家庭連合に取材を行ったところ会見については「全く知らない」、母親の支援者も「誰なのかわからない」連絡も取れていないと母親が会見することへの関与を否定しました。

教会として会見を止める意向はないのかという質問に対しても、「止める権利はない」と答えています。

教会側のこのような返答を受けて、紀藤弁護士は…

紀藤正樹 弁護士:
私は、これは本当ではないという風に思っています。つまり、旧統一教会というのは、報告・連絡・相談がないところで信者が勝手に動くということはありませんし、信者は自分の意思というよりは、上司の指示に絶対なんですね。「アベルの指示に絶対」という言い方をしますけども、アベルというのは旧統一教会用語で「上司」のことを指すんですが、その上司の指示に従わないで、そもそも行動すること自体が“罪”。地獄に落ちると教えられていますので、こういう形で「全く知らなかった」というのを旧統一教会側がいうのは、今までの旧統一教会のあり方からいって、全く信用できないと思います

教会の返答を「全く信用できない」と真っ向から否定した紀藤弁護士。

会見を開くことでの母親への影響は?

――母親が会見を開いた場合、母親にどのような影響があるのでしょうか?

紀藤正樹 弁護士:
顔出しをしないですとか、音声を変えると言うことであれば、トラウマ的なものは非常に少なくなるかもしれませんが、顔出し会見みたいなことをすると、あとでご本人の意思が旧統一教会との関係で“決別”をするとかそういうことになった時に、大きな心の傷を負うと。本当の真意みたいなものは、その後に会見した内容が真実でしょうから、特に1億円以上の献金、旧統一教会にお金を出したということ自体が、正確にしゃべっていただけるような心理状態でなければ、それは本人の基本的な意思とはいえないのではないかと私は思います

会見を開くことでの、社会への影響は?

容疑者の母親が会見を開くことにより、母親本人への影響もありますが、社会への影響はどうなっていくのでしょうか?

紀藤弁護士は…

紀藤正樹 弁護士:
これは仮説なので、あくまでも推測でしかありませんけども。現在旧統一教会の影響下を脱していないということになると、社会との関係では嘘をつくということになりますよね。それ自体、相当大きな問題だろうと思いますけれど。旧統一教会の母親の会見に対するコメントを見ても、「全く知らない」ということが本当にあり得るのか、ちょっと正直言って違うのではないかなと

旧統一教会側が、母親が会見することを「全く知らない」と言っていることについて、改めて疑問を投げかける紀藤弁護士。さらに、こう続けます。

紀藤正樹 弁護士:
(母親は)いわゆる叔父さんと言われている人(親族)の家から出ていることが分かっているんですね。家から出ていることが分かっていて、別の支持者のところに行くと言っていて、ホテルか何かにおられるみたいですけども、じゃあそのお金「誰が」出しているの?ということになりますよね。食事、生活どうしているの?その食事生活というのは支援者が出しているんでしょうけども、その支援者の方が旧統一協会員あるは、旧統一教会の人であれば、それは明らかに旧統一教会から離脱していないということですよね。もちろん、この支援者の方が旧統一教会の方ではなくて、完全に離脱しているということであれば、会見する意味もあるんでしょうけども、この支援者の方が旧統一教会と関係のある方であれば、それはやはり旧統一教会の影響下にあって、勝手に会見するということはあり得ないという風に思います

(めざまし8 8月10日放送)