給食や家庭の食卓に欠かせない「牛乳」。実は今、乳牛のエサ代が急騰して生産者を悩ませている。
なぜエサ代が高騰しているのか。その背景と窮地に立たされている愛媛県内の酪農家の現状を取材した。

ウクライナ情勢影響で月60万円もエサ代が増加

私たちにとって身近な飲み物のひとつ、牛乳。
愛媛・西予市野村町は古くから酪農が盛んで、愛媛県内で取れる牛乳の3分の1以上を生産している、四国でも有数のミルクの町。

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乳を搾るのは朝・夕2回。1頭の牛から毎日約30kgの牛乳が取れる。
しかし、今、牛乳を生産する酪農家から聞こえてくるのは苦悩と不安の声。

酪農家:
赤字ギリギリです。生活費とってやなくて、購入飼料と牛乳とその差し引きでトントンぐらいですね。ここまで急に上がるとは思わんかったですね

酪農家を悩ませているのはエサ代の高騰。乳牛に必要なエサは1頭あたり1日約30kg以上にもなり、エサ代の高騰が大きな負担となっている。中でも急騰しているのが、牧草のほかに与えているトウモロコシや大豆、麦などを原料にした配合飼料。

この配合飼料は、牛乳の量を増やして、栄養価を高めるために欠かせないエサだが、そのほとんどを輸入に頼っている。
大手飼料会社の営業担当・藤田郷さんによると、配合飼料の価格は南米の不作や中国の需要増加によって2020年から上昇を続けてきた。

JA西日本くみあい飼料・藤田郷さん:
ロシア・ウクライナ両国ともトウモロコシとか麦類の輸出主産国なので、穀物相場がその影響を受けて、どんどん上がってるのがもう指標としても出てて、それがもろに価格に反映されている状況ですね

餌代急騰の引き金となったのはロシアのウクライナ侵攻。この両国の世界での穀物輸出シェアは、計15%以上を占めている。

そこに原油高と急激な円安が重なり、エサ代が急騰している。今回の値上げは1トンあたり1万円以上。これまで経験したことがない値上がりに戸惑いを隠せない。

酪農家:
今、現状、何もせんかったら無理やね…。利益出んね。厳しいね…

野村町の酪農家・那須秀樹さんは、跡継ぎの息子が戻ってくるのを機に資金を投入して、新しい牛舎を2022年の4月に建てたばかり。

牛舎では全自動のロボットが1日5回のエサやりを行うなど、最新の機器で作業の効率化と省力化を図っているが、このタイミングでの想像を超えるエサ代の急騰に…

酪農家・那須秀樹さん:
大変しんどいですね。ここ半年でも2割3割はぎゅっと上がってるので、自分の所では自給飼料をまあまあ持っているんで。まだちょっと何とか今踏ん張ってやりよるんですけど、(値上げの)歯止めがきかんような状態になっとるみたいなんで、今後が大変危惧するところですね

値上がりを続けて、経営を圧迫するエサ代。32頭の乳牛を飼育しているこの牛舎だけで、ひと月に使う配合飼料は9トンにもなる。

その対策として、廃業した酪農家の畑や耕作放棄地を活用してトウモロコシなど自給飼料を増やしてきたが、外国産の干し草なども入れると、この春からだけでも月に60万円もエサ代が増えた。

これから、さらに頭数を増やそうとしている矢先のエサ代の高騰。酪農家の経営努力だけでは、それも限界に近づいているという。

酪農家・那須秀樹さん:
今のところは黒字で何とかやっていけよるんですけど、今後、乾草とか配合飼料とか上がってくると本当に赤字になるような感じになるんで、国の支援とか乳価を上げてもらうとか、そういうことじゃないとどうしようもないんで、酪農家は。本当に潰れるところが出てくると思うので

牛乳の買取価格引き上げを要請

エサ代の高騰を受けて、愛媛県の酪農組合は6月、牛乳の買取価格引き上げを四国乳業に要請した。

四国乳業・野間伸一郎常務:
現在、乳価交渉が行われている中で、当然乳価が上がれば販売価格にも転嫁されることになります。様々な商品が値上げされる中で、消費者にそこをどう理解していただくかが大きな課題になると思います。しっかりと、できる限りの酪農家支援をしていきたいというふうに考えています

先が見えない中でも私たちに牛乳を届けるため、そして、自分たちの生き残りをかけて牛乳を搾り続ける。

酪農家・那須秀樹さん:
なるべくコスト低減で、自給飼料作りながらやっていこうと思っています。僕らはもうがんばって搾るだけですね

(テレビ愛媛)

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