政府は孤独・孤立に関わる悩みを24時間対応で受ける、無料の電話相談を試行的に始めた。電話番号は「#9999」で、まずは7月7日から~14日午前10時まで、幅広い相談に応じる。※つながらない場合は「0120-494949(フリーダイヤル)」でも利用できる

電話をかけると自動音声につながり、以下の8つのカテゴリの案内がある。相談したいことに関連した番号を入力すると、各分野の支援団体の担当につながる仕組みとなっている。
「生活に困窮されている方」
「外国語での相談を希望される方」
「死にたいほどつらい方」
「DVや性暴力など女性の悩みで相談したい方」
「性別の違和や同性愛に関して相談したい方」
「シングルマザーの方」
「18歳以下の方」
「孤独・孤立でお悩みの方」
※一部カテゴリでは、相談の受付時間や曜日が限定されることもある。「死にたいほどつらい方」「孤独・孤立でお悩みの方」は24時間対応。

無料相談ダイヤルは、2022年度に計3回試行予定。常設で運用できるかなどを判断するという。
「困ったらここにかけたらいい」と思える存在に
最近は孤独や孤立が話題になることも増えてきた。そんな中で、この取り組みにはどんな狙いがあるのか。内閣官房の孤独・孤立対策担当室に聞いた。
――孤独・孤立の無料相談ダイヤルを開始した狙いを教えて。
コロナ禍の長期化や物価高騰の問題などから、生活困窮などの不安や悩みが増える恐れがあります。そうした対策の一つとして、孤独・孤立に悩む人が相談できる窓口として作りました。個人の悩みはさまざまなものが複合していることが多いです。「困ったらここにかけたらいい」と感じられ、そこから専門家に相談できるものがあればと思いました。
支援団体の横の連携を強化していく意味合いもあります。電話相談ではありますが、状況によっては直接的な支援や地域の公的機関につなげられるよう、協力できるようにもしていきます。

――相談の対応は誰がどのようにするの?
支援団体において、電話相談の応対経験がある方が、相談内容に応じて対応します。例えば、死を望まれているなら状況はひっ迫されていると思います。また、寂しくてご連絡をする方もいるかもしれません。複合的な悩みでかけられる方もいると思うので、状況ごとの対応になります。
――相談に対応する支援団体はどう選んだの?
孤独・孤立に関する連携を進めるにあたり、2022年2月に官民連携のプラットホームが成立しました。ここに参加されているNPO法人などにお声がけをしています。今後も試行を勧めながら、恒常的な窓口とするためにはどうすればいいか、検討を進めていこうと思っております。
開始から14時間で約3400件の呼び出し
――相談ダイヤルの8つのカテゴリはどんな基準で選んだ?
孤独・孤立に関連した相談はどれでも受けられるようにしたいと思い、実際は「孤独・孤立でお悩みの方」での利用が多いかもしれません。ただ、不安や悩みに専門性があるのであれば、専門として対応できるようにと設けました。今後はカテゴリが増えることも考えられます。
――これまでの反響はどう?課題などはある?
7月7日10時~24時まで、14時間で約3400件の呼び出しをいただきました。始まったばかりで何とも言えませんが、ニーズはあると感じています。番号の「♯9999」も、覚えやすく困っている人がすぐに出てくるようにと決めました。課題はカテゴリで支援団体の数に差があり、呼び出しが拾えなくなることもあるそうです。団体を増やせばカバーできると思います。

――試行は計3回とのことだが、今後の予定は?
2、3回目をいつ試行するかは未定です。恒常的な開設を目指すために、1回目の試行を分析・検証し、体制を整えることになるので、しばらくの期間は必要になると思います。
――相談ダイヤルに関連して伝えたいことは?
孤独・孤立は個人ではなく、社会全体で対応すべきことだと考えております。電話をかけるのはハードルがあることですが、気兼ねなくご相談いただければと思います。

相談ダイヤルについて紹介している、内閣官房のウェブページでは、SNSやチャットで相談できるコンテンツも設けられている。電話が難しいという人はこちらの方法もある。抱え込まずに悩みが打ち明けられる場所があることを、覚えておいてほしい。