日本の高齢化率は年々増加し、65歳以上の人口割合は2022年は過去最高の29%。1980年は9.1%だったので、およそ40年間で3倍に増えた。高齢者のみの世帯、独居高齢者世帯も増えているが、生活上のちょっとした困りごとを解決する新たなサービスを取材した。

高齢者は生活上の困りごとが多い「高いところに手が届かない」

高齢者の生活には様々な困りごとがある。街で聞いてみた。
高齢者A:
上の電球のかさの汚れをきれいにしたいと思っても手が届かない。
(Q:脚立に乗るのも怖いですしね)
そうなんです

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高齢者B:
買い物。
(Q:しんどいですか?)
スマホで頼めと子供には言われるけど、勉強中で…

本社が広島市で、病院やホテルなどの業務用寝具を扱う会社、日本基準寝具。
この会社は1998年から介護事業の分野に進出した。いろいろな介護用品も扱っている。

Q:高齢になると、左右の靴のサイズが違ってくることがあるんですか?
日本基準寝具エコール・河原栞チーフリーダー:
はい。そのためにベルトの長さを変えたり、横幅が違う商品があったりします

河原さん:
家に設置する手すりは、両手で支えることで転倒リスクの軽減につながっています。
Q:これは買うんですか?レンタルできますか?
介護保険を持っている方ならレンタルが可能です

河原さん:
このトイレはリモコンを押してもらうと、自動でフィルムに封をして、このような形で排せつ物が出てきます

河原さん:
このまま処分していただけるものです

介護用品の販売や在宅介護などへ事業を拡大していく中で、ある思いが強くなったという。
日本基準寝具・横山佑太常務:
直接高齢者のお宅にお邪魔する中で多くの発見があった。介護だけして帰ってしまう僕たちとしては、もっとお客さんの役に立ちたいという気持ちがあるので、何かできることはないかということになった

年をとってできなくなった暮らしの困りごとを助ける

そして、今から7年前の2016年、生活や暮らしの困り事を解決する事業を始めた。
日本基準寝具エコール・河原栞チーフリーダー:
台に乗ることが危なくなったということで、電球の交換やエアコンのフィルターの掃除、あとはカーテンを洗いたいからカーテンを取って欲しいとか、そういった相談もあります

若い人には簡単にできることでも、年を重ねると、難しくなることがある。
河原さん:
1つ2つ出来なくなったから、家で生活が出来ないというよりは、1つ2つを私たちがお手伝いすることで、今の家で長く住んでもらえるような形で、お手伝いをさせてもらっています

高齢者が見知らぬ人を家に招き入れる、そこに抵抗感が少ないのは、これまで行ってきた介護事業の積み重ねがあるからこそ。
河原さん:
自宅に入らせてもらえるというところは、他の会社に比べると、とてもハードルは低くなっていると思う

高齢者が依頼する作業は人の手で行うものばかりだが、人手は足りているのか。また、採算は合うのか。
横山常務:
どうしても人が行かないといけないとなると、なかなかビジネス的な観点で見ると、ちょっと難しいところではありますが…

人手不足をシルバー人材の活用で解決

横山常務:
水回りの修理とか、網戸の張替とか、手すりの設置とか、ちょっと専門知識が必要なものは、もともと大工さんをされていて、高齢で引退した方を雇用して働いてもらう。家事支援だと、訪問介護のヘルパーさんで、高齢で引退した方は知識を持っているので、パートさんの雇用の形で働いてもらう

会社を退職した、いわゆるシルバー人材の雇用を生み出しながら、7年かけて事業を拡大した。
横山常務:
人を雇用していると言ってはいるがまだ足りない。もっと雇用してやっていかないといけない

総務省の推計では2036年には高齢者率は33.3%を越えると予測されており、人口の3人に1人が65歳以上の高齢者が占める時代がやって来る。

横山常務:
こういうサービスは単発のサービスではだめです。継続的にそういう支援を続けていかなければならないというのが非常に大事。その方に最後まで寄り添ってあげられれば、精一杯その方の役に立てたのかなと思える

今後、介護人材の不足が深刻になると予測されている。安心して老後を過ごせる社会は、介護だけでなく、高齢者の日々の困りごとを解決する細やかな取り組みも必要だ。

(テレビ新広島)

テレビ新広島
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