フランスのカンヌで開かれた短編映画コンペで、見事 グランプリに輝いた作品。制作者は長野・下諏訪町出身の映像クリエイター。3分の映像に込められた思いを伝える。

グランプリ獲得 「まさか…うれしいの一言」

テンポよく流れる、木を削る音や叩く音。職人が作っているのは「桶」だ。

「TikTok」に投稿されたこの3分の動画。5月、「カンヌ国際映画祭」と同時に開催された「TikTok shortfilmコンペティション」でグランプリを獲得した。

作品名「Kitte kitte iino?(木って切っていいの?)」

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手がけたのは、下諏訪町出身の映像クリエイター・本木真武太さん(34)。日本人初の受賞だ。

映像クリエイター・本木真武太さん:
(受賞を聞いて)びっくりして、まさか僕の作品がグランプリ!?って

受賞後、再生回数は1290万回を突破。400人ほどだったフォロワーは、300倍の12万人に増えた。

映像クリエイター・本木真武太さん:
本当にうれしいの一言に尽きる。今まで諦めずにやってきたことがこの結果になった。涙をこばすぐらい、うれしい出来事だった

9歳まで下諏訪町や松本市で暮らし、今は東京で活動する本木さん。幼少期を信州で過ごしたことが、今回の作品にも影響していると話す。

「木は切っていい」… 大事に使って!

映像クリエイター・本木真武太さん:
川とか山とか自然豊かな場所で遊んで、小さい時から生命の尊さに触れあったことが、自分の中に今でも強く残っている。(桶の材料は)長野県の「木曽さわら」、下諏訪とか木曽の魅力を世界に発信したい思いがあった

主人公は桶職人。制作過程をテンポよく見せていく。これには「狙い」があった。

映像クリエイター・本木真武太さん:
(TikTokのユーザーは)Z世代、若い年齢層のユーザーが多いと思っていた。冒頭から速いカットでリズミカルなカットを組み合わせて、ストーリーに緩急をつけることで3分間、最後まで見てもらう。それを無視すると、若い世代にメッセージを伝えることが難しくなると思った

映像クリエイター・本木真武太さん(リモート取材)
映像クリエイター・本木真武太さん(リモート取材)

(作品より)
「木って切っていいの?環境にいいの?」

通りがかりの男からの問いかけに、主人公は環境問題に思いを巡らせる。ここにメッセージが込められていた。

(作品より)
「なんであの人は、木を切っちゃいけないと思ったのかな」

映像クリエイター・本木真武太さん:
「切ってもいいんだよ」っていう職人さんの気持ちを、主にメッセージで伝えたかった

TikTokより
TikTokより

桶は、言わば持続可能な資源・森の「象徴」だ。森を維持するには、「間伐」や木を切って利用することが欠かせない。桶を作ること、それを大事に使うことは、資源を守ることや廃棄物の削減につながる。

映像クリエイター・本木真武太さん:
一番伝えたかったのは「物を大切にする」。今の若い人たちにその思いを伝えることで、若い人が作ったものを、未来の若い人が大事にするって連鎖していって、環境問題も今の若い人たちが解決していく、連鎖反応的な感じで改善していけたら

本木さんは、今後も社会問題などを世に問う短編作品を作りたいと意欲を見せている。

(長野放送)

長野放送
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