地震や大雨など毎年全国各地で大きな自然災害が起き、甚大な被害が出ている。

2022年3月には、福島県沖を震源とする最大震度6強の地震が発生し、東日本大震災で被害を受けた地域で再び家屋の倒壊などが相次いだ。

東日本大震災をきっかけに「防災」や「備え」を考え始めた、という人も多いのではないだろうか。キャンプなどのアウトドアを災害時の備えに利用する「アウトドア防災」を通して、改めて防災を考える。

震災きっかけに アウトドア用品がつないだ命

日本赤十字秋田短期大学の講師・及川真一さん。宮城県仙台市出身で、2011年3月11日は仙台市の自宅で激しい揺れに襲われた。

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電気・ガス・水道などライフラインがストップする中、命をつないだのは…。

日赤秋田短大 及川真一さん:
当たり前だと思っていたものが一瞬でなくなった。IHで調理していたが、カセットコンロが調理器具になったり、アウトドア用品があったからこそ命をつなぐことができた経験がある。

その経験から、災害時の備えにアウトドアを取り入れる「アウトドア防災」を広く伝え始めた。

非常時だからこそ、いつもの食事を

記者:
アウトドア防災を日常に取り入れるポイントは?

日赤秋田短大 及川真一さん:
災害を疑似体験できるというのが一つのポイント。

キャンプなどではランタンなどで明かりをとり、火を起こして調理する。楽しいキャンプが、災害時にライフラインが止まった状況を体験できる場に変わる。

食に関しても、「非日常」を「日常」にしておくことが重要だ。

日赤秋田短大 及川真一さん:
非常時だから非常食を食べる、という考え方ではなくて、非常時だからこそ普通のご飯を食べる。その視点が出発点として必要。非常時だから非常食を食べるが、何日も続くといつまでも非常事態が続いている状況。非常時でも普通のもの、いつも食べているものをどう調理するか。

いつも通りの食事をするには、例えば、飯ごうと固形燃料を使う方法がある。パエリアの作り方を紹介してもらった。

まず飯ごうに材料を入れ、かき混ぜたら好みの食材を並べる。固形燃料に火をつけ、15分加熱する。15分後に火からおろし、新聞紙やバスタオルでくるんで、20分ほど蒸らせば完成だ。

この飯ごう飯は、無限にアレンジが可能。ケチャップを混ぜ込んで炊き、余熱で卵に火を入れれば、簡単にオムライスを作ることもできる。

普段の生活に“備え”を取り入れる

日赤秋田短大 及川真一さん:
災害時に役に立つものを買う、という考え方だとなかなか進まない。ガソリン満タンというのも備蓄。ハイブリット車に乗っていることも備蓄で、車があればその中で電力の確保ができる。スニーカーを履いているというのも、遠くまで歩けると考えると備蓄。視点を変えるということが、もう一つのポイントなのでは。

個人個人で「使えそう」だと思うものも、必要なものも違うが、大切なのは「経験がないもの」を災害時にいきなり使うのは難しいということだ。

自然災害は、いつ、どこで自分の身に降りかかってくるか分からない。決して他人事ではない。災害時に役立つものを普段から使い、身近なものにして「いつでも使える備え」を増やしていきたい。

(秋田テレビ)

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