ろうわ学校に通う高校生3人が「国内初の挑戦」

琵琶湖で開催されたボート大会で、耳の不自由な高校生が、国内で初めての挑戦をした。 

おしゃべりをしながら歩く、高田優貴さん(17)、伊藤潤さん(18)、青山颯太さん(16)。
3人とも、滋賀県立聾話(ろうわ)学校の生徒だ。

この記事の画像(10枚)

彼らが出場するのは、4人でオールをこぎ、500mの直線コースのタイムを競う「大津市民レガッタ」。
今回は、パラボートの国内トップ選手の力を借りて、初めてのレースに挑む。

3人は2021年、聾話学校でボートの選手が講演したのをきっかけに練習を始めた。

しかし、当初は大会に出るのは無謀と思われていた。
その理由を、大会主催者の今村拓也さんはこう語る。

大会の主催者 今村拓也さん:
コックスというかじ取り役に「強くこげ」と言われたら強くこいで、「止めろ」と言われたら止めてというのを耳で聞いて反応する。なので、「聴覚に障害のある人はボートに乗るのは危ない」というのが常識みたいになっている

補聴器使えず…指示は「ハンドサイン」で伝える

3人とも補聴器を使っているが、水に落ちると大変なので、ボートに乗るときは外さなければならない。

 高田さん:
ちょっと緊張しています。あまり表情に出ないタイプなので

補聴器の使えない状況で、かじ取り役コックスの指示を、どのように受け取るか。
小澤さんの声に合わせて、聾話学校の先生が手を動かす。先生が一緒に乗り、手話ではない「ハンドサイン」で指示を伝えることにしたのだ。

コックス 小澤哲史さん:
片方だけこいで船を回したりとか、いろいろな動きをしないといけないので、「1番・3番こいで」…こういう感じですね

常識打ち破り…挑んだレース

工夫を重ね、「非常識」を「常識」に変えるレースに挑む。

いよいよレースがスタートした。
ハンドサインに合わせて、力強くレースを進める。

息をぴったり合わせ、ペースアップ…6チーム中、2位でフィニッシュした。

先生:
お疲れー!速かったね!2位!

高田さん:
めっちゃ疲れた

伊藤さん:
腕が痛い

高田さん:
足パンパンや

大会を終えた3人。疲れたと言い合いながら、満面の笑顔だ。

高田さん:
僕たちは聴覚障害者で、「難しい」とか「これできない」とか思うことがあるかもしれませんけど、一歩を踏み出したら、聴覚も関係なく、みんなで一緒に楽しめると感じました

小さな市民大会に参加した3人が、大きな可能性を証明してみせた。

(関西テレビ「報道ランナー」2022年5月26日放送)