先週の「NHKマイルC」から5週連続で東京競馬場にて開催されるGⅠレースの第二弾「ヴィクトリアマイル」(芝・1600メートル)が、5月15日(日)に行われる。

このレースは、2014年から1番人気の馬が6連敗。

中でも2015年は、1着が5番人気のストレイトガール、2着:12番人気ケイアイエレガント、3着:18番人気ミナレットで、3連単の払戻金が2070万5,810円というGⅠのみならず重賞レース史上最高額の馬券が飛び出した。

そんな波乱続きではあったが、直近2年は1番人気が2連勝している。

今年は、GⅠ馬が5頭集結するという、史上最高レベルとも言われるレースに。

果たして、今年初めてGⅠレースを1番人気馬が制覇する堅い決着となるのか、それともライバルや伏兵が馬券に絡む波乱が起こるのか。

当レースに出馬するGⅠ馬5頭と、元騎手・細江純子さんの注目馬と予想を紹介する。

GⅠ馬<1>白毛のアイドル “ソダシ” 

調教中のソダシ
調教中のソダシ
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GⅠ2勝、「阪神ジュベナイルフィリーズ」「桜花賞」を制覇した4歳の3枠5番ソダシの戦績は、10戦6勝。デビューから変わらず吉田隼人騎手(38)が乗る。

およそ1万頭にわずか1頭しか産まれないと言われる、希少な白毛馬。

その白毛で初のGⅠ制覇を果たしたのがソダシ。しかもデビューから5連勝で“2歳最強女王”、さらに“世界初の白毛馬クラシック制覇”という称号を手にした、まさにアイドルホースだ。

ソダシ(桜花賞・2021年)
ソダシ(桜花賞・2021年)

その後、GⅠ「オークス」8着、GⅡ「札幌記念」1着、GⅠ「秋華賞」10着を経て、芝からダート戦へ。

昨年12月のGⅠ「チャンピオンズC」12着、今年2月のGⅠ「フェブラリーS」は3着という成績を残した。芝の1600メートル戦では、3戦3勝、うち2勝がGⅠ、1勝がGⅢ「アルテミスS」。

父は、GⅠ2勝で芝・ダート共に制しているクロフネ、母は白毛にぶち模様が入り人気の高かったブチコ。馬名ソダシの由来は、古代インドなどで用いられた言語=サンスクリットで「純粋、輝き」という意味からだ。

ファンの期待を一身に受け、純粋に父を上回るGⅠ3勝目を挙げ、さらなる輝きを放つだろうか。

GⅠ馬<2>史上初 無敗で牝馬三冠達成 “デアリングタクト”

GⅠ3勝、「桜花賞」「オークス」「秋華賞」を制覇した5歳の1枠1番デアリングタクトの戦績は、8戦5勝。デビューからコンビを組む松山弘平騎手(32)と共に挑む。

1986年メジロラモーヌ、2003年スティルインラブ、2010年アパパネ、2012年ジェンティルドンナ、2018年アーモンドアイに続き、デアリングタクトは史上6頭目の牝馬三冠を達成。

加えて、デビューから5連勝、無敗での牝馬三冠達成は、史上初という快挙だった。

調教中のデアリングタクト
調教中のデアリングタクト

その後、2020年11月GⅠ「ジャパンC」3着、昨年3月GⅡ「金鯱賞」2着、そして昨年4月の香港G1「クイーンエリザベス2世C」3着から、約1年1カ月ぶり(中384日)の出走となる。

グレード制を導入した1984年以降、JRAのGⅠ優勝馬で、前走からの間隔が最も長かったのは、1993年「有馬記念」を制したトウカイテイオーの中363日で、デアリングタクトが勝てば、この記録を更新する。

父は、GⅠ2勝のエピファネイア、母は1戦しかしていないものの2004年の日本ダービー馬キングカメハメハを父に持つデアリングバード。

馬名デアリングタクトの意味は、「大胆な+Tactics(戦法)より。大胆な戦法。父、母名より連想」とある。

デビューからコンビを組む松山騎手と、その名の通り大胆な戦法で、1年以上の休養明けとなるGⅠレース制覇なるか。

GⅠ馬<3>好調!川田将雅騎手と共に…“レイパパレ” 

GⅠ1勝、「大阪杯」を制覇した5歳の7枠13番レイパパレの戦績は、12戦6勝。鞍上はデビューから8戦連続、さらに近2走を含む10戦で騎乗してきた川田将雅騎手(36)だ。

レイパパレとコンビを組む川田騎手は、先週の「NHKマイルC」をダノンスコーピオンで制すなど今年GⅠ2勝を含む重賞5勝を挙げており、これは騎手別のJRA重賞勝利数で単独トップ。

GⅠ勝利数も、同じく2勝の福永祐一騎手と並び、トップタイだ。

レイパパレ(大阪杯・2021年)
レイパパレ(大阪杯・2021年)

そんな今年好調な川田騎手と、デビューから昨年4月の「大阪杯」まで6連勝。以来、勝利からは遠のいているものの、近2走では再び川田騎手とコンビを組み、今年3月のGⅡ「金鯱賞」2着、4月のGⅠ「大阪杯」2着と、復調傾向にある。

父はGⅠ7勝の言わずと知れた名馬・ディープインパクト、母は3勝ながらクロフネを父にもつシェルズレイ。

馬名レイパパレの由来は、ハワイ語で「(パパレ=)帽子の縁の周りに飾るレイ。母名より連想」だ。好調・川田騎手と共に、デビュー2戦目以来の1600メートルを苦にせず、レイのごとくGⅠ2勝目を飾れるか。

GⅠ馬<4>24戦目で初の1600メートルを駆ける!“アカイイト”

 GⅠ1勝、「エリザベス女王杯」を制覇した5歳の7枠14番アカイイトの戦績は、23戦5勝。このレースを合わせて5戦連続で幸英明騎手(46)とのコンビだ。

アカイイトは、未勝利、1勝クラス、2勝クラス、3勝クラス、と地道に勝利を重ね、20戦目となった昨年11月の「エリザベス女王杯」で初重賞&初GⅠ制覇を達成した。

アカイイト(エリザベス女王杯・2021年)
アカイイト(エリザベス女王杯・2021年)

2019年9月のデビュー、新馬戦1400メートル(阪神)4着以降は、22戦続けて芝1800メートル以上の距離の出走を続けており、24戦目にして初の1600メートルに挑戦。

芝1600メートル戦初出走でヴィクトリアマイルを勝てば、08年エイジアンウインズ以来14年ぶり2頭目となる。

父は13年の日本ダービー馬・キズナ、母は2勝ながら 02年・03年の天皇賞(秋)&有馬記念連覇でGⅠ4勝のシンボリクリスエスを父にもつウアジェト。

馬名アカイイトの意味は、そのまま「赤い糸。父名より連想」とある。幸騎手との絆で、初のマイル戦へ!勝利の女神と赤い糸で結ばれるか。

GⅠ馬<5>国内外GⅠで2着5回 今度こそ!“レシステンシア” 

GⅠ1勝、「阪神ジュベナイルフィリーズ」を制覇した4枠7番レシステンシアは5歳、戦績は14戦5勝。鞍上は、通算6人目のジョッキーで、前走に続き横山武史騎手(23)。

レシステンシアは、2019年デビューから3連勝で「阪神JF」を制し、“2歳女王”を戴冠した。

調教中のレシステンシア
調教中のレシステンシア

昨年、4歳でGⅢ「阪急杯」やGⅡ「産経賞セントウルS」を制したが、3歳以降のGⅠレースは8戦で、2着が5回と惜敗が続いている(3歳の「桜花賞」「NHKマイルC」、4歳の「高松宮記念」「スプリンターズS」「香港スプリント(香港G1)」)。

前走の今年3月「高松宮記念」では、スタート直後から逃げて積極的なレース運びを見せたものの、6着。

だが今回のヴィクトリアマイルで勝てば、19年「阪神JF」以来、GⅠ勝利からGⅠ勝利の間隔が「2年5カ月6日」となり、グレード制を導入した1984年以降、牝馬のGⅠ勝利間隔として最長記録を樹立する(これまでのGⅠ勝利間隔で牝馬の最長記録は、ダンスインザムードの04年「桜花賞」から06年「ヴィクトリアマイル」の2年1カ月2日)。

父はGⅠ5勝のダイワメジャー、母はアルゼンチンのG1馬マラコスタムブラダ。

馬名レシステンシアの由来は、「アルゼンチン(北東部)にある州都の名。母の生産国より連想」とのこと。

パラグアイにも面したチャコ州の中心=州都の名を背負い、GⅠ勝利最長間隔で制することで、まさに競馬界の中心となれるか。

元騎手・細江純子さんの注目馬と予想は!?

他にも、ヴィクトリアマイルを2020年アーモンドアイ、2021年グランアレグリアで制し3連覇を目指すC.ルメール騎手(42)が乗る6枠11番ファインルージュ(4歳、8戦3勝 うちGⅢ2勝)。
武豊騎手、蛯名正義元騎手、ルメール騎手に続く、史上4人目となる牝馬限定GⅠ6競走完全制覇を狙う福永祐一騎手(45)の7枠15番アンドヴァラナウト(4歳、9戦3勝、うちGⅡ1勝)。
池添謙一騎手(42)の1枠2番ソングライン(4歳、9戦4勝、うちGⅡ1勝・サウジアラビアG3「1351ターフスプリント」勝利)など、強豪揃いのヴィクトリアマイル。

混戦とも言えるこのレース、「みんなのKEIBA」に毎週出演中の元騎手・細江純子さんに、注目馬を聞いた。

細江純子さん
細江純子さん

まず気になる本命は、◎1枠2番ソングライン

「左まわりのワンターンの東京コースは崩れていない。また、若い頃よりも追いきりの動きに力強さが増しており、成長も感じます。
そしてなんといっても心強いのは、鞍上。騎乗馬がお手馬となり、条件が整った時の大一番における勝負強さは騎手の中でもトップクラス。池添騎手への信頼も含めて本命にします」

調教中のソングライン
調教中のソングライン

細江さんは、GⅠ馬5頭以外から本命を選択。牝馬限定GⅠ完全制覇も懸かる池添騎手の手腕にも注目だ。

続いて、対抗馬に挙げたのは、〇3枠5番ソダシ

「正直、課題は2つ。ゲートとダート2戦走った後での芝。よって、枠はもう少し外目の方がよかった気もしていますが、この中間の雰囲気がルンルンしており、気持ちが良さそう。
実際、北村助手も、『追いこみすぎないように気を配りながら調整をしてきて、それが良い方向にでていると思う』と話していました。
個人的に距離もマイル、そしてワンターンは良い気がしており、ゲートの出次第で良い競馬になると思います」

気になる点はあるものの、適性と順調な仕上がり具合からも、細江さんの評価は高い。スタートもカギになってきそうだ。

そして単穴として推奨する馬が、▲7枠13番レイパパレ

「久々のマイルとなりますが、これはプラスに働く気がし、圧勝があってもおかしくないように思えます。
また、この馬はスタートがゆっくりな時もあり、内で包まれるのが一番の心配だったので、この外目の枠は好材料です」

さらに、注目している馬を尋ねた。

「馬券的に面白みがある穴馬は8枠16番デゼル(5歳、12戦4勝。うちGⅡ1勝、藤岡康太騎手33歳)という気がしています。
以前は重心が前に落ちたフォームの走りをしていましたが、今回はしっかりと上体が起き、素晴らしいバランスに。
前半、置かれると厳しいかも?ですが、前走マイルを使っていることと、馬の成長にあわせた馬作りをする友道厩舎なだけに、古馬になってからの方がより期待がもて、人気薄ならば馬券に入れておきたい1頭です。
ちなみに昨年の2着も、10番人気の友道厩舎管理馬ランブリングアレーでした」

細江さんは、競馬中継内のパドック解説など、直前まで馬の様子を見て「イチオシ」を決めて発表する予定。そのレース前の最新情報にもご注目頂き、「みんなの夢馬券」コーナーの予想も楽しんでほしい。

2022年 GⅠレース7戦で1番人気馬は未勝利…今週は⁉

先週の「NHKマイルC」は、4番人気のダノンスコーピオンが制し、1番人気だったセリフォスは4着。

今年のGⅠレースは、7戦が終わり、いまだ1番人気の馬が勝利していない。

2月20日:GIフェブラリーS・カフェファラオ(2番人気)
3月27日:GI高松宮記念・ナランフレグ(8番人気)
4月3日:GI大阪杯・ポタジェ(8番人気)
4月10日:GI桜花賞・スターズオンアース(7番人気)
4月17日:GI皐月賞・ジオグリフ(5番人気)
5月1日:GI天皇賞(春)・タイトルホルダー(2番人気)
5月8日:GINHKマイルC・ダノンスコーピオン(4番人気)

GⅠ馬5頭が揃うハイレベルなレースは、近2年に続く1番人気の勝利か、他のGⅠ馬が意地を見せるか、それともGⅠ初勝利の馬が波乱の高配当を演出するのか、目が離せない。

みんなのKEIBA
ヴィクトリアマイル・GI
5月15日(日)15時から生中継

https://www.fujitv.co.jp/sports/keiba/index.html

みんなのKEIBA
みんなのKEIBA

フジテレビスポーツ局が制作する競馬情報番組。毎週・日曜日午後3時より放送中。番組MC:DAIGO/佐野瑞樹/竹俣紅 解説者:井崎脩五郎/細江純子 ※放送時間は変更される場合があります