ひと目見たら忘れられない個性的な衣装を身に着けた、地域密着型のヒップホップグループがある。岩手県花巻市で活動を続ける「BIG-RE-MAN(ビックリマン)」だ。

音楽イベントの中止など、逆風となったコロナ禍でも新たな活路を見出し、地元密着のスタイルを貫くメンバーには強い絆があった。

38歳同級生の地域密着型ヒップホップグループ…MC陣のキャラが強烈

岩手・花巻市で活動を続けるヒップホップグループ「BIG-RE-MAN(ビックリマン)」のメンバー5人
岩手・花巻市で活動を続けるヒップホップグループ「BIG-RE-MAN(ビックリマン)」のメンバー5人
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メンバーは、巧みな言葉選びに定評がある「カンダタ」、即興のラップを得意とする「エビス」、歌って踊れるラッパー「カタスカシ」、曲作りを担当するDJの「ポンズールー」、ライブの盛り上げ役・シャウターの「テンディー」。

花巻生まれ、花巻育ち、2022年で38歳を迎える元同級生の5人組だ。コロナ禍を機に、活動の形を変えてパフォーマンスを続けてきたアーティストとして注目されている。

路地裏を独特なダンスで歩く
路地裏を独特なダンスで歩く

グループの最大の特徴は、MC陣3人の強烈なキャラクターだ。それぞれが、緑・黄・ピンク色の、個性的な手作り衣装を身にまとう。ライブだけではなく、週に1度メンバーの家で行われる打ち合わせでも、衣装を身につけているという。

全身タイツやはっぴ、ジャージーを着て、スリッパを胸につけたり、造花を差したカゴを頭にかぶったり…この個性的な格好には信念がある。

カタスカシさん:
「何がおかしいの」というスタンス

エビスさん:
かっこつけ始めたら、それはかっこ悪い

これまでにリリースした曲は実に100曲以上と、実績を重ねてきた「BIG-RE-MAN」。結成18年、苦労もしたという。

カンダタさん:
後輩が、自分たちの成人式にライブのオファーしてくれたことがあった。自分たちを全く知らない人の前でライブしている時はつらかった。お門違いってこういうことなんだなって

結成18年…コロナ禍でライブの場失うも転機が訪れる

アーティストとして油が乗ってきた矢先、活動に影響を及ぼしたのが新型コロナウイルスだった。

エビスさん:
月に3回くらいはライブをしていた。それがぱったりと無くなって…

パフォーマンスの場を失いつつあった2年前、転機が訪れる。コミュニティFM「ラヂオもりおか」からのオファーで、番組を受け持つことになったのだ。

この日、友人をゲストに招いて行ったのは107回目となる番組の収録。毎週木曜日の30分番組、他愛のない話題を掘り下げる、筋書きのない構成が魅力だ。
インターネットでも配信されるラジオ番組は、新曲などグループの情報を発信し続けるツールとなった上、メンバーの絆を深めたという。

カンダタさん:
仕事と家庭の行き来だけなら、もっと窮屈な思いをしていたかもしれない。定期的に会うことで、ぶれないでいられた

地元・花巻の思い出の場を歌詞に…「忠実にヒップホップを表現」

この日の番組内では、花巻の思い出の場所を歌詞に散りばめた、新曲の収録が行われた。

曲名は、鍛錬を意味する「ビルドアップ」。地元に拠点を置き続ける5人が、コロナ禍の花巻を音楽で元気づける。

テンディーさん:
ふざけているけど真剣。それはそれで自分たちのやりたいことは伝わっているんじゃないかと思う

ポンズールーさん:
他(の場所)に行くことを基本的に考えたことがない。地元を盛り上げたい一心でやっている

こうした5人のポリシーを高く評価する人物がいる。

盛岡と東京に拠点を置く、世界的音楽レーベル「JAZZY SPORT」のDJ CHOKUさんだ。共演してきた音楽イベントを通して、グループ結成当初から5人を見つめてきた。

JAZZY SPORT・DJ CHOKUさん:
最初から何も変わっていないから、成長もしてないだろうなという感じ。ヒップホップは地元代表という意識を大事にするカルチャー。忠実にヒップホップを表現する形が、花巻を日本中に知らしめる活動に結びつくモチベーションだと思う

手作りでPV…描く未来は? 90歳になって「歯が抜けてもそれを生かして」

4月の大型連休初日、友人らの協力のもと、手作りでプロモーションビデオの撮影を行う5人の姿が野球場にあった。ロケ地はもちろん、花巻市内。
全員、野球経験はほぼないが、やったことがないことでもひたむきに取り組む大切さを表現したかったという。
それぞれの表情から、メンバーの仲の良さがにじみ出ている。

エビスさん:
毎日欠かさずメンバーを思っている。「何してるかな」と思うと心がほっとするので

これからも地元・花巻から、スタイルを貫いた音楽とラジオを発信する「BIG-RE-MAN」。

彼らが描く未来像とは…。

エビスさん:
70歳・80歳・90歳まで続けていれば、もっと面白いものを提供できると思う。たぶん歯が数本ないと思うので、それを生かしたラップをしていると思う。花巻のいいものを世界中に届けて、全員ハッピーになれればいいと思う

(岩手めんこいテレビ)

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