暴力団勢力に衰え 組員らは30年で4分の1に

暴力団対策法が施行されたのは1992年。暴力団は反社会的団体と位置づけられ、組員による不当な行為は、厳しい取り締まりの対象となった。その結果、組員らが飲食店に対してみかじめ料を要求するなどの禁止行為に及んだ場合、警察が中止命令を出し、摘発できるようになった。これまでに全国の警察が出した中止命令は5万2821件にのぼる。

その後も法改正が重ねられ、各都道府県には暴力団排除条例が制定された。銀行口座の開設、不動産の賃借、携帯電話や車の購入などの契約ができなくなり、暴力団の社会生活は大幅に制限されることになった。

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山口組系事務所に家宅捜索に入る警視庁の捜査員(2015年)

それに伴い、暴力団の勢力は明らかに衰えた。暴対法施行前の1991年にはおよそ9万1000人いた組員らの数が、去年末にはおよそ2万4100人と、およそ4分の1に減った。そして、この間、5232もの暴力団組織が解散した。

変わる暴力団の”シノギ”

組員の数が減り、検挙件数も減少傾向にあるが、この30年で”摘発内容”にも変化が見られている。警察庁によると、暴対法施行前の1990年に、暴力団絡みの検挙件数で最も多かったのは、「覚醒剤取締法違反」で全体のおよそ2割弱を占めた。次いで「賭博」「ノミ行為」が合わせて16.5%だった。「詐欺」は3.1%と少なかった。

警察庁によると、暴力団に対する”摘発内容”にも変化が見られるという

ところが、2020年のデータを見ると、トップは変わらず「覚醒剤取締法違反」で26%を超えているが、「ノミ行為」に関しては0%で、「賭博」も2%に及ばなかった。これに対して「詐欺」は9.5%にのぼった。昔ながらの”シノギ”とされる「賭博」「ノミ行為」が減り、特殊詐欺などの「詐欺」が増加した形だ。

「若い人が組長になりたがらない・・・」高齢化する暴力団

暴力団をめぐる環境の変化について、フリーライターの鈴木智彦氏は「暴力団が力を失っているのは確か。それなりに怖がられ、いざという時に判断をするから生き残っているが、儲からないし、捕まると懲役になる。そのため若い人が入らず、組長をやりたがらないから、世代交代が進まず、組長の高齢化が進んでいる」と話す。

警視庁は、特殊詐欺事件の関係先として山口組本部を家宅捜索した(今年2月 神戸市)

その背景には、銀行口座の開設の禁止など、基本的な生活が制限される暴力団排除条例の影響が大きいとみられている。「ヤクザ」にとって肩身の狭い世の中となった訳だ。また「特定抗争」や「特定危険」に指定されると事務所が使えなくなり、集合できないなどの物理的な制限も影響しているという。

半グレとの関係は「持ちつ持たれつ」か

「暴力団と一般人の間には層ができている。暴力団が表に出られないので、半グレなどが活動し、金を上納する。暴力団は陰で稼ぎをもらうことになるが、メリットは一方的ではない」と鈴木氏は指摘する。

暴力団と半グレの関係は「持ちつ持たれつ」か

例えば、暴力団側にとっては、専門スキルがある特殊詐欺グループは、”稼ぎ”も見込まれ、上納金が資金源になる。一方で、特殊詐欺グループ側にとっても、バックに暴力団がいるということから受け子などを脅して犯行が進めやすいという。

警察庁によると特殊詐欺事件では、暴力団組織のトップの使用者責任を問う裁判が、これまで15件起こされている。このうち4件は被害者側が勝ち、5件が和解、残りは係争中だ。摘発の他に、こうした暴力団の資金源を絶つ動きが加速することが望まれる。

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フジテレビ報道局社会部

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