私がお伝えしたいのは「激減するアメリカの留学生」。

新型コロナ対策で日本が導入した厳しい入国制限などにより、留学生の受け入れが再開しても、その数は大きく減少したままだ。
こうした中、アメリカの首都ワシントンでは、日本への留学経験者がビラを配ったり、日本の魅力をアピールするなどの活動を開始、留学生の獲得に躍起となっている。
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「留学生をどう呼び込む?日本の課題とは」

日本政府は新型コロナ対策として非常に厳しい水際対策を行い、約15万人の外国人留学生は長期間にわたり入国が制限されていた。
3月には、希望する外国人留学生の相当数が5月末までには入国できるようになるとの見通しを発表したが、すでに辞退者の他、日本以外の国に留学先を変更する人も出る事態となってしまった。

文科省の発表では、2019年度に入国した留学生が約10万人に対し、2020年度は約1400人と激減。アメリカのIIE(国際教育協会)が発表したデータでも、コロナ拡大前の2018年から2019年にかけて、アメリカから日本へ留学した学生が約8900人だったが、翌年は約3400人に減少。これから発表される最新のデータも、関係者からは「壊滅的な数字になる」との声が漏れる。

他国に比べて入国制限の解除に時間がかかったこともあり、日本に再びコロナ以前のような数の留学生が来るには、かなりの時間がかかると見られている。そのため、留学生を呼び込むための様々な取り組みも行われている。
アメリカの首都ワシントンDCで、桜祭りに関連したイベント開催に合わせ、日本に留学するため情報などを紹介するビラを配布していたのは、ジョージタウン大学院で日本文化を専攻している、マシュー・リーさん。日本の北海道函館市や、秋田県の大学にも留学経験がある。

マシュー・リーさん:
日本への留学は、人間として一番成長した。辛いこともあったが、同時に世界観も変わった。日本に留学しなかったら、今の自分にはなれなかった

…と留学の経験を語る。

マシュー・リーさん:
日本に留学するハードルは言語じゃないかな。外国人からしたら日本はまだ不思議な国のイメージがあって、日本の大学でも英語で授業ができるところもあるのに、知られていない

…とも話し、イベントに出席していた人達に500枚のビラを配り続けていた。
反応は「正直薄い」と嘆くも、何人か興味を示してくれたと期待を見せる。

留学生を呼び込もうと、パンフレットを作成した在米日本大使館に勤める金城太一さん(文科省から出向)は、「アメリカの方が日本に興味をもって留学しようと思ってくれないと、これまでの様な数には戻らない。アメリカにとって、日本は遠くて遠い国。留学のハードルを下げるためにも、情報提供をしていくのが大切」と強調した。

激減した留学生を再び取り戻すためには、今までと同じやり方ではなく、より丁寧に、そして様々な形で日本への留学のメリットや情報を伝えていくことも重要そうだ。

中西孝介
中西孝介

FNNワシントン特派員
1984年静岡県生まれ。2010年から政治部で首相官邸、自民党、公明党などを担当。
清和政策研究会(安倍派)の担当を長く務め、FNN選挙本部事務局も担当。2016年~19年に与党担当キャップ。
政治取材は10年以上。東日本大震災の現地取材も行う。
2019年から「Live News days」「イット!」プログラムディレクター。「Live選挙サンデー2022」のプログラムディレクター。
2021年から現職。2024年米国大統領選挙、日米外交、米中対立、移民・治安問題を取材。安全保障問題として未確認飛行物体(UFO)に関連した取材も行っている。