桜の名所として知られる岩手県の北上展勝地。そんな桜の街の魅力を高めようと、心温まるプロジェクトを展開する店がある。そこにかける思いを取材した。
寄付金で桜を購入 外出が困難な人たちへ
岩手・北上市には、心温まる桜のプロジェクトを展開する店がある。桜の名所として知られる北上展勝地は、もうすぐ約1万本の桜が咲き誇り、春らんまんとなる。
この記事の画像(12枚)そんな桜の街の魅力を高めようと始まったのが、「つながる北上さくらプロジェクト」。プロジェクトの中心となっている店「ときよじせつONODERA」は、イタリアンベースの料理を楽しめる。
ときよじせつONODERA 店主 小野寺伸也さん:
満開の桜の木の下で、寄付金付きディナーを楽しんでいただくイベントです
ディナーの寄付金で桜を購入し、病気などで花見ができない人に桜を届けるというもの。そのきっかけは…。
ときよじせつONODERA 店主 小野寺伸也さん:
最初は桜を1本くださいってお客さんがいて、(何に使うか聞いたら)外に桜を見に行けない患者さんに届けたいというので
その時のお客さんが、北上市内で訪問介護の仕事をしている高橋美保さんだった。
ホームケアクリニックえん 高橋美保さん:
(桜が届いた)ご本人さんも喜んでくれる。その様子を見た家族も喜んでいる姿が印象的で、家族の癒やしにもなっているんだなって
これをきっかけにプロジェクトが始まり、2022年で3年目を迎えた。
ときよじせつONODERA 店主 小野寺伸也さん:
最初は3人、4人で始めたのが、仲間がちょっとずつ増えていって、いろいろな方がつながってきた。お客さまも募金をいっぱいくれたりとか。家族や在宅介護の方にも響いてくれたのはうれしかった
鮮やかな野菜のコース料理 多くの人が賛同
プロジェクトには商業、農業、医療といったさまざまな分野の人たちが集まっている。メインとなる桜は、生花店の藤原昭紀さんが担当。小野寺さんから相談をうけてプロジェクトに参加した。
花仕事屋 Lamb's 藤原昭紀さん:
飾ってただ楽しむだけではなく、意味あることにしたかった。皆さんが楽しんでもらえたらいいなと思い賛同した
在宅医療を受けている人に桜を届けたいという思いに共感。店内に飾られた桜は、水やりと温度管理で満開になっている。天候に左右されることなく桜が楽しめるのがいい。
桜を届ける寄付金付きのディナーは、県内の食材をふんだんに使った彩り鮮やかなコース料理となっている。どの料理も彩り豊かだが、その秘密はカラフルな野菜だ。
この野菜は北上市出身の高橋賢さんが手掛けている。
うるおい春夏秋冬(ひととせ) 高橋賢さん:
おいしい食材を提供したいという思いを基本に、カラフルな野菜を提供することで、食べに来てくれた方の思い出に残ればいいなと思っている。桜も空間を演出するものなので、食での楽しみということで自分も力になれたらと思って参加した
「生の桜を見られると思わなかった」と喜びの声
4月5日、北上市の自宅で療養している平野啓治さんにソメイヨシノが届けられた。以前は奥さんの裕子さんと一緒に、よく展勝地へ花見に行っていたという。
平野祐子さん:
朝6時ごろ、サンドイッチと紅茶を持って行って、1時間ぐらいお花見をしていた。今度はこれ(もらった桜)で花見ができて本当にうれしいです
平野啓治さん:
生の桜を見られると思わなかった。本当にうれしいです
2人にとって、すてきな春になったようだ。
ホームケアクリニックえん 高橋美保さん:
桜を見に行くことができない方たちには、ベッドサイドに桜を持っていくことが生きる力になっていることをお話をしてくれた方もいて、桜の花からパワーをもらっているんだなと感じました
皆さんの思いがつながり、広がって咲き誇る「つながる北上さくらプロジェクト」。
ときよじせつONODERA 店主 小野寺伸也さん:
飲食店で、同じように桜を満開に楽しんでもらえるようなお店が増えれば、寄付もいっぱい集まる。患者さんに1人でも多く、桜を届けることができればいいですね
北上の地が“笑顔”という桜で満開になるといい。
(岩手めんこいテレビ)