ウクライナ危機の影響でサーモンの供給が不安定となり、代わりに脚光を浴びているのが「信州サーモン」。全国で需要が高まっているが、生産者の胸中は複雑だ。

注文が急増…名物「信州サーモン」

信州サーモン
信州サーモン
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いけすの中を泳ぎ回る大きな魚。信州の名物「信州サーモン」。長野県水産試験場が、ニジマスとブラウントラウトを交配して開発した品種だ。
生で食べられるのが最大の特徴。歯ごたえがあって脂は後味さっぱり。すっかり信州を代表する養殖魚となったが、今 全国から熱い視線が注がれている。

マルト水産・徳竹豊社長:
大きいよ、2.5キロから3キロくらいあるからね

安曇野市のマルト水産。「信州サーモン」を豊洲市場をはじめ、全国各地に出荷している。この2年間は、コロナの影響で月の売り上げが例年の2、3割にとどまることもあった。
しかし、3月…

マルト水産・徳竹豊社長:
(注文が)パニックになるくらい多かった。このままいったら、品物が切れちゃうんじゃないかなというくらい

全体の7割を占める県外からの注文が急増。3月の出荷量がコロナ禍前の3倍ほどにまで伸びた。

ウクライナ危機が影響

原因はロシアによる「ウクライナ侵攻」だ。サーモンの主要な輸出国であるノルウェーからの航空機がロシア上空を飛行できず、供給が不安定になった上、遠回りするため輸送費がかさみ、値上がりしているのだ。

都内の卸業者によると、2月の仕入れ値が1キロ1200円だったのに対し、3月は1キロ2000円ほどにまで上昇。このため、サーモンの代わりの魚として信州サーモンが急浮上したのだ。

マルト水産も出荷に追われている
マルト水産も出荷に追われている

マルト水産・徳竹豊社長:
(注文が)名古屋からは50本くらいくるよ

マルト水産も東京、大阪、名古屋へと出荷に追われている。

客:
何回でも食べに来たい

マルト水産・徳竹豊社長:
身がしまっておいしいと思う。知名度が上がって味の良さが分かっていただいて、需要が増えてくるというのはありがたい

コロナ禍で売り上げが落ち込む中、思いもよらぬうれしい悲鳴。ただ、ウクライナ侵攻が背景となっているだけに、社長の胸中は複雑だ。

マルト水産・徳竹豊社長:
(ウクライナの人が)早く普通の生活ができるような状況になってもらえれば。普通の社会生活に戻ってから需要が安定してくれれば、それに越したことはない

このほか、ロシアやウクライナが主要生産国の小麦も国際価格が上昇。
小麦粉の代わりに米粉が注目されていて、「代替品探し」の動きは今後も続きそうだ。

(長野放送)

長野放送
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