ロンドンオリンピックの平泳ぎ金メダリストが赤く染まった池で泳ぎ、ロシア軍による大量虐殺に抗議するというパフォーマンスを行いました。ロシア国内では、市民による「静かなデモ」が広がりを見せています。「めざまし8」では、ロシア人YouTuberらを取材。プーチン大統領による徹底した情報統制の綻びを探りました。

五輪金メダリストが反戦訴え“血の池”で泳ぐ

SNSに投稿され、世界で話題となっている1本の動画。

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赤く染められた“血の池”で一人の女性が泳いでいます。彼女は2012年、ロンドンオリンピックの競泳女子100メートル平泳ぎで金メダルを獲得したルタ・メイルティテ選手。15歳でオリンピックチャンピオンに輝いたリトアニアの伝説的な存在です。

なぜ彼女は赤く染めた“血の池”を泳いでいたのでしょうのか。動画と共に投稿された文章には…

ルタ・メイルティテ選手のツイッター:
この血まみれの池は、ウクライナに対して戦争犯罪を繰り返すロシアの責任を強調しています

実はこの動画が撮影された場所は、リトアニアにあるロシア大使館のすぐ目の前。ウクライナ侵攻で流された市民の「血」をイメージして赤く染められた池を泳ぐことで、反戦の意志を示しているといいます。

「戦争犯罪」と批判を浴びながらも、いまだ侵攻を止めることのないロシア。しかし、ロシア国内で、新たな動きが出てきたといいます。

ロシア市民「#静かなデモ」硬貨やトイレに思いを託す

ロシア国内で使われている、ルーブル硬貨を映した画像。その表面をよく見てみると…

「戦争をやめろ!」

「ロシアの物価は上がっていて、ウクライナ人は死んでいる 声をあげて!」

そこには手書きで反戦メッセージの数々が記されています。これは、ロシア国内で広がる「静かなデモ」。

めざまし8が取材したのは、日本在住のロシア人ユーチューバー、「あしや」さん。ロシア国内では、これまでに反戦活動やデモなどを行って拘束された人が1万5000人を超えるなど、徹底した取り締まりが続いています。
こうした声を上げられない現状に、出てきたのが「静かなデモ」と呼ばれる動きだ。

日本在住のロシア人ユーチューバー、「あしや」さん:
大勢の人が外に出てデモをするということは、駄目になっている中で、すごく色々と工夫していて、例えばお金に「戦争反対」とか、お札とか小銭でも届くように、「戦争反対」のような落書きをして、それを使って支払ったり、いろんな人の手元に届くように

人から人へと渡っていく硬貨などに、「反戦」の思いを託す人たちが増えているといいます。

日本在住のロシア人ユーチューバー、「あしや」さん:
本来デモというのはもっと周りに知ってもらって、政府とかに気付いてもらう目的だと思うですけれども、この場合はどちらかというと周りにも戦争を反対している人がいて、そんな人たちとつながって自分1人ではないよと言う意味合いも含んでいるのかなと思います。

これは、ロシア西部のカザンという都市で撮影されたというスーパーの写真。コーヒーの値札には400という数字が記されていますが、ロシア語を読み解くと。

情報統制が敷かれるロシア国内の人々に、ウクライナで起きていることを伝えようとする言葉が書かれています。

これは、ロシアの独立系メディアが報じたもの。モスクワにある大学では、QRコードが貼り付けられたビラが。

実は、このQRコードを読み取ると、ブチャでの虐殺に関する情報が表示されるといいます。

別の大学のトイレにも、ドアの内側に貼られた、ロシアの戦争責任を問う言葉が。トイレの外の監視の目を避けながらも、確実に人の目に着くようになっています。また、こうした言葉は、街中でも。

「どのコーヒーを選びますか?」と書かれた広告の下に、ロシア語で「抑圧」と「エスプレッソ」を合わせた造語が。抑圧された社会を、皮肉っているのでしょうか。

日本在住のロシア人ユーチューバー、「あしや」さん:
周りにも戦争を反対している人たちが自分ひとりじゃないよ。っていうような意味合いも含んでいるのかなと思います。

「静かなデモ」は、大きなうねりとなるのでしょうか。

(めざまし8 4月12日放送)