この記事の画像(21枚)

名古屋市中区に、知る人ぞ知る「ういろ」の名店がある。70代の夫婦が毎朝手作りしている、このモチモチで甘すぎない「ういろ」は、午前中に売り切れるほどの人気商品だ。

口当たりがよく柔らかい…モチモチでほのかな甘みが特長の名物「ういろ」

名古屋市営地下鉄の千種駅からほど近くの広小路通り沿いに、1934年創業の和菓子店「菊屋」はある。毎朝手作りしている店の看板商品の「ういろ」(1本500円)は、モチモチでほのかな甘みが口の中に広がる。

女性客A:
ふわっとした舌触りがいい、食べやすい

男性客A:
東京の歌舞伎友達が、ここのういろ大好きで…

絶品の「ういろ」を作るのは、2代目の小山孝さん(77)と、妻の美幸さん(73)。

小山孝さん:
口当たりがすごくいい。柔らかくておいしい、それでさっぱり感がある

夫婦二人三脚で作る、味・歯切れ・舌触りが自慢の「ういろ」だ。

昔ながらの手作りにこだわる…夫婦で50年以上守り続けてきた味

午前5時、小山さんの姿は厨房にあった。ういろは毎朝、その日の分だけ作る。材料は少し粗めの米粉に、砂糖、デンプンを加えて100度近い熱湯を入れ、練り上げる。

小山孝さん:
お湯の量が一番の命。ういろは水分量だけで決まっちゃう。これですごくいい状態、最高

温度が下がらないうちに手早く混ぜる。このかき混ぜる時間が、仕上がりの良し悪しを決めるという。

挽きたての風味豊かな抹茶や、沖縄から取り寄せたやさしい甘さの黒糖などで色と味を付けたら、2時間蒸し上げる。時間が経つと味が変わってしまうため、小山さんは出来立てにこだわる。

そして、蒸したての「ういろ」は、釣り糸を使って切り分ける。

小山孝さん:
包丁はくっついちゃって能率が上がらない。糸だとスッキリ取れる

切り分けると、妻の美幸さんが、銀紙で一つ一つ丁寧に包む。

小山美幸さん:
楽しいよ、楽しくなかったら、やっていない。腹が立つこともいっぱいある。そういう時は、友達と遊びに行く

50年以上、夫婦二人三脚で守り続けてきた店の看板商品「ういろ」(1本500円)は、シンプルな「白」に、上品な香りの「抹茶」、華やかな香りの「桜」と「黒糖」の4種類。

中でも1番人気は「黒糖」で、深みのある甘みとコクが口の中に広がる。

「しっとりとして美味しい」…遠方から自転車でやってくる常連も

午前9時30分。店を開けるとすぐに、女性がやって来た。接客は、美幸さんの担当だ。

女性客B:
朝、早く来ると(ういろが)まだ温かい。それがまたおいしい。色もキレイ

10本購入した男性は、遠くに住む親戚に送るという。

男性客B:
他のういろとは違う。食感も違うし、味もいい、甘すぎない

中川区から自転車でやってきた常連もいた。

女性客C:
ういろはここ。やっぱりしっとり感、カチカチじゃない。ほんとにおいしい

時には、売るのも買うのも忘れて、世間話に花を咲かせることも…

男性客C:
とっても明るくて、ここに来ると元気になる

女性客D:
羨ましいくらい仲がいい、もうやけちゃう

小山夫婦の気さくな人柄が、まるで親戚の家に来ているような感じだ。

無理のないペースで細く長く…自分の代でのれん下ろすと決めた店主

「菊屋」の2代目として生まれた小山さんは、京都で和菓子の修業をし、50年ほど前に店に入った。当時から「ういろ」は販売していたが…

小山孝さん:
食べた感じでは、まずかった。こんな「ういろ」よく作っていたなと思って、私がどんどん開発していって…

風味や食感をより一層高めようと、材料や製法などを見直し改良を続けた。その結果、味・歯切れ・舌触り、どれも納得がいく「ういろ」が完成。そのおいしさから、大勢のお客さんが足を運ぶようになった。

午前11時。菊屋の「ういろ」は保存料を一切使わず日持ちがあまりしないため、その日のうちに売り切る。

小山美幸さん:
今日に限ってない

女性客E:
一本もない?ここのしか食べないもんで

小山美幸さん:
ごめん

この日は、開店から1時間半で用意した90本が完売。

小山孝さん:
昔は売り切れたら、すぐやった(作った)けど、それやると体を壊しちゃう。無理はいかん、無理はどっかでコケる。無理しないようにやるのがベスト、細く長く

自分の代で店を閉めると決めている小山さんは、1人でも多くの人に味わってもらうために、少しずつでも自分たちのペースで「ういろ」を作り続けている。

小山孝さん:
女房についていくだけでも楽しいし、自分は自分で面白い。がんばれるだけ、がんばっていきます

夫婦二人三脚で営む町の和菓子店には、おいしい「ういろ」と人々とのふれあいが溢れていた。

「菊屋」は、名古屋市中区葵。名物「ういろ」は、1日に作る量に限りがあり、ほとんど午前中で売り切れるため、電話で予約するのがオススメ。

(東海テレビ)