映画「ドライブ・マイ・カー」がアカデミー賞国際長編映画賞を受賞し、濱口竜介監督らが喜びを語った。一方、授賞式では主演男優賞のウィル・スミスさんによる、ある騒動が起きた。

4部門にノミネート 西島秀俊さん「とても幸せ」

米・ロサンゼルス、日本時間の3月28日午後3時前。輝くオスカー像を手にした濱口竜介監督(43)、西島秀俊さん(50)、岡田将生さん(32)ら出演者にハリウッドが祝福の嵐を贈った。

濱口竜介監督:
うれしいです。こうして受賞ができるとは本当に思っていなかったので、本当にありがたいことだと思っています。

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第94回アカデミー賞で、日本映画史上初の4部門にノミネートされた濱口監督の「ドライブ・マイ・カー」が見事、国際長編映画賞を受賞。監督らが喜びの受賞会見に臨んだ。

西島秀俊さん:
本当にうれしいです。本当に改めてこの作品が国とか言葉を超えて、皆さん、いろんな方の心に深く響いたんだな、ということを会場ですごく感じて。とても幸せです。

岡田将生さん:
「ドライブ・マイ・カー」ってタイトルを言われた時に、みんなで立ち上がってみんなで抱きしめ合ってる。その瞬間はたぶん、一生忘れない出来事なんだろうなって思ってます。

濱口竜介監督:
スピルバーグさんに「この映画がとても好きだ」というふうに言っていただいたので、本当にすごい日だなと思いました。

歓喜の濱口監督、出演者らに感謝

会場前には、輝く特大のオスカー像。映画界最大の栄誉とされるアカデミー賞授賞式。レッドカーペットが敷かれた会場に、続々とハリウッドスターたちが登場した。この栄えある舞台に、「ドライブ・マイ・カー」を世に送り出した監督や俳優陣たちも姿を見せた。

濱口竜介監督:
圧倒されています。レッドカーペットってこんなに広いものなんだなと。びっくりしています。すごいな~

西島秀俊さん:
思ったよりも盛り上がっていて、びっくりしました。すごく楽しんでやらせてもらっています。

2022年の授賞式は観客も入れ、“コロナ以前”に近い形での開催となった。ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、ミラ・クニスさんやアンソニー・ホプキンスさんらハリウッドスターが平和を祈る発言をするなど、異例の授賞式となった。

「ドライブ・マイ・カー」がノミネートされたのは、作品賞、監督賞、脚色賞、国際長編映画賞の4部門。そして、国際長編映画賞の発表が行われた。

プレゼンター:
オスカーに輝いたのは…「ドライブ・マイ・カー」です!

受賞が決まった瞬間、濱口監督や俳優、関係者たちは抱き合って喜びを分かち合った。ゆっくりと壇上に向かった濱口監督はオスカー像を手にすると、じっと見つめ…。

濱口竜介監督:
ありがとう、君がオスカーか。西島秀俊さん、岡田将生さん、霧島れいかさん、パク・ユリムさん、ジン・デヨンさん、アン・フィテさん、ソニア・ユアンさん、おめでとうございます!

日本語で俳優たちの名前を一人一人読み上げ、おめでとうございますと叫んた。そして最後に、会場に来ることができなかった運転手役の三浦透子さんへの感謝を口にした。

濱口竜介監督:
三浦さん、とりました!ありがとうございます。

作品賞など、他の部門での受賞は逃したものの、国際長編映画賞の受賞は「おくりびと」以来13年ぶりの快挙だ。

妻を侮辱され平手打ち スピーチで涙

一方、授賞式では主演男優賞にノミネートされていたウィル・スミスさん(53)による騒動も起きた。

きっかけは、長編ドキュメンタリー賞のプレゼンターを務めたコメディアンのクリス・ロックさんの発言だった。

クリス・ロックさん:
「G.I.ジェーン」の続編を楽しみにしているよ。

毒舌で知られるクリスさん。会場にいたウィルスミスさんの妻ジェイダさんを指し、髪が短いことをからかうような発言をした。(「G.I.ジェーン」は1997年の映画。女性将校を演じたデミ・ムーアが、髪を短く刈り上げたことで話題になった)

するとウィル・スミスさんが壇上に上がり、激しく平手打ち。その瞬間、会場が凍りついた。

ウィル・スミスさん:
俺の妻の名前を口にするんじゃない。

現地メディアによると、妻のジェイダさんは脱毛症に悩まされ、2021年の夏ごろから短髪にしていたという。

ウィル・スミスさんと妻ジェイダさん
ウィル・スミスさんと妻ジェイダさん

妻を侮辱され、思わぬ行動に出たウィル・スミスさんはその後、主演男優賞を受賞。スピーチでは謝罪の言葉を口にし、涙を浮かべながらこう訴えた。

ウィル・スミスさん:
私は自分の人生で愛する人々を守っていく使命があるのです。

(「イット!」3月28日放送)