手軽さゆえの“気の緩み”に注意…本人確認は“別手段”を利用して

今、何者かに「LINE」のアカウントが乗っとられ、家族や友人なども詐欺の被害に遭ってしまう事案が相次いでいる。

<LINEの内容>
「今忙しい?」
「近くのコンビニでBitCashカードを何枚か買ってきて欲しいんだけどいいかな?」

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2022年1月、愛知・豊明市に住む60代の男性の元に届いたLINE。親しげな文言で、コンビニで電子マネーの購入を頼んできた相手は…

60代男性:
昔の会社の上司です。10年ぶりだったんで、仕事関係のお話かなと思って

表示された名前は、顔もよく知る「元上司」のもの。本人だと思い、男性はやり取りを進めた。しかし、10万円分の電子マネーを購入するよう求めてきた辺りで、違和感を覚えたという。

<LINEの内容>
「お金は明日あげるよ。買ったら裏面のIDを削って写真とってラインで送ってくれ」

らしくない、強い命令口調を不審に思い、元上司に電話をかけてみると…

60代男性:
(元上司は)「申し訳ない、LINEを乗っ取られたから、僕からのLINEは無視して結構」だと。知り合いの名前で直接来るもんですから、騙される方がみえてもおかしくない

送り主は元上司ではなく、別人。電子マネーの購入を求めてきたLINEは、「なりすまし」による詐欺の手口だった。

男性は電話で本人確認したことで被害を免れたが、元上司のアカウントからは同じ日に約15人になりすましメッセージが送られていた。

なぜアカウントが乗っ取られたのか。

元上司:
Aさんという知人から、「LINEの調子が悪くなった。あなたの携帯番号とパスワードを送ってくれると助かる」とLINEがきた。気の毒だと思って送った記憶がある

取材で次のような仕組みがわかった。

元上司は、知人のAさんのアカウントから「電話番号とLINEのパスワードを教えてくれ」というメッセージを受信。それに応じた直後、アカウントを乗っ取られた。

ただ、Aさんのアカウントも何者かに乗っ取られたもので、元上司以外にも手当たり次第に送られていたとみられている。

乗っ取った人物らは同様の手口を繰り返し、ねずみ算式に「なりすましアカウント」を増やしながら、電子マネーなどを購入させる詐欺行為をはたらいていた可能性があるという。

60代男性:
(LINEは)便利だけど、本人かどうかっていう確認は今後どうなるんだろう

愛知県警によると2022年に入り、県内で「なりすましLINE」による詐欺の被害や相談が相次いでいるとのこと。なぜダマされてしまうのか、愛知県警に聞いた。

「友だち」として登録されている、家族や友人のアカウントが乗っ取られるケースがあり、こうした自分に近い親しい人から「電子マネーを買ってきて」「LINEの調子が悪いから電話番号を送って」というお願いをされて、警戒感が緩んでしまうことがあるという。

また、トークアプリの特性で、「乗っ取り」後のメッセージが以前のトークの続きで表示され、気づきづらい場合があることも影響しているのではとのこと。

騙されないための対策としては、本人に直接聞くのが一番だ。
直接顔を合わせたり、電話での確認も有効だが、この時にLINEの電話機能を使うのは避けること。すでに相手のアカウントが乗っ取られていた場合、本人には繋がらない可能性があるためだ。

携帯電話の番号など、他の連絡手段を使うことが重要だ。

警察の担当者:
(SNSは)便利な反面、手軽さによってつけこまれる可能性も高いということを認識していただきたいなと思います。声を聞いたり直接会ったりして、その真偽を確かめるということが大事なのではないかなと考えております

(東海テレビ)

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