「山」を舞台にしたスポーツに挑む女子高校生。山岳を駆け登る「スカイランニング」で、ユース世界3位になった飯山市の小林華蓮選手。スキーにも取り組んでいて、夏と冬の山岳で大きな夢に挑もうとしている。

世界ユースで大活躍 自ら練習メニューを考えて

ユース世界選手権 3種目で3位
ユース世界選手権 3種目で3位
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急斜面を登って…駆け下る。7月に開催された「スカイランニング」のユース世界選手権。3種目で3位に入る活躍を見せたのが、日本の小林華蓮選手だ。

自転車に乗って練習会場に…
自転車に乗って練習会場に…

小林選手は長野・飯山市出身。地元・飯山高校の3年生だ。

NBS・重盛赳男アナウンサー:
自転車できょうは来たんですね

小林華蓮選手:
自転車で1時間かけて来ました

この日は高社山でトレーニング。

小林華蓮選手:
(練習相手として)エアーの選手をつくって走っています

コーチはおらず、自らメニューを考え、1人で練習している。

提供写真
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小林選手の競技歴は小学1年の時から。最初はクロスカントリースキーだった。その後、中学1年の時、スキー部の活動の一環で山道などを走る「トレイルランニング」の大会に出場。徐々に山を走る楽しさに目覚め、中学3年の時に「スカイランニング」にチャレンジ。
スカイランニングの移動は、主に垂直方向。標高の高い山を高速で登り下りする。

提供・日本スカイランニング協会
提供・日本スカイランニング協会

小林華蓮選手:
山頂に行くにつれて、林道から牧草地から岩場みたいな場所に変わっていくので、それも面白くて。あと標高が変わって、空気も薄くなっているのも感じられるので、そこが面白いと思います。もうスリルがたまらないです

持ち味はスキーで鍛えられた筋力と心肺機能。強みを生かし、高校1年で世代別の日本代表に。

そして、アンドラ公国で開催された7月のユース世界選手権。競技会場はピレネーの山だ。小林選手は世界のライバルを相手に健闘。標高差1000メートルを一気に駆け登る「バーティカル」など3種目で銅メダルを獲得した。(コースA:15歳~17歳の部)

提供・日本スカイランニング協会
提供・日本スカイランニング協会

輝かしい成績だが…

小林華蓮選手:
初めて世界でのメダルを取れてうれしかったんですけど、世界にはたくさん、つわものたちがいるなと思って、まだまだ練習も経験も積んでいかないと、世界では戦えないと思いました

小林選手、取り組むのは「スカイランニング」だけではない。スキー競技も続けていて、午後は飯山市の河川敷でローラースキーのトレーニング。

小林華蓮選手:
リカバリーだったり、心拍を追い込むような練習のときにやっています

競技は夏も冬も…

取り組んでいるのは「スカイランニング」「トレイルランニング」「クロスカントリースキー」、軽アイゼンで雪山を走る「スカイスノー」、そしてスキーと登山を融合させた競技で、次の冬季オリンピックで正式種目に採用された「山岳スキー」。
合わせて5つ、いわば「五刀流」だ。

小林華蓮選手:
「五刀流」って言えるのか分からないですけど、そうなのかもしれないです。同じ山でも季節によって見せてくれる姿が違うので、やっぱり山が好きなのかもしれないです

自宅には五刀流で活躍してきた証しがある。

小林華蓮選手:
捨てるのも、なんかもったいないというか…

飾ってあるのは、60枚以上に及ぶ出場した大会の「ゼッケン」。
新たに、先日のユース世界選手権のゼッケンも…

小林華蓮選手:
この土は、ラストの砂の滑るところで転んでしまったので、その時の土だと思います。アートですね…(笑)

家族を心の支えに…世界での活躍目指す

小林家は3姉妹。2人の妹もクロスカントリースキーの選手で、長女の小林選手がコーチを務めることもあるそうだ。

中:寧音さん(中3) 右:杏さん(小5)
中:寧音さん(中3) 右:杏さん(小5)

妹・杏さん:
私が登るのが難しいような、山だったり崖だったり登ってて、すごいと思います

妹・寧音さん:
クロスカントリースキーやってて、トレーニングを一緒に付き合ってくれるので、頼れるお姉ちゃんです

送り迎えや会場でのサポートなど、小林選手を近くで見守ってきた父親の充さん(44)。強さの秘密を教えてくれた。

父・充さん:
ストイックですかね、自分で考えていろいろできるので。ちょっと走りに行ってくるんじゃなくて、「あしたは5時間走をやる」とか、練習の内容が量とか時間が多くて、本気で考えているんだなというのが伝わってきますね。もっとどんどん世界に出てもらって、先輩になったら後輩、お母さんになったら子どもたちに、その経験を伝えていってもらうのが一番いい

1人で黙々と練習することが多い小林選手。心の支えは家族だ。

小林華蓮選手:
自分が走ることで喜んでほしいと思うので、家族の存在は大会で力を出すための活力

提供・日本スカイランニング協会
提供・日本スカイランニング協会

夏も冬も山を駆け巡る小林選手。今後は2つの競技に絞って世界と戦う予定。
目標はスカイランニングでの優勝、そして山岳スキーでのオリンピック出場だ。

小林華蓮選手:
(スカイランニングは)ユース世代卒業するまでに金メダル3つ首から下げて、日本に帰って来られればと思います。
(山岳スキーは)26年か30年の五輪に出られれば、年齢的にもちょうどいい頃だと思うので、まずはワールドカップで調子を合わせて、五輪への出場権を取れたらと思います。
自分がレースで活躍することで、マイナースポーツをメジャースポーツにできたらと思います

(長野放送)

長野放送
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