ウクライナの首都キエフに再び外出禁止令が出された。一方、南東部の都市マリウポリでも、ロシア軍による市街地への攻撃が激しさを増している。
ロシア軍が抗議の市民に閃光弾
ウクライナ南部の都市ヘルソン。抗議の声をあげる市民にロシア軍が投げたのは強い光を発する閃光弾だ。同じ場面を捉えた広場の防犯カメラ映像を見ると、市民が逃げ惑う中、広場の至る所で白煙が立ち上っていた。
大統領はSNSで警報を実況
ロシア軍の攻撃は首都キエフでも続いている。ウクライナのゼレンスキー大統領は21日、SNS動画で「私たちが聞き慣れた音を聞かせます」とスマートフォンを取り出し、録音したキエフの空襲警報を聞かせた上で、ロシアに圧力をかけるようヨーロッパ各国に協力を求めた。
ゼレンスキー大統領はさらに訴えを続けた。
「あなたたちの全ての港を彼らに閉じて下さい。商品を提供しないで下さい。ロシアのエネルギー資源を絶ってください。ロシアがウクライナから出るため圧力をかけてください」
首都キエフ再び外出禁止令
そのキエフでは、さらなる攻撃の恐れがあるとして、市長が再び「外出禁止令」を発令した。期間は現地21日午後8時から23日午前7時までの35時間だ。
ロシア軍に包囲されている南東部のマリウポリでは、激しい市街戦が繰り広げられている。ウクライナ軍の車両から撮影されたとみられる映像を見ると、「撃て！撃て！」とロシア軍の車両を繰り返し砲撃する場面も。車両は炎に包まれた。
マリウポリでは、工場や工業ビルが次々と破壊され、インフラを狙った攻撃も激しさを増している。国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」はマリウポリで、これまでに3000人以上の市民が死亡した可能性があるとしている。
ロシア化学兵器使用の「兆候」
アメリカのバイデン大統領は21日、「ロシアはウクライナに生物・化学兵器があると言っているが、プーチンが生物・化学兵器を使うことを検討している明らかな兆候だ」と述べ、ロシアが生物・化学兵器の使用を検討しているとの見方を示した。
ゼレンスキー大統領 国会演説へ
被害拡大の恐れが強まる中、日本ではあす午後6時からゼレンスキー大統領が国会でオンライン演説することが決まった。演説は事前収録ではなく生中継。どのような言葉で何を訴えるのかに注目が集まっている。
一方のロシアは日本に対する圧力も強めている。日本の経済制裁に対する措置として、ロシアは北方領土問題を含む平和条約の交渉を停止すると発表。岸田総理は国会で「極めて不当で断じて受け入れられない」と強く抗議する考えを示した。
5回目の停戦交渉進展は？
ロシアとウクライナの5回目の停戦交渉は21日、1時間半で終了した。具体的な進展が見られない中、譲歩する可能性を示唆したのはゼレンスキー大統領だった。
焦点の一つ、ロシアが実効支配しているウクライナ東部ドンバスやクリミアの扱いについて「国民投票をする必要がある。国民が妥協案の形式について声をあげ答えを出すべきだ」と国民投票を行う考えを示した。
国民投票の結果次第では、ロシア側に譲歩する可能性があることを示したことになる。
イット！スタジオでは…
フジテレビ「イット！」のスタジオでは、元外交官で外交・安全保障のエキスパート宮家邦彦氏に話を聞いた。
加藤綾子キャスター：
なかなか停戦交渉の進展がありませんよね。前に進んでいるという情報も伝わってくることもあるんですけれども、宮家さんは今どういった状況だと思われますか。
「電撃戦に失敗、兵糧攻め長期化の恐れ」
宮家邦彦氏：
ロシアは基本的には電撃戦で短期決戦すると思ったら、それが失敗をした。そして今、全土を制圧できませんから、キエフと重要な都市について包囲までいかないんだけれども、何とか「兵糧攻め」をしようとしてるんですよね。そうするとこれが長期化すれば凄惨な膠着状態になると私は心配をしてますね。要するに、ウクライナ側の戦意を喪失させようとして圧力をかけているんだろうと思いますけど、これは当分続く可能性があることを恐れています。
加藤綾子キャスター：
我慢比べの状況が続いているということですよね。ゼレンスキー大統領が国民投票についても言及していましたけれども、これについては？
宮家邦彦氏：
今のような状況で国民投票ができるのかね。しかし彼らはですね、恐らく何らかの妥協が求められるときに、国民の支持を得るためにいろいろメッセージを送って、そして準備を始めているんだろうなという気がしますね。
国会演説「日本に支援を求めてくる」
加藤綾子キャスター：
ゼレンスキー大統領は23日に国会で演説しますけど、どんな内容になるのか気になりますね。
宮家邦彦氏：
日本に対して支援を求めてくるんでしょうけどね。日本には立派な大使がいますから、いろいろ内容を考えていい感動的なスピーチをするものと思っています。
加藤綾子キャスター：
23日夕方6時からどんなことを訴えるのか注目したいと思います。
（イット！3月22日放送分より）
