ロシアのウクライナ侵攻が続く中で、プーチン大統領は警護の特別部隊に命を守られているといいます。その名は、「マスケティアーズ」。一体、どんな存在なのでしょうか。その実態について、専門家が解説しました。

“24時間”帯同 「見てはいけない姿」見ることも

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筑波大学 中村逸郎教授:
警護隊がいるんですよ。これ約40名います。プーチンに1番近いところの人で、絶えずプーチン大統領の身の安全を確保している人なんです。

中村教授が指摘したのは、ロシア連邦警護庁の警護部隊である「マスケティアーズ」。約40人で構成されるボディーガードで、エリート中のエリートです。さらに、「プーチン大統領の居場所を知っているのは、マスケティアーズと料理人だけだと思う」と中村教授は述べています。

マスケティアーズは、ただのボディーガードの役割だけではありません。あらゆる盗聴機器を駆使して、様々な施設や組織へアクセスすることができます。また、1班10人~15人の交代制の24時間体制で各任務を遂行している中で、いまは、マスケティアーズも非常に緊張感が高まっている状況が想定されます。さらに、24時間帯同していく中で彼らには“あるリスク”もあると中村教授は指摘します。

筑波大学 中村逸郎教授:
24時間帯同しています。だから逆に彼らというのはプーチン大統領を守るだけではなくて、実は非常に彼らが自分の命をかけてプーチン大統領を守っているというところがあります。なぜかというと、24時間一緒にいるわけで、見てはいけないプーチン大統領の姿を目撃することもあるんですよ。いまプーチン大統領は70歳に近いわけで、色々体調の変化もある。体調がおかしいという様子を1番知っているのは、そばにいる人達なんですね。ですから、彼らは守るだけではなくて、プーチン大統領の「知ってはいけない現実」というものを知ってしまうリスクが非常にあるんですよ。

そして、プーチン大統領を支える人々として、政治的には「シロビキ」という方々、経済面で支えてきた「オリガルヒ」、そして、約40人の「マスケティアーズ」が挙げられます。実はいま「シロビキ」と「オリガルヒ」の中でプーチン離れが進んでいる中で、「マスケティアーズ」はプーチン大統領の“命の盾”とも言える存在なのです。では、マスケティアーズはロシア国内でも有名な存在なのでしょうか。

求められるハイスキル 大統領を守る「4重の守り」の存在も

筑波大学 中村逸郎教授:
有名です。プーチン大統領が外出する時とか、車に乗ったりしますよね。その時に周りを囲んでいるので、「この人はそうだな。」とだいたい分かるわけですよ。ただ、彼らがどんな訓練を受けているのか、具体的にどんな人なのかはほとんど分かりません。きっとロシアの“最高国家機密”ですよ。

そのような中で、「マスケティアーズ」の分かっている情報としては、35歳未満、身長は175cm~190cm、75~90kgという制限の存在。さらに、危険察知能力が高いこと、寒さや暑さに強いということが求められ、暑さという意味では汗をかかない訓練も行っていくそうです。そして、外国語も理解しながら政治に精通していることが必要になってくるといいます。

さらに、大統領を守る「4重の守り」の存在もあります。1段階目は「最も近くで守る」こと。ジュラルミンケースの中には、防弾チョッキを貫通する威力の銃や、銃弾を防ぐ傘が入っているそうです。そして、2段階目「群衆に溶け込み探る」、3段階目「群衆を取り囲み防ぐ」、4段階目「スナイパーが遠くから監視」と続きます。普段からプーチン大統領はかなり警戒していることが分かります。そして、今はより警戒していて、なるべく公の場には出たくないのが現状だとみられます。

(「めざまし8」3月10日放送)