弁護側は「介護で起きた事故だった」と無罪主張

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2017年、岐阜・高山市の介護施設で入所者5人が相次いで死傷し、そのうち2人に対する傷害致死などの罪に問われていた元職員の男に、3月8日、懲役12年の判決が言い渡された。

この事件では、犯行の目撃者や防犯カメラなどの直接証拠がなく、「被告が犯人かどうか」が最大の争点となっていた。

8日午前、岐阜地裁で開かれた注目の裁判。スーツ姿で出廷した被告の男に判決が言い渡された。

<裁判長>
「被告人を懲役12年に処する」

男はまっすぐと立ち、微動だにせず判決文の読み上げを聞いていた。

小鳥剛被告(逮捕前の2017年):
100%やっていないですからね、こんなことは。こんな自分が分かる状態でやるって、単なるアホじゃないかと

高山市にある介護施設「それいゆ」の元職員・小鳥剛被告(36)。

2017年8月、入所していた中江幸子さん(当時87)の首を絞めるなどして死亡させたほか、別の女性入所者(当時91)の胸を圧迫するなどしてケガをさせた傷害の罪に問われていた。

事件があった「それいゆ」では、2017年の7月から8月までの半月ほどの間に5人が死傷。

小鳥被告はこの5人すべての介助に関わっていたが、問題が発覚した直後、取材に答えていた。

小鳥剛被告:
5人全員の介護に関わっているという話でしたけれども、その日の食事を介助しただけで。転ぶもんは転ぶし、ケガする時はケガするし、いくら気を付けとっても正直100%事故を防げないというのは事実ですよね

さらにこの1年半後(2020年1月)、逮捕の1週間前の取材に対しても…

(Q.思い当たる節も全くない?)
小鳥剛被告(逮捕前の2020年1月):
ないですね。逆に今更になって思い当たることなんて、その時になかったら今もないと思います

一貫して自身の関与を否定していたが、事件発覚から1年半後、逮捕された。

この時、取材に応じた被害者の家族は…

被害者の息子A:
(認知症で)自分の意思もはっきり伝えられない者に対して、なぜこんなことができるのかと

被害者の息子B:
白状しんのやってな。本当のこと言わん。真実を話さないでどうしようもない

事件発生から4年以上が経った2021年12月から、ようやく始まった裁判。

<小鳥被告>
「私は2件の事実について、今読み上げられたような行為をいずれもしていません」

小鳥被告は裁判でも一貫して無実を主張した。この事件では、犯行の瞬間を捉えた防犯カメラなど、いわゆる直接証拠がなく、裁判の最大の争点は「被告が犯人であるかどうか」。

検察側は、施設の通路を映した防犯カメラや他の職員の勤務状況などから「犯行は小鳥被告にしかできない」と指摘し、懲役12年を求刑。

弁護側は「介護で起きた事故だった」と主張し、無罪判決を求めていた。

そして8日、岐阜地裁は傷害致死と傷害、いずれも小鳥被告の犯行と認定し、求刑通り懲役12年の実刑判決を言い渡した。直接証拠がない中で小鳥被告の犯行と認めた理由について、裁判長は…

<裁判長>
「2つの事件について、いずれも犯行の機会があり、現実的に可能だったと考えられる人物は被告人しかいない」

犯人の可能性がある人物を、犯行時間帯に勤務していた小鳥被告を含む4人の職員に限定したうえで、小鳥被告以外の3人については当時の勤務状況などから犯人ではないと認定。犯人は小鳥被告であると結論付けた。

懲役12年という量刑の理由について裁判長は、「理不尽、身勝手で言語道断な犯行というほかない。厳しい非難に値する」と言及。

判決を受けて、傷害致死の被害者・中江幸子さんの長男は…

中江幸子さんの長男:
本人の口から「やった」と言って欲しかったけど、そういうことがないで何とも言えん。たとえ刑務所に入ったとしても、償いきれないと思う

弁護側は、「控訴するかどうかは被告と相談して決めるが、被告は控訴すると思う」とコメントしている。

(東海テレビ)

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