「フェムテック(Femtech)」という言葉を聞いたことがあるだろうか。

「Female(女性)」と「Technology(科学技術)」を掛け合わせた造語で、女性特有の健康課題を科学技術で解決しようという意味。2021年の新語・流行語大賞にもノミネートされた。

このフェムテックは、今後の日本経済の成長につながるキーワードになるかもしれない。

生理予定日がわかる 体調管理アプリ

街でフェムテックを知っているか聞いてみると…。

40代女性:
知らないです

10代女性:
知らないです

20代男性:
いや、知らないです

30代女性:
最近知りました

「フェムテック」とは生理や妊娠・出産、更年期など、女性特有の健康課題を科学技術でサポートする商品やサービスのこと。

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例えば、こんなサービスも。

KTS鹿児島テレビ 井上彩香アナウンサー:
こちらのアプリ、「生理予定日」と書いてあります。生理日をデータとして入力することによって、個人個人の生理予定日や生理周期などを可視化して管理できるようになっています

生理予定日や生理周期などを知らせてくれる 「ルナルナ」のアプリ
生理予定日や生理周期などを知らせてくれる 「ルナルナ」のアプリ

「ルナルナ」というスマートフォン用の無料アプリでは、日々の体調や気分を入力し、自分の体調の変化を把握しやすくなる。

その日の気分を入力し、体の変化を把握
その日の気分を入力し、体の変化を把握

我慢しないで…医師への健康相談サイトも

経済産業省が公表するデータでは、フェムテックの世界市場は2019年は約820億円だったが、2025年には約5兆5000億円にのぼると見込まれている。

 
 

このフェムテック、2021年度から国の成長戦略事業の一つとして取り組みが始まった。きっかけは、不妊治療との両立ができず仕事を辞める女性が増える、といった現実があったことだという。

現在、国が補助金を出して、公募で選ばれた全国20の事業者が実証事業を行っている。

対象は「乳がん患者に寄り添った国産シリコンパッドの開発」や「更年期症状を理由にキャリアを諦めないためのサポート」など。

実証事業の中には、鹿児島市の博愛会 相良病院が代表団体となり、働く女性が健康上の悩みをオンラインで医師に相談できる「フェムラインかごしま」も含まれている。

フェムラインかごしまでは、県内6団体の女性従業員から、2月末まで相談を受け付けた。

乳腺外科の相談にオンラインで回答している、相良病院の理事長は…。

「フェムラインかごしま」代表団体・博愛会 相良病院 相良吉昭理事長:
フェムラインは間口を広げて、敷居を下げるという効果がある

「フェムラインかごしま」代表団体・博愛会 相良病院 相良吉昭理事長:
例えば分泌物が出るとか、何気ない、普通は我慢してしまうような悩みがフェムラインに届いています。(実用化したら)女性の悩みが少なくなって、その人たちの生活を支えることができる

”自分らしい生き方”を選べるように

また、街の女性からはこんな実体験も聞かれた。

会社員 30代(子ども3歳):
職場で体調が悪くなったときに、なかなか周りに感じ取ってもらえなかったり。自分も(生理の)支度をしてきていなくて、買う場所がなかったり

自然ガイド 40代(子ども6歳):
屋久島在住で自然ガイドの仕事をしている。妊娠出産で子どもを産んで育てる間に、完全に「自分のキャリアが中断してしまった」というのは実感としてある

「科学技術と社会」について研究する実践女子大学の標葉靖子准教授は、フェムテックがこのような現状に変化をもたらす可能性があると指摘する。

実践女子大学 標葉靖子准教授:
“子育て”というすごいミッションをされているわけですから、その経験を持つ方がいることは、企業にとっては、長くサステナビリティ(持続可能性)のある提案をしていきたいのであれば、おそらく必須になってくる

実践女子大学 標葉靖子准教授:
フェムテックが女性の男性化を推し進めるための道具になるか、本当にそれぞれの生き方を選べる、そこに変な苦痛がない、ダイバーシティ(多様性)のインクルーシブ(仲間はずれにしない)な方向に行くかは、私たち次第

フェムテックの浸透とともに、それぞれの企業や団体が、個々が輝ける仕組みを作る努力と理解をしていく。

様々な価値観を持った人がぶつかり合うことで、企業の成長、そして日本経済の成長につながるかもしれない。

(鹿児島テレビ)

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