「いつか自社の事業がなくなることを目指している」と語るのは、株式会社R65の代表取締役・山本遼さん。
不動産会社に勤めていたが、来店した80代の女性から「いろいろな不動産会社で門前払いされた」と聞き、65歳以上の高齢者が賃貸物件を借りづらい現実を目の当たりにした。
山本さんは「私が大家さんに200件くらい電話をかけて、OKだったのが5件しかなかった」と当時のことを振り返る。
「それなら高齢者専門の不動産会社をつくろう」と思い、2015年に65歳以上限定の「R65不動産」を設立した。
住みたい家が増えることを願って
内見に来た70代の男性は、他の不動産会社で断られ続け、「R65」不動産を頼った。断られた中には「家賃の4倍の所得、または100倍の貯金を有すること」という厳しい入居条件を提示する会社もあったという。
山本さんと内見をしたこの男性は「70代と言うと不動産会社に引かれてしまう。『緊急の連絡をするのに近くに連絡を取れる人がいないとダメ』と言われた」と話す。
貸す側は、高齢者の孤独死や家賃の不払いを恐れているためだ。
そこで貸す側の不安を解決するため、山本さんは「見守り電気」を開発。電気使用量を30分ごとに24時間チェックすることで、入居者の異常を察知するシステムだ。
一定の時間、グラフに変化がなく、本人にも連絡がつかない場合は、管理会社に通報が行く。
借りる人も貸す人も安心できる仕組みづくりをする山本さん。「住める物件が増えるというよりも、住みたい物件がたくさん増えていくことが理想。いろいろな不動産会社が『ご高齢の方OKですよ』と言ってくださる世の中になって、R65不動産といううちの事業自体がなくなるところを目指しています」と語った。
株式会社R65
https://r65.info/
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