インドネシア発祥の大豆の発酵食品「テンペ」。ヘルシーで肉の代わりに食べる人が増加中だ。
このほど長野・茅野市に弁当店をオープンさせたのが、テンペに魅了された男性。味を広めている。
インドネシア発祥 肉と同じように調理
食べやすい大きさに切って、油で揚げる。
この食材の名は…
テンペキッチン・大友章義さん：
「テンペ」を素揚げしています
味付けをして出来上がったのは、照り焼きに麻婆豆腐。
客：
テンペおいしい。おいしくて、すごく食べやすい
茅野市の国道20号線沿いにオープンした弁当店「テンペキッチン」。
大友章義さん（45）・由紀子さん（45）の夫婦が営んでいる。
肉と同じように調理される「テンペ」。実は、発酵食品だ。
テンペキッチン・大友章義さん：
（テンペは）大豆を発酵させて作る。煮た大豆に納豆菌つけると納豆、テンペ菌をつけるとテンペになる。「インドネシアの納豆」と呼ばれている。高タンパク・低カロリーで、それ以外にもイソフラボンやギャバが豊富
インドネシア発祥の「テンペ」は、高タンパクで食物繊維が豊富。
肉の代わりになるとして、SDGsの観点からも注目されている食材だ。
テンペの仕込み
仕込みの様子を取材させてもらった。
まず、北海道産の乾燥大豆を水と少量の酢で24時間かけて戻す。
水を切ったら、圧力鍋で15分ほど煮る。
大豆を取り出して水分を取ったあとまぶすのは、インドネシアから取り寄せたテンペ菌だ。
この時、温度は菌の動きが活発になる38度にする。
大豆を容器に移し、38度を保って24時間待つと…
発酵して、テンペの菌糸が張りめぐらされていた。
テンペキッチン・大友章義さん：
味は大豆をまろやかにしたような、食感が大豆はプチっとするけど、発酵によってしっとりになる。今回もほっといただけですけど、ちゃんとできていると思います。楽しみ
友人にもらったテンペ「忘れられないくらいおいしかった」
理想のテンペ作りにたどりつき、店まで開いた大友さん。
本職は、物流関係を専門とするコンサルタントだ。
都内で働いていたが、仕事は多忙を極め、2013年に脳梗塞で倒れた。
静養中、生活を見つめ直し、都内でなくても仕事はできるとして、登山などで度々訪れていた茅野市に移住した。
テンペと出会ったのはその2年後。農業サークルで活動する友人からもらったテンペのから揚げを食べて、衝撃を受けたと言う。
テンペキッチン・大友章義さん：
（友達に）「テンペのから揚げだよ」って渡されたけど、まずテンペが分からないし、から揚げというのでイメージはついたけど、ちょっと違う。忘れられないくらいおいしかった
その後、自分でもテンペを作り始め、試行錯誤の末、誰でも簡単に作れる「テンペ作りセット」を開発。インターネットで500個ほどを売り上げた。
さらに…
テンペキッチン・大友章義さん：
テンペができても、テンペをどうやって調理するか、食べるところまでプロデュース。口の近くまで持っていって「これがテンペです」ができたら、もう少しテンペを楽しんでもらえるのかな
テンペをもっと多くの人に味わってもらいたいと、2021年12月にコンサルタント業務の傍ら、弁当店を開いた。
妻の由紀子さんは…
妻・由紀子さん：
正直、自分がお店を開くなんて考えたこともなかったので、びっくりしました。
（Q.心配は？）
ありました、もちろん。料理は誰が作るのという点で
メニューは妻・由紀子さんが考案
調理担当は、すっかりテンペ好きとなった由紀子さん。心配だったと話すが、次々とメニューを考え出した。
妻・由紀子さん：
テンペは割とボヤっとした味なので、スパイスとか濃い目の味付けを心がけています
オンライン決済も導入し、多い時には1日50食ほどが売れていると言う。
妻・由紀子さん：
こっちが大盛りの麻婆豆腐弁当になります
弁当を受け取ったのは、市内の会計事務所の皆さん。
既にリピーターだ。
弁当を食べた人：
がつがつ食べられて、健康にもいいなと思いながら食べられるのでいいかな
弁当を食べた人：
かなり豆の食感がしっかりしていて表面がカリッとしていて、歯ごたえも楽しめる
こちらの親子は夕食に購入。小さい子どもにも好評だ。
子ども（小学生）：
テンペが麻婆豆腐に入っていて、想像しなかったからびっくりしたし、（テンペとの）組み合わせがおいしかった
母親：
お肉でなくても、それを忘れちゃうくらい。後で「テンペだったよ」と言われれば、あっそうだったんだと
ヘルシーでおいしいテンペに魅了され、弁当店まで開いた大友さん。
ゆくゆくは、普通に食卓にあがる食材になればと話している。
テンペキッチン・大友章義さん：
（テンペは）身近にある大豆が使えますし、栄養もあるし、使いやすいし、おいしいからもう少し知ってもらって、「お肉・お魚・テンペ」みたいにタンパク質の3つの柱になってくれるとうれしい
（長野放送）
