全国でも珍しい、1人乗りのミニカー専門の自動車メーカーがある。
車作りはすべて手作業。9人のスタッフが、一台一台車を組み立てている。

もともとは看板製作を手掛けてきたが、1982年に他社と共同で車いすに乗ったまま運転できるミニカーを開発したことをきっかけに業態を変え、その後もさまざまなタイプのミニカーを世に送り出してきた。
時代超え愛される…オーダーメードのミニカー
今、ボディの塗装を行っている車は創業当初から製造を続け、現在4代目モデルの「アビー」。

発売から40年。1度の給油で約200㎞の走行が可能なガソリン車。この赤いアビーは、東京の購入者からお願いされた特注品だ。
タケオカ自動車工芸・武岡学専務:
足の不自由な方で、足が曲がっちゃうと伸ばせないというお客さま。座席の位置をちょっと後ろにずらして、座席の高さもちょっと高くして。あと、アクセルペダルとブレーキペダルの奥行きも30mmほど伸ばした

西村朋宏アナウンサー:
一人一人に特注で作っている?
タケオカ自動車工芸・武岡学専務:
そうですね。生産ラインではないく、手作りでやっているので。お客さまの体にあったオリジナル、オーダーメードのものを作っていきたいという思いがあって。お客さまの希望に合わせた車作りをやっている
レトロでコンパクトな「アビー」は、時代を超えて愛され続けている。
ミニカーとは言っても、最高速度は時速60kmのシャープな走りも自慢。ボディーカラーも豊富なので、全国に愛好家がたくさんいるという。

タケオカ自動車工芸・武岡学専務:
ちょっと脱輪しても、方向転換も持ち上げればできる

西村朋宏アナウンサー:
こんな画、見たことないですよ!
電子レンジ搭載のミニカー 約4時間走行可能
さらにタケオカ自動車工芸では小型の電気自動車の開発にも乗り出し、電気スクーターの「ルーキー」や、エアコンを搭載した電気ミニカー「ララ」も手掛け、人と環境に優しい小型車両を作り続けている。

そして、電気自動車の無限の可能性を信じて新たに生み出したのが、このピンクのミニカー。

西村朋宏アナウンサー:
これは、先ほどの「ララ」とそんなに見た目は変わらないような
タケオカ自動車工芸・武岡学専務:
でしょ? ところがね、今からちょっとお見せします。開けますよ
西村朋宏アナウンサー:
えっ、電子レンジが車に乗っています!

タケオカ自動車工芸・武岡学専務:
ちゃんと「チン」っていいますよ。やってみましょうか?
10キロワットという、これまでより大きなリチウムイオン電池を搭載。広い室内空間を確保していることで、電子レンジを固定したまま移動することができる。
西村朋宏アナウンサー:
どれくらいの時間、連続で使えるんですか?
タケオカ自動車工芸・武岡学専務:
連続でなんと7.5時間。全部使うと帰って来られなくなるので、走行する距離を考えても3~4時間は連続で使えます

時代のニーズに合わせ…地方メーカーの新たな一手
「ララ」に搭載された電子レンジ。この良さを体験してもらおうと、武岡さんが用意したのが…。
タケオカ自動車工芸・武岡学専務:
今日のためにお弁当を用意しました

お弁当を電子レンジに入れて、あたためること1分。
タケオカ自動車工芸・武岡学専務:
「チン」っていいますよ

西村朋宏アナウンサー:
なかなか車から「チン」っていう音が聞こえてくることはないですよ。(試食して)熱い熱い熱い!

タケオカ自動車工芸・武岡学専務:
コロナ禍でデリバリー需要が高まっている。せっかく配達したものを自宅まで持っていって、渡すときに冷たかったら嫌ですよね。これは家の前で、玄関を開ける前にチンしちゃう。または弁当をいっぱい積んで行って、公園などでも弁当が売れる。石焼き芋のような発想で載せた車両です

当初「チン車」という名前で販売しようとしたが、女性社員からの賛同が得られず「あったカー」と命名されたそう。
時代のニーズに合わせ開発を続ける、タケオカ自動車工芸の新たな一手。2022年はどんな車が登場するのか。
(富山テレビ)