トンガ諸島にある海底火山が噴火した影響で、14時間にわたって発令された津波注意報。
気象庁は会見で「本当に津波かどうかわからない」と異例のコメントを出しました。
未知なる「津波」とはどんなものだったのか、めざまし8で専門家が解説しました。

継続する“波動”…「空振のメカニズム」

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フィジーやトンガなどで確認された「海底火山噴火に伴う隆起による津波」。
しかし、東北大学災害科学国際研究所の今村文彦氏は、今回日本で起きた津波は「空振による津波」なのではないかと指摘しています。
では「空振」というものはどういうものなのでしょうか。

実際に2011年に起きた霧島連山中央部にある新燃岳噴火による被害を見てみると、噴火と共に遠く離れた場所の建物の窓ガラスが、風の勢いによって割れてしまっている様子が確認できます。
今回は噴火の規模、距離も大きいということですが、「空振」のメカニズムを今村氏はこう語ります。

東北大学災害科学国際研究所 今村文彦氏:
噴火に伴いまして、空気が一気に押されます。それで、気圧が高いものが四方八方に伝わります。海の上では気圧が高いので、海面がいったん押されるんです。
その後、「空振」がどんどん溜まっていきますので、押されたものがまた上がったり、また次に下がったり。
この「空振」が長い距離、進めば進むほど多くの波動が継続して続いてしまう。これが重復のメカニズムになります

そして、今村氏はトンガから離れた複数の波が重なり、潮位が高くなったと考えられると指摘。
さらに、海の中には小さい島や色々な地形があったりと、複雑に絡み合って津波の勢いが増してしまったことも、今回の日本の潮位の変化に影響したのではないかと考えられます。

実際に日本の地形は複雑です。例えば岩手県「リアス式」は外に出ている岬の先端に、また、「V字型の湾」は引っ込んでいる部分に勢いが集中しやすい状況があります。
2011年の東日本大震災で起きた津波との違いはあるのか、今村氏に聞きました。

東北大学災害科学国際研究所 今村文彦氏:
地震は海底での変化によって海面が動き、それが伝わりますけども、「空振」は海または陸、関係ないんですね。
今回は、太平洋全域に渡りましたし、しかも中米を越えてカリブ海までいってしまった、海を越えた津波になるわけです。これは非常に例としては、まれになります。

「空振」による津波は非常にまれであると言及。さらに、過去の記録については…

“1883年以来”「空振」による津波 南半球では一時的な寒冷化の恐れも…

東北大学災害科学国際研究所 今村文彦氏:
噴火そのものも低頻度ですし、空振によって津波が起こったという記録自体は、100年以上…1883年インドネシアのクラカタウ島の火山の噴火ということになります。

そして、東京大学地震研究所の青木陽介准教授は、今回のトンガの噴火で考えられる他の被害についてこう語りました。

東京大学地震研究所 青木陽介准教授:
今回のトンガの噴火は特に大きくてですね、噴煙が大気圏超えて成層圏までいっていますので、そうすると塵とかが落ちてこなくなって、太陽の光を遮るってことが考えられますね。
そうすると地球が受ける太陽光のエネルギーが減りますので、特にトンガに近い南半球では、一時的な寒冷化が危惧されますよね。
南半球で起きたので南半球中心になると思いますけども、北半球にも影響はあるかもしれないですね

非常にまれなケースの「空振」による津波。
噴火活動はおさまるのか、引き続き最新の注意していく必要があります。

(「めざまし8」 1月17日)